松倉海斗&川島如恵留W主演の音楽劇『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』開幕レポート
Travis Japanの松倉海斗と川島如恵留がW主演する音楽劇『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』が2024年6月24日(月)日本青年館ホールにて開幕した。初日を前に行われたゲネプロレポートをお届けする。
1989年。5年前、新天地を求め、親友で弟分のマーク(川島如恵留)と共に北京から香港へと渡ったホー(青柳翔)は、偽札の製造をする組織に関わっていた。そして、病気の父・ディエンと学生の弟・キット(松倉海斗)を養うため、幹部として仕事をこなしていた。
しかし、キットはホーとマークが裏組織で働いていることを全く知らず、正義感に燃え、警官になろうとしていた。ホーはキットの警官としての就職を機に足を洗うことを父に約束し、最後の仕事として台湾での取り引きに向かった。
だが、取り引きは密告されており、警察に取り囲まれたホーは、ボスの息子・シンを逃して、自首。一方香港では、取引の失敗を受けた組織が、口封じのためにホーの家族を襲撃。ディエンは殺され、キットは尊敬する兄が組員だったことを知ってしまう。さらに事情を知ったマークは報復を決意。裏切り者と対峙し、復讐を果たすが、足を負傷してしまう。
3年の服役を経てホーは出所。だがキットは父の死の原因をつくり、出世の妨げとなっている兄を受け入れようとはしない。それでもホーは和解を願い、今度こそ堅気となって穏やかに暮らそうとするのだがーーというストーリーだ。
舞台は具象舞台。ネオン看板が至るところで輝き、一歩薄暗い路地を入るとちょっと危険な香りがする。華やかなキャバレーに、裏組織に。返還前の香港が再現されている。
本作の見どころはなんといってもド派手なアクションシーンだろう。拳銃に、ナイフに、金属バットにといろいろな凶器を駆使しながら、役者たちが迫力ある本格的なアクションを繰り広げ、非常にスリリングな舞台に仕上がっている。一方で、血生臭いアクション舞台と括るには惜しいほどに、音楽劇らしく多様な歌やダンスも想像以上に盛り込まれているので、観客は楽しい時間を過ごせるはずだ。
W主演の松倉海斗と川島如恵留は、ともに全力で舞台を駆け抜けていた。Travis Japanとして活動している2人のアクションやダンスはさすがのもので、身体能力の高さを見せつけた。芝居に関してもそれぞれのキットとマークという役を理解した上で、全力で表現しようとしている姿が好印象。アクションが激しい舞台だが、どうか千秋楽までこのまま駆け抜けてほしいと思う。そのほか青柳翔、岡田義徳、尾上寛之、上瀧昇一郎、清水優、中村まこと、福井晶一、神保悟志といった実力派俳優が脇をきっちり固めて芝居を動かしていく(ちなみに個人的に福井晶一の配役は意外に思ったが、とてもハマっていた)。
人物関係もきちんとセリフ等で説明がなされるので、原作を見ていなくても楽しめるはず。1幕70分、20分休憩、2幕80分の計2時間50分(予定)。ぜひお見逃しなく!
取材・文=五月女菜穂 撮影=引地信彦