オリックス・山崎颯一郎(左)と宇田川優希【写真:北野正樹】

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オリックス・山崎颯一郎と宇田川優希に「投手陣を引っ張らなければいけない」

 大きな期待の裏返しだ。オリックス・厚澤和幸投手コーチが、戦列を離脱している山崎颯一郎投手と宇田川優希投手に厳しい口調で奮起を促した。

「あの2人が背中でオリックスの投手陣を引っ張らなければいけないのに、それができていないのが一番、痛いですね。僕のイメージで言うと、オリックスの投手陣の中で彼らに『さあ、行くぞ!』とかという言葉は別にいいんですよ。彼らがまだフラフラしているでしょ。それが一番、痛いんです」

 試合を勝ち切るため、圧倒的なパワーで相手をねじ伏せることが求められるセットアッパーやクローザーを務めてきた2人が持つ、高い技術と熱いハートを知るからこそ「一番、痛い」という言葉が2度も口を突いた。

 リーグ4連覇に欠かせない重要なピースを担う2人の姿は、今、若手育成を主眼とするファームにある。3連覇の胴上げ投手になった山崎は、リーグ最終盤に腰を痛めたものの53試合に登板しシーズンをほぼ完走。宇田川も昨季46試合に登板し、防御率1.77で3連覇に貢献した。
 
 しかし、宇田川は右肩の調子が思わしくなく、今春のキャンプでスロー調整。開幕1軍を外れた。キャンプで下半身のコンディション不良となった山崎はシーズン開幕に間に合わせたものの「勝ち試合で投げられるような状態というか、技術までいっていなかったんです」と話し、4月中旬に再調整のため2軍へ。5月22日に再登録されたものの、1週間後にまたも登録抹消された。

「世間の評価に追いつくために信念を持って臨んでほしい」

 厚澤コーチは“不振”の原因について「(メカニックとメンタルの)両方ですね。(技術以前に)あの2人からは『やらなきゃいけない』という自覚が足りないように思えます。姿というのは、日頃からの意識でできることじゃないですか? 技術じゃないですからね。何が足りないのかを考えてほしいですね」と厳しい指摘。ただ、2人を見守る眼差しは優しい。

「チームが急速な成長を果たした中で、2人とも知名度が一気に上がり、求められるものも上がってきました。3連覇に貢献して日本シリーズに登板し、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に行き世界一も経験しました。ただ、心と体が追い付いていないのに、評価の高さが彼らの成長度合いを超えてしまったという部分があると思います。2人には、その世間の評価に追いつくために信念を持って臨んでほしいですね。まだ、シーズンは半分以上ありますから」

 いつも通り穏やかな口調の中に、ともに25歳の将来ある投手にプロとしての矜持を持ってほしいとの期待と愛情が溢れていた。(北野正樹 / Masaki Kitano)