新型コロナ抗体、保有率60%超も高齢者は低く「秋以降もワクチン接種が必要」

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厚生労働省は、「新型コロナウイルスの感染によって得られる抗体の保有率が、2024年3月時点で初めて60%を超えた」との調査結果を専門家部会で明らかにしました。この内容について中路医師に伺いました。

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監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

厚生労働省による調査の内容は?

今回、厚生労働省が実施した新型コロナウイルスの抗体保有率に関する調査の結果を教えてください。

中路先生

2024年3月、厚生労働省は新型コロナウイルスの抗体保有率に関する調査を実施し、調査結果は厚生労働省の専門家部会で報告されました。調査対象となったのは献血した1万8048人で、年齢分布は16~69歳です。過去、新型コロナウイルスの抗体を持つ人の割合が調べられました。

調査の結果、抗体保有率は64.5%となり、2024年1月におこなわれた前回調査で示された58.8%という結果から5.7ポイント上昇する形となりました。年齢別で見ると、抗体保有率が最も高くなったのは16~19歳で、80.5%という結果になっています。逆に最も低くなったのは60~69歳で、51.6%に止まっていました。

また、全年代を対象に診療所で採血された検体を分析する調査では、抗体保有率は60.7%という結果が示されました。この方法の調査では、5~9歳が抗体保有率90.6%と最も高い結果となりました。10~49歳は7割超で、70歳以上は3割台と低くなっています。

現在の新型コロナウイルスの感染状況は?

新型コロナウイルスをめぐる現在の感染状況について教えてください。

中路先生

2024年5月27日~6月2日に集計された内容によると、新たな感染者は全国で1万7401人確認されています。去年の同時期と比べると、2割以上少ない人数です。

都道府県別に見ると、最も感染者数が多く観測されているのが沖縄県で、1定点あたりの報告数は19.74人でした。次いで多くなったのが鹿児島県で、1定点あたりの報告数が7.11人、続いて北海道が5.44人、佐賀県が5.13人、千葉県が4.81人となっています。年代別に見ると、1定点あたりの感染者数が最も多くなったのは50~59歳、逆に最も少なくなったのは15~19歳でした。

厚生労働省の調査への受け止めは?

厚生労働省が実施した新型コロナウイルスの抗体保有率に関する調査の結果への受け止めを教えてください。

中路先生

日本において、ワクチン接種ではなく、感染によって得られる「抗N抗体」の保有率は高くなってきています。しかし、依然として高齢者の感染割合は高い状況が続いています。そのため、今後もワクチン接種が必要であり、特に65歳以上が対象の秋の定期接種は重要であると考えられます。

まとめ

厚生労働省は、「新型コロナウイルスの感染によって得られる抗体の保有率が、2024年3月時点で初めて60%を超えた」との調査結果を、厚生労働省の専門家部会で明らかにしました。厚生労働省の専門家部会の部会長の脇田氏は「高齢者の感染割合が低い状況が読み取れる。今後もワクチン接種が必要だ」とコメントしています。

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