超豪華ミニバン「コロンブス」が凄い! V12エンジン&「4列シート」搭載! もはや「新幹線」レベルの車内で“新大陸”に出発か!?
まるで新幹線のようなデザインを持つ巨大ミニバン
高い車高と広い車内により、大人数を一度に快適に運ぶことができるミニバンには、大小さまざまなサイズがあります。
日本ではトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」といった全長5m×全幅1.9mに迫るLサイズミニバンが販売されているほか、ミニバンの本場アメリカでは、その大きさを超えるトヨタ「シエナ」なども販売されています。
【画像】「えっ…!」これが“V12ミニバン"の「コロンバス」です!画像で見る(39枚)
しかし、さらにその上を行く巨大なミニバンが存在しました。それが、イタルデザインが1992年に発表したミニバンのコンセプトカー、「コロンブス」です。
イタルデザインとは、有名カーデザイナーのジョルジェット・ジウジアーロ氏が、1968年に設立したイタリアの名門カロッツェリア。2018年には、日産「GT-R50 by Italdesign」を発表して話題となったのは、記憶に新しいと思います。
コロンブスは都市部向けの超高級ミニバンとして提案され、車名は、クリストファー・コロンブスのアメリカ大陸発見500年を記念して付けられました。
コロンブスの外観は、極めて特徴的でした。運転席と車体後半のパッセンジャーエリアの窓には大きな段差があり、運転席周辺の造形自体も、流麗な車体からぴょこんと飛び出ていました。この「2層構造」のボディやヘッドライトのデザインは、どこか日本の新幹線を思い起こさせます。
フロントドアは通常のヒンジ式ですが、後席用のリアドアもヒンジ式で、さらに上部がガルウィング式に開くことで乗降性を向上させていました。車体後部には上下に開くテールゲート、ルーフには開口部の大きいガラスサンルーフを装着していました。
写真だけでも大きさがわかるコロンブスの全長は、なんと約6m。全幅は約2.2mもありました。
トヨタのマイクロバス「コースター」の全幅が約2.1mなので、幅に関してはマイクロバスよりも広いことになります。しかもコロンブスのホイールベースは約3.8m。これはアルファード・ヴェルファイアの3m、コースター標準車体の3.2mを大きく超えています。
コロンブスの特徴は、その巨大さだけではありません。エンジンはBMW「7シリーズ」などに搭載されていたV12型5リッターDOHCが選ばれていました。最高出力は300psに達するBMW製V12エンジンにより、見るからに重そうなコロンブスの車体(車重は未公表)を、最高時速200km/h超まで引っ張ることができる、といわれていました。
トランスミッションはオートマチック、駆動方式はフルタイム4WDでしたが、長大なホイールベースによる取り回しの悪さを解消するためか、後輪は15度までステアが可能。ホイールは、当時としては驚異的なサイズの20インチが採用されていました。
そうなると、巨大なV12エンジンはどこに積まれているのだろう、という素朴な疑問が湧いてきます。
コロンブスの車内にはシートが4列並んでいるのですが、そのうち2列目までの床が高くなっており、エンジンは2列目直下に横置きで搭載されていました。
コロンブスが変わっているのは、デザインやエンジンだけではありません。豪華に設えられた内装も見所がいっぱいでした。
一列目は運転席のみで、しかもセンター配置という突飛なレイアウト。運転席の左右には、独立式の2列目シートが並んでいました。3・4列目も同様に、座り心地が良さそうなキャプテンシートが備え付けられており、3列目は回転も可能。写真では7人乗りですが、9人乗り仕様にするのも容易と謳われていました。
2列目以降のシートには、それぞれTVモニターが用意されネットワークを経由してビデオ(VHS式というのが時代を感じさせます)の閲覧もできました。室内照明に光ファイバーを採用していたのも、時代を先取りしていました。
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セダンの代わりに高級ミニバンをショーファードリブン用途に用いるのは、今やすっかり一般化しました。さながら陸を進む帆船のような超高級ミニバンのコロンブスは、そんな「今」を予見していたのかもしれません。