OpenAIの取締役にNSA元長官が就任し安全・セキュリティ委員会へ参加
OpenAIが退役陸軍大将のポール・M・ナカソネ氏を取締役に任命したことを発表しました。ナカソネ氏はアメリカサイバー軍司令官や国家安全保障局(NSA)長官を務めた経験を生かし、安全・セキュリティ委員会に参加するとのことです。
OpenAI appoints Retired U.S. Army General Paul M. Nakasone to Board of Directors | OpenAI
Former head of NSA joins OpenAI board - The Verge
https://www.theverge.com/2024/6/13/24178079/openai-board-paul-nakasone-nsa-safety
OpenAI adds former NSA chief to its board
https://www.cnbc.com/2024/06/13/openai-adds-former-nsa-chief-to-its-board-paul-nakasone-sam-altman.html
OpenAI adds former NSA chief Paul Nakasone to the board
https://www.axios.com/2024/06/13/open-ai-security-nakasone-nsa
Who is Paul Nakasone, OpenAI's newest board member? - Fast Company
https://www.fastcompany.com/91141087/who-is-paul-nakasone-openais-newest-board-member
安全・セキュリティ委員会は2024年5月に設立された、サム・アルトマンCEOが率いる委員会。90日間かけて社内のプロセスや安全策を評価して取締役会に勧告を行い、成果が一般公開される予定となっています。
ナカソネ氏はセント・ジョンズ大学で学び、1986年に陸軍予備役将校訓練部隊プログラムを通じて軍情報将校に任じられました。また、南カリフォルニア大学でシステム管理号の修士号を取得しているほか、アメリカ国防情報大学と陸軍士官学校も卒業しています。
情報将校としてイラク、アフガニスタン、韓国などへ赴任したのち、2012年に准将に昇進して、統合参謀本部の地域間政策担当副長官や陸軍サイバー軍副司令官などを歴任。2018年にトランプ大統領からNSA長官とサイバー軍司令官に任じられました。
ニュースサイト・Fast Companyによれば、ナカソネ氏はサイバー軍司令官として、選挙への干渉を試みる海外勢力との戦いに従事し、2024年2月に後任のティモシー・ハウ空軍大将に引き継ぐまで5年強にわたり任を果たしました。
NSAは2020年に中国の軍事ハッカーが日本の防衛機密ネットワークに侵入していることを発見していますが、このときNSA長官・サイバー軍司令官だったのがナカソネ氏で、国家安全保障副補佐官のマシュー・ポッティンジャー氏とともに来日して緊急のミーティングを行っています。
中国のハッカー集団が日本の防衛機密ネットワークに侵入していたとの報道 - GIGAZINE
上院情報特別委員会の委員長を務めるマーク・ワーナー上院議員はニュースサイト・Axiosの取材に対し、「退任後にいろいろな選択肢があったであろうナカソネ氏を取締役に加えることができたのは、OpenAIにとって大きな収穫です。ナカソネ氏はサイバーセキュリティ全般、特に選挙に関連したセキュリティや中国への対抗措置について必要な専門知識をもたらしてくれるでしょう。ナカソネ氏は、中国がこれまでと性質の異なる挑戦をしている事実に対して、とても現実的な視点を持っています」と述べています。
OpenAIのブレット・テイラー会長は「ナカソネ氏の、サイバーセキュリティ分野での比類ない経験は、AIで全人類に利益をもたらすというOpenAIの使命を達成するための指針になるでしょう」とコメントしました。