パキスタンの超小型衛星が月を撮影 中国月探査機「嫦娥6号」から分離に成功

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中国国家航天局(CNSA)とパキスタン宇宙技術研究所(IST)は2024年5月10日付で、CNSAの月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」に搭載されて月周回軌道まで運ばれたパキスタンの超小型衛星「ICUBE-Q」が撮影した画像を公開しました。【最終更新:2024年5月13日15時台】


【▲ パキスタンの超小型衛星「ICUBE-Q」のカメラで日本時間2024年5月8日20時56分に撮影された画像。中央左側に月が写っている(Credit: CNSA, IST)】

こちらが公開された画像の1つです。CNSAによると、嫦娥6号から分離したICUBE-Qのカメラを使って日本時間2024年5月8日20時56分に撮影されました。中央左側に月が写っています。


嫦娥6号はCNSAによる月探査ミッションの無人探査機で、地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸し、約2kgのサンプルを採取して地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としています。着陸目標地点は南極エイトケン盆地にあるアポロ・クレーター(Apollo、アポロ盆地とも。直径約524km)の南部で、ミッション期間は約53日間とされています。ミッションが成功すれば、月の裏側からのサンプルリターンは世界初となります。


【▲ 打ち上げ準備中の月探査機「嫦娥6号」(Credit: CASC/CAST)】

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ICUBE-Q(※)は、パキスタン宇宙技術研究所、パキスタン宇宙高層大気研究委員会(SUPARCO)、上海交通大学(SJTU)が共同で開発した超小型衛星(CubeSat)で、100万画素(1280×720ピクセル)のカメラが2台搭載されています。国際ペイロードの1つとして搭載されていたICUBE-Qは、嫦娥6号が月周回軌道に投入されてから約6時間後の日本時間2024年5月8日17時14分に、周期約12時間という細長い楕円軌道の月から最も遠ざかる辺りで分離されました。パキスタン宇宙技術研究所によると、ICUBE-Qのミッション期間は3か月間とされており、今後も画像の撮影が行われる見込みです。


※…正式名称は「ICUBE-Qamar」。qamar(カマル)はアラビア語で「月」を意味する。


【▲ パキスタンの超小型衛星「ICUBE-Q」のカメラで日本時間2024年5月8日17時27分に撮影された画像。中央右側に太陽が写っている(Credit: CNSA, IST)】
【▲ パキスタンの超小型衛星「ICUBE-Q」のカメラで日本時間2024年5月9日15時38分に撮影された画像。左側に月、右側に太陽が写っている(Credit: CNSA, IST)】

なお、CNSAによると嫦娥6号にはICUBE-Qの他にも、国際ペイロードとしてスウェーデンと欧州宇宙機関(ESA)の月面負イオン検出器「NILS」、フランスのラドン検出器「DORN」、イタリアのレーザーリトロリフレクター(再帰反射器)「INRRI」が搭載されているということです。


 


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CNSA - 中国向巴基斯坦交接嫦娥六号任务巴基斯坦立方星数据IST - ICUBE-QISTIslamabad (X, fla Twitter)

文・編集/sorae編集部