クイズを通じて「自分らしいはたらく」を考える機会を考えるプロジェクトが開始
転職サービスなどを運営するパーソルキャリアが発表した"あなただけの「はたらく」を一緒につくろう"プロジェクトの開始に伴って、先日「はたらクイズ」の報道関係者向けの発表が赤坂で行われた。その模様を紹介する。
"あなただけの「はたらく」を一緒につくろう"プロジェクトから生まれた「はたらクイズ」
○「キャリアオーナーシップ」を育む社会を、企業とともに挑戦していく
最初に、今回「はたらクイズ」を立ち上げた背景や狙いについて、パーソルキャリア 代表取締役社長 瀬野尾裕さんよりプレゼンテーションが行われた。
2026年までの中期経営方針と、それを達成するために"あなただけの「はたらく」を一緒につくろう"プロジェクトを発足。
「プロジェクトを通じて、自らの可能性や機会を知り、自らのなりたい姿を考え、行動し、自らの手でキャリアをかたちづくっていく『キャリアオーナーシップ』を育くむ社会の創出を、多くの企業の皆さまとチャレンジしていきたい」と宣言した。
○楽しみながら、はたらくにまつわることを考えるきっかけに
次に『doda』編集長 桜井貴史さんより「はたらくクイズ」に関する企画趣旨と、このクイズから見えてきた多様なはたらく価値観について紹介。
「自分にとって、よりよいはたらくとは何だろう」ということを、みんなに見つけてもらいたい。そのために「はたらく」に関する疑問を100個のクイズにして、楽しみながら、はたらくにまつわることを考えるきっかけにしてほしいという思いを込めて企画したという。
『doda』編集長 桜井貴史さん
「社会全体で取り組むという覚悟のもと、本企画にご賛同いただいた12社そして著名人の皆さまからはオリジナルクイズの出題などにご参画いただき、多くの皆さまと共に『はたらクイズ』をつくりあげました」
このクイズには、事前調査で約3,000名の回答に加え、特設サイトを公開してからは、のべ38万人以上の回答数(4月23日時点)が掲載されている。
すべてのクイズに関して、年齢や役割に関係なく、誰もが自由に、ご自身の考えを投稿・回答できるのはもちろん、他の人が投稿した回答をシェアしたり、見たりすることができるようになっている。
はたらクイズ 提供:パーソルキャリア
○クイズの回答から読み解く、はたらくことへの世間の意識とは?
つづいて「はたらクイズ」にまつわるトピックを桜井さんが解説。
まず、興味・関心の高かった人気No. 1のクイズ「なぜ、労働時間は1日8時間が基本なの?」について紹介された。この1日8時間労働の由来は、1919年にILOの第1回総会で「1日8時間、週48時間と決めたのが由来とのこと。
「働き方改革により労働時間は注目を集めていますが、調査によると、通常の勤務時間制度が約60%。フレックスタイム制度は6%、変形労働時間制度は4.4%と、新たな制度を導入している企業は少なく、時代に合った制度が整っていないように思われます。今後、よりニーズに対応した制度などの変化が求められるクイズ、ならびに回答データとして見ることができます」
「はたらクイズ」にまつわるトピックを解説する桜井さん
4月より新年度を迎え、新たな企業へ転職を考える人、あるいはそれを実現した人も少なくない。そこでホットワードとして、桜井編集長が取り上げたのが「転職って、リスクが高いの?」というクイズである。
「このクイズでは、『そう思う』『どちらかといえばそう思う』が約6割を占める結果でした。転職が当たり前になってきたと言われていますが、個人にとっては、まだまだポジティブに捉えていないことが、このデータからは読み取れます」(桜井さん)
また、『doda』の登録者数では、4月のこの時期は特徴的な傾向が現れると言う。それは、学校を卒業した新社会人の登録者数が激増すること。2011年と比較すると約30倍もの登録者数になっているようだ。
調査で明かされたように、転職へリスクを感じる人はまだ多く、また転職者が激増しているかというと、それほど著しい変化は起きていないようだ。
では、なぜこんなにも増えているのか。桜井さんは、次のように分析した。
「ここ数年若年層は、転職をポジティブに捉える傾向が非常に高まっていることが調査からもわかっています。そういった若年層は、自分の市場価値や、今後必要なスキルを、企業からのスカウトメールや面談などでの客観的なアドバイスを参考にしています。20代の若者たちは、冷静な目線で転職サービスを活用する傾向があるようです」
○企業からは事業や社会課題を反映したクイズが出題
発表会後半には、「はたらクイズ」に賛同した企業のうち6社から、各社が立案したクイズに込められた思いや「はたらく」に関する考えについて議論が行われた。
ベネッセコーポレーションが出題したのは、「社会人の学びって、学生の勉強と何が違うの?」という問い。この問いの背景については、同社の大学・社会人カンパニーコミュニケーション推進グループ グループリーダーの土屋さんが、次のように言及した。
「政府がリスキリングに5年かけて1兆円の投資をすることが決定し、認知度が高まっています。そのなかで皆さんが自分らしく、よりキャリアオーナーシップをもって働くことの1つのサポート手段として学びがどういうふうに貢献できるかと考えた時に、『学生の学び』と、『大人の学び』では何かが違うのかを問いかけてみました」
「はたらクイズ」に賛同した企業の担当者が出題した問題を解説
また、「リモートでもはたらける今、オフィスって何のためにあるんだろう?」というクイズを出題。「コロナ禍でリモートワークが浸透しているなかでもオフィスの価値は同僚とのダイレクトに触れ合うことで、新たな気づきや役割が得られる場所になるかもしれません。オフィスに出社して同僚に会った時にどんな気持ちになるのか。どんな気持ちでオフィスを利用するのか、それぞれの思いを知りたいと思い、本クイズを立案しました」と、森ビル 営業本部オフィス事業部営業推進部 部長 竹田さんは話す。
この他に、「ながら」時間を学びに有効活用する方法や、リーダーだから頑張らねばならない現代の風潮などを見つめ直すようなクイズもあり、さまざまな視点で「はたらく」ことを考える機会になりそうだ。
この「はたらクイズ」は、特設サイトも公開されており、現在も自分自身で投稿したり、他の回答をシェアしたりすることが可能である。
西谷忠和 ライター兼キャリアコンサルタント。奈良県橿原市出身、東京都在住。リクルートメディアコミュニケーションズにて制作ディレクターを経験後、2006年にフリーとして活動。おもに人材採用・育成、キャリア教育などのHR領域の記事を得意としている。書籍の編集協力も手がけている。 この著者の記事一覧はこちら
"あなただけの「はたらく」を一緒につくろう"プロジェクトから生まれた「はたらクイズ」
○「キャリアオーナーシップ」を育む社会を、企業とともに挑戦していく
最初に、今回「はたらクイズ」を立ち上げた背景や狙いについて、パーソルキャリア 代表取締役社長 瀬野尾裕さんよりプレゼンテーションが行われた。
「プロジェクトを通じて、自らの可能性や機会を知り、自らのなりたい姿を考え、行動し、自らの手でキャリアをかたちづくっていく『キャリアオーナーシップ』を育くむ社会の創出を、多くの企業の皆さまとチャレンジしていきたい」と宣言した。
○楽しみながら、はたらくにまつわることを考えるきっかけに
次に『doda』編集長 桜井貴史さんより「はたらくクイズ」に関する企画趣旨と、このクイズから見えてきた多様なはたらく価値観について紹介。
「自分にとって、よりよいはたらくとは何だろう」ということを、みんなに見つけてもらいたい。そのために「はたらく」に関する疑問を100個のクイズにして、楽しみながら、はたらくにまつわることを考えるきっかけにしてほしいという思いを込めて企画したという。
『doda』編集長 桜井貴史さん
「社会全体で取り組むという覚悟のもと、本企画にご賛同いただいた12社そして著名人の皆さまからはオリジナルクイズの出題などにご参画いただき、多くの皆さまと共に『はたらクイズ』をつくりあげました」
このクイズには、事前調査で約3,000名の回答に加え、特設サイトを公開してからは、のべ38万人以上の回答数(4月23日時点)が掲載されている。
すべてのクイズに関して、年齢や役割に関係なく、誰もが自由に、ご自身の考えを投稿・回答できるのはもちろん、他の人が投稿した回答をシェアしたり、見たりすることができるようになっている。
はたらクイズ 提供:パーソルキャリア
○クイズの回答から読み解く、はたらくことへの世間の意識とは?
つづいて「はたらクイズ」にまつわるトピックを桜井さんが解説。
まず、興味・関心の高かった人気No. 1のクイズ「なぜ、労働時間は1日8時間が基本なの?」について紹介された。この1日8時間労働の由来は、1919年にILOの第1回総会で「1日8時間、週48時間と決めたのが由来とのこと。
「働き方改革により労働時間は注目を集めていますが、調査によると、通常の勤務時間制度が約60%。フレックスタイム制度は6%、変形労働時間制度は4.4%と、新たな制度を導入している企業は少なく、時代に合った制度が整っていないように思われます。今後、よりニーズに対応した制度などの変化が求められるクイズ、ならびに回答データとして見ることができます」
「はたらクイズ」にまつわるトピックを解説する桜井さん
4月より新年度を迎え、新たな企業へ転職を考える人、あるいはそれを実現した人も少なくない。そこでホットワードとして、桜井編集長が取り上げたのが「転職って、リスクが高いの?」というクイズである。
「このクイズでは、『そう思う』『どちらかといえばそう思う』が約6割を占める結果でした。転職が当たり前になってきたと言われていますが、個人にとっては、まだまだポジティブに捉えていないことが、このデータからは読み取れます」(桜井さん)
また、『doda』の登録者数では、4月のこの時期は特徴的な傾向が現れると言う。それは、学校を卒業した新社会人の登録者数が激増すること。2011年と比較すると約30倍もの登録者数になっているようだ。
調査で明かされたように、転職へリスクを感じる人はまだ多く、また転職者が激増しているかというと、それほど著しい変化は起きていないようだ。
では、なぜこんなにも増えているのか。桜井さんは、次のように分析した。
「ここ数年若年層は、転職をポジティブに捉える傾向が非常に高まっていることが調査からもわかっています。そういった若年層は、自分の市場価値や、今後必要なスキルを、企業からのスカウトメールや面談などでの客観的なアドバイスを参考にしています。20代の若者たちは、冷静な目線で転職サービスを活用する傾向があるようです」
○企業からは事業や社会課題を反映したクイズが出題
発表会後半には、「はたらクイズ」に賛同した企業のうち6社から、各社が立案したクイズに込められた思いや「はたらく」に関する考えについて議論が行われた。
ベネッセコーポレーションが出題したのは、「社会人の学びって、学生の勉強と何が違うの?」という問い。この問いの背景については、同社の大学・社会人カンパニーコミュニケーション推進グループ グループリーダーの土屋さんが、次のように言及した。
「政府がリスキリングに5年かけて1兆円の投資をすることが決定し、認知度が高まっています。そのなかで皆さんが自分らしく、よりキャリアオーナーシップをもって働くことの1つのサポート手段として学びがどういうふうに貢献できるかと考えた時に、『学生の学び』と、『大人の学び』では何かが違うのかを問いかけてみました」
「はたらクイズ」に賛同した企業の担当者が出題した問題を解説
また、「リモートでもはたらける今、オフィスって何のためにあるんだろう?」というクイズを出題。「コロナ禍でリモートワークが浸透しているなかでもオフィスの価値は同僚とのダイレクトに触れ合うことで、新たな気づきや役割が得られる場所になるかもしれません。オフィスに出社して同僚に会った時にどんな気持ちになるのか。どんな気持ちでオフィスを利用するのか、それぞれの思いを知りたいと思い、本クイズを立案しました」と、森ビル 営業本部オフィス事業部営業推進部 部長 竹田さんは話す。
この他に、「ながら」時間を学びに有効活用する方法や、リーダーだから頑張らねばならない現代の風潮などを見つめ直すようなクイズもあり、さまざまな視点で「はたらく」ことを考える機会になりそうだ。
この「はたらクイズ」は、特設サイトも公開されており、現在も自分自身で投稿したり、他の回答をシェアしたりすることが可能である。
西谷忠和 ライター兼キャリアコンサルタント。奈良県橿原市出身、東京都在住。リクルートメディアコミュニケーションズにて制作ディレクターを経験後、2006年にフリーとして活動。おもに人材採用・育成、キャリア教育などのHR領域の記事を得意としている。書籍の編集協力も手がけている。 この著者の記事一覧はこちら