13年の挑戦で3回目…シジュウカラ「入居」成功! 東急プラザ表参道『オモカド』が、施設を丸ごと「祝営巣」ジャック?
「JR山手線『原宿』駅 徒歩4分」
「新築未入居 敷地面積856平方メートル 賃料0円」
「入居条件:鳥類のみ」
今からおよそ1カ月前のこの記事、皆さんは覚えていますでしょうか。
実はこれ、東急不動産が手がける「いきもの東急不動産プロジェクト」の一環として作成したもの。東急不動産は渋谷駅から半径2.5kmのエリアを指す広域渋谷圏の事業拠点において積極的な都市緑化を進め、10年以上にわたって都心の生物多様性保全に取り組んでいます。
東急プラザ表参道『オモカド』
その知見と、不動産会社として住まいづくりをしてきた70年間の知見を生かし、いきもののことだけを考えた住まいづくりに挑戦しているのです。その一環として、都心に生息する鳥の一種であるシジュウカラに着目し、シジュウカラのニーズに合わせた「シジュウカラの邸宅」を独自に設計開発しました。
さまざまなタイプの「シジュウカラの邸宅」を設置
2024年4月4日、シジュウカラの営巣を確認
この「シジュウカラの邸宅」を設置したのは、4月に開業した話題の施設「東急プラザ原宿『ハラカド』」の向かいにある「東急プラザ表参道『オモカド』」。その6階にある屋上庭園「おもはらの森」に巣箱を設置し、シジュウカラの営巣期間に合わせて“入居募集”をしました。
【祝営巣】東急不動産が開発した「邸宅」、シジュウカラに気に入られるhttps://t.co/tnMU2UGNbp
— ライブドアニュース (@livedoornews) April 30, 2024
「入居募集開始」後の4月4日に、巣箱への入居が確認できた。巣箱に鳥が入って巣づくりするのは意外に珍しいといい、2012年から2023年に設置した巣箱では、2度しか成功しなかったそう。#PR pic.twitter.com/AUKheQr2oN
すると4月4日、この巣箱にシジュウカラの“入居”を確認することができました!こちらがその4月4日に撮影した、実際に巣箱に出入りするシジュウカラの様子です。かわいらしいですよね。どうやらこの新居をいたく気に入っているようです。
「巣箱に鳥が入って巣づくりをしている」というのはよくある光景だと思うかもしれませんが、実は意外に珍しいことです。
東急不動産は「東急プラザ表参道『オモカド』」がオープンした2012年(当時の名称は「東急プラザ表参道原宿」)から毎年「おもはらの森」に巣箱を設置し続けてきましたが、12回のうち営巣成功は2017年と2023年の2回のみで、残りの10回は営巣失敗という結果に終わっていました。
2023年に営巣に成功し、今回はその経験を生かして設計開発した「シジュウカラの邸宅」。東急不動産のこだわりは随所に表れています。例えば巣穴のサイズ。直径を28ミリにした年は営巣が確認されず、27ミリにすることで巣箱に入ってくれたのだとか。
わずか1ミリの違いではありますが、こうした試行錯誤を繰り返し、シジュウカラにとって快適な住まいを追求しているのです。
また、今年はスタンダードな「ワンルームタイプ」、木の洞(うろ)に近い形の「楕円ワンルームタイプ」、1階と2階でスペースを分けられる「メゾネットタイプ」の3種類を用意。
楕円ワンルームタイプ(上)、ワンルームタイプ(左下)、メゾネットタイプ(右下)
木材の種類もシジュウカラのニーズをもとにしてスギ、ヒノキ、ヒバの3種類を使い、合計9種類の「邸宅」を用意したところ、みごと2年連続の「入居」が決まったというわけです。
今年のご入居は、シンプルな「ワンルームタイプ」でした
「いきもの東急不動産プロジェクト」を推進する東急不動産は、2回目の営巣成功を成し遂げた喜びを次のように語っています。
「シジュウカラのことを想い、試行錯誤して作った家に、入居してくれたのを生で見たときの感動は、以前携わっていたマンションの開発に似ていて、住む人のためを想い計画を推進して、実際に入居して嬉しそうにしている人を見たときの感動と同じでした。生物としての種別は関係なく、いきもののための不動産開発。想いは同じだと感じました」
施設全体で“祝 営巣”ジャックを実施
12年間にわたる挑戦で、営巣成功はたったの2回。東急不動産にとっても悲願だったこの3度目の快挙を祝し、「東急プラザ表参道『オモカド』」のエントランスや施設全体を期間限定で“祝 営巣”ジャックをすることに。
エントランスのエレベーターには「祝 営巣」と掲げられ、階段部分にも同じ文字があしらわれます。「祝」の文字には、よく見るとシジュウカラがデザインされています。
また、館内の吹き抜け部分には「これは、シジュウカラを待ちつづけた私たちの物語。」と掲出され、3階から5階のエスカレーター脇やその周囲には、シジュウカラを迎え入れようと苦悩し、試行錯誤する様子がストーリー仕立てで紹介。
そのストーリーを追いながら6階にたどり着くと、「おもはらの森」出入り口のガラスドアには「だけど、その時は、突然やってきた。」の一文が。ガラスドアを抜けて「おもはらの森」に出ると、「2024.4.4 祝 営巣」と書かれた巨大ポスターが出迎えてくれます。
このポスターには「あの辺です」と実際に営巣している「シジュウカラの邸宅」を指す矢印も描かれていますので、巣箱を探して確認してみてください。
また、「おもはらの森」では、4月30日(火)から5月6日(月)までの日程で、誰でもシジュウカラになれる巨大巣箱イベントを実施しています。
実際の「シジュウカラの邸宅」の約10倍の大きさの巨大巣箱が設置されています。このゴールデンウィークは「東急プラザ表参道『オモハラ』」に足を運び、巨大巣箱の仲に入って“シジュウカラ気分”を味わいつつ、都会で暮らす多様ないきものたちに思いを馳せてみるのも良いかもしれません。
・いきもの東急不動産
・東急プラザ表参道「オモカド」