北陸新幹線が敦賀まで延伸開業! 福井県のマンション市場はどう動く?
2024年3月16日、北陸新幹線が石川県の金沢駅から福井県の敦賀駅まで延伸開業しました。一段と利便性が高まり、福井県への注目度が高まりそうです。開業後には実際に利便性が高まったことが実感できるようになり、福井県内のマンションなどの住宅価格がもう一段高まる可能性があります。注目しておきたいところです。
敦賀まで50分の短縮で730円お得になる
2024年3月の北陸新幹線の敦賀までの延伸に先立って、2015年3月には長野駅から金沢駅までの延伸が実現。沿線の新潟県、富山県、終点の石川県への注目度が高まりました。特に金沢駅は大規模なリニューアルが実施され、周辺での再開発が進み街の表情が一変。マンションをはじめとする住宅価格も上昇しました。
今回は、金沢駅から石川県内の小松駅、加賀温泉駅、福井県の芦原温泉駅、福井駅、越前たけふ駅、敦賀駅の6駅が開業します。従来、東京~敦賀は北陸新幹線で金沢駅に出て、在来線特急に乗り換えて3時間58分かかっていたのが、延伸によって北陸新幹線で直結され、3時間8分で行けるようになります。およそ50分の短縮です。
しかも、注目しておきたいのは料金も安くなるという点。これまでは北陸新幹線で金沢に出て在来線特急に乗り換えが必要で、料金は合計1万7,290円でした。これからは新幹線のみのチケットでOKになるので、1万6,560円ですみます。730円もお得になるのです。
10年前に比べて中古マンションが8割アップ
それを見込んで、福井県のマンション価格も上がり始めています。マンション情報の「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドでは、全国都道府県別の70平方メートル換算中古マンション価格の調査を行っています。それによると、福井県の中古マンション価格は2013年には961万円と1,000万円を切っていたのが、北陸新幹線の開業が近づいてきたこともあってその後急激に上昇しています。
図表1にあるように、2018年には1,189万円に、2022年には1,734万円まで上がりました。2023年は1,735万円と横ばいで推移していますが、10年前との騰落率(上昇率)をみると、何と80.6%もアップしていることになります。
ちなみに、中古マンション価格が最も高い東京都をみると、図表2にあるように、2013年が3,487万円に対して、2023年は6,027万円と上昇率は72.8%です。福井県はそれよりも高い上昇率であり、注目度の高さが数字に反映されているといえます。
延伸実現後にも、もう一段階のアップを期待
新線や新駅の開業が、周辺の住宅などの相場に大きく影響してくるのは言うまでもありませんが、その上昇の波は何段階かに分けて訪れます。
まず、第一段階は計画が話題になり始めたころです。まだ海の物とも山の物ともつかぬ段階で、先物的に不動産が買われ価格が上昇します。次に第二段階として、計画が本決まりになって、本格的に事業が動きだしたときが挙げられます。今回の敦賀までの延伸については、2015年の金沢までの延伸が実現し、次は敦賀までという機運が高まった時期がこの第2段階だといえるでしょう。実際、2013年の961万円が2018年には1,189万円に上がりました。5年間で23.7%上がった計算です。
そして、第三段階は計画が実現直前になって、周辺の再開発などの姿が明確になってくる時期です。そのため、福井県の中古マンション価格は2020年の1,143万円が2022年には1,734万円にまで上昇しました。3年間で50%以上の上昇率です。
これで終わりではありません。実際に延伸が実現し、利便性の高まりを実感できるようになって人の動きが活発化してくれば、もう一段階の上昇が期待できます。
福井駅には恐竜王国のモニュメントも
延伸が実現すれば、地元に住む人だけでなく、各地から福井県を訪れる人たちも交通利便性の向上を実感できるようになります。それだけではありません。北陸新幹線延伸に向けて、福井駅や敦賀駅周辺では大規模な再開発が進められており、青写真だけだったものが現実のものとなります。
福井駅では、「恐竜王国福井」をアピールするため、駅前に恐竜のモニュメントが多数設置されました。西口に「恐竜広場」が設けられ、動く実物大のモニュメントのほか、東口の福井市観光交流センターの屋上には親子愛、家族愛をコンセプトにしたユニークな恐竜のモニュメントも登場します。
また敦賀駅は、新幹線駅舎が地上37メートルの高さに設置され、新幹線ホームから敦賀湾を見渡せるようになります。江戸時代には蝦夷地から上方・大坂(大阪)に向かう北前船が寄港して栄えた歴史を象徴するように、コンコースの天井には北前船の帆を、ホームには船の甲板をイメージした木目調が採用され、港で発展した町らしいデザインになっています。こうした変化を実感できるようになり、福井駅や敦賀駅、その周辺への関心も高まるでしょう。
福井駅前のにぎわいを創出する街づくり
福井駅の周辺では、大規模な再開発が進行し、マンションの分譲も行われています。福井駅前電車通り北地区で進められている「FUKUMACHI BLOCK(ふくまちブロック)」は、ホテル、商業施設、マンションなどが一体となった複合開発です。2021年に着工、新幹線延伸が開業する2024年3月にはホテルや商業施設の一部が開業。残りも2024年5月に竣工し、駅前の表情が一変する予定です。
地上28階、高さ約120メートルのホテル・オフィス棟、地上28階、高さ約100メートルの住宅棟、駐車場棟で構成され、福井市の都市機能が強化されます。あわせて、駅前電車通り沿道や新施設の1階の南北方向には歩行者空間を確保、歩行者ネットワークが形成され、地区のにぎわいが創出されます。
ちなみに、「FUKUMACHI BLOCK(ふくまちブロック)」の名称は、「福井まちなか」を表す“ふくまち”と、「街区」を意味する“ブロック”を組み合わせた造語だそうです。
中間階免震構造を採用して大規模地震にも対応
住宅棟のマンションは、「ザ・福井タワー スカイレジデンス」。建物は鉄筋コンクリート造・鉄骨造の地上28階建てで、総戸数は118戸です。分譲マンションとしては福井県最高層。福井県だけではなく、石川県を含めた北陸地方の最高層になります※。新幹線駅前にふさわしい、新たな北陸、福井のランドマークになるでしょう。
※北陸三県(富山県、石川県、福井県)の分譲マンションにおいて、本物件の28階建てが過去供給物件の中で最高層となります(2022年2月時点 株式会社東京カンテイ調べ)。すべての分譲マンションを対象に、実在する分譲マンションで株式会社東京カンテイのデータベースに登録のある物件を調査、全期を調査対象。
2024年4月上旬現在、第2期の先着順販売が行われていて、8戸が販売されています。専有面積は76.24平方メートル~128.43平方メートルで、間取りは2LDK・3LDKです。価格は4,790万円から1億490万円まであります。
福井県といえば、2024年の元日に石川県を中心にした「令和6年能登半島地震」の影響を受けましたが、「ザ・福井タワー スカイレジデンス」では、中間階免震構造が採用されています。
通常、免震構造といえば、基礎の地中部分に免震装置を設置しますが、中間階免震構造では、地上の中間階に免震装置を設置します。そのため、揺れ分を考慮したスペースや空間が不要になり、敷地の有効活用につながります。もちろん、揺れ幅が小さくなるのは変わらないので、大地震の際にも、被害を最小限に食い止めることができるでしょう。
駅前から中心街が始まる駅前都市を形成
地方の県庁所在地では都市の中心部が駅前から離れていることが多く、それが地域の発展を阻害する要因になっていることが多いと考えられますが、福井駅は駅前から中心市街地が始まります。「ハピリン」「西武福井店」などの大規模商業施設が福井駅に隣接し、市役所や県庁などの官公庁、金融機関、オフィスも駅周辺に集積しています。緑の豊富な公園なども多く、まさにコンパクトシティとして、快適な都市機能を享受できるようになっています。
新幹線の延伸、開業によりいっそうの発展が期待される福井県と福井市や敦賀市などの街。移住や二拠点居住先などとして、あるいは投資用として注目しておきたいところです。