紫苑さん「高いモノのなかには、実は安価なモノとあまり変わらないモノが」(写真:『73歳、月5万円でますます快適! 「ちょうどいい」を自分で創る ごきげんプチプラ生活』より)

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2024年1月に、年金額が昨年度から2.7%引き上げられましたが、物価高もあり、将来に備えてお金を貯めたくてもなかなか貯まらない…と悩む方も多いことでしょう。そこで今回は、年金月5万円でも楽しく暮らすブロガー・紫苑さんに、節約術やお金との向き合い方を教えていただきました。紫苑さんいわく「高いモノのなかには、実は安価なモノとあまり変わらないモノがある」そうで――。

【マンガ】食べると美味しい上にどんどん健康になった食材とは…

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質と値段の法則

「安物買いの銭失い」という言葉があります。質のいいものは高い、高いものは質がいいと思われていますが、果たしてそれは本当でしょうか。

今ではプチプラコスメが優秀なことはよく知られています。実際、基礎化粧品のニベアは高級基礎化粧品と成分は変わらないのです。

少し前に「ニセモノと本物」を見分けるテレビ番組がありました。

高級品と百均グッズ、高級和牛と安い牛肉などを並べ、どれが「本物」かを当てる番組です。

高級品を買い、グルメを食べているタレントたちでさえ、その真贋(しんがん)がわからず右往左往する様子が面白い番組でした。

ここで言いたいのは、安くてもいいモノがある、ということではありません。高いモノのなかには安価なモノとあまり変わらないモノがあるということです。

あるモノの値段が高い安いという前に、自分にとっての適正な価格と質を考えることが先。

モノが先にあるのではなく、自分が先にあるということです。

イワシ

たとえば、わたしの1万円食費で「イワシ」は大きな位置を占めています。

最初こそ、安いという理由で買っていましたが、実際、食べると美味しい上にどんどん健康になりました。


『73歳、月5万円でますます快適! 「ちょうどいい」を自分で創る ごきげんプチプラ生活』(著:紫苑/廣済堂出版)

そうなるとレシピの幅も増え、今ではスーパーにないと寂しい、もの足りないとまで感じるようになっています。

ちなみに、安さと栄養の関係からいうと、イワシ、レバー、サバ、豚肉、牛肉という順で優秀ということになります。

そして、今のわたしにとっては おおむね「美味しい順」でもあります。

安売りのトリックを知っておく

こんな話があります。

あるスーパーでそれまでの「安売り」「値引き」をやめて、常に適正価格で売り出しをしたところ、途端に客足は途絶え、そのスーパーは倒産の危機に陥ったそうです。急遽、売り方を前に戻し「50%引き」「30%引き」と大売り出しをしたところ、店は再び盛況に。

多くの人は「適正価格」より「安売り」「値引き」のほうにお得感を感じるようです。

確かに「適正価格1万円」より、「2万円のお品を半額の1万円で!」と表示してあるほうが、お得な気がします。

わたしもよく引っ掛かったものです。

それを使うたびに「本当は2万円のお品」と満足なわけです。最初から本当の価値は1万円でもね。

こんなトリックに多くの人が引っ掛かるのには、いくつかの理由があります。

(1)その品物の値段が本当に適正価格なのか、見分ける力がない。

(2)2万円の品物が1万円で買えると思うことで、1万円得したと思う。

その品物が本当に2万円の価値があるのかどうかはわかりません。買わない選択をすれば、1万円は手元に残ります。それでも「使うお得」を選ぶ。

(3)高級品のトリックを知らない。

ニセモノのブランドバッグは、たとえば本物が15万円だとすると、2万円で売るより6万、7万円で売るほうがよく売れるといいます。

2万円ならニセモノだからこんなに安いのだろうと思ってしまいますが、6万円だと本物と思ってしまう。

恥ずかしい失敗

ブランド品に関してはわたし自身、恥ずかしい失敗をしたことがあります。

大金を得る機会があったとき、駅の近くの店であるブランドのバッグを買いました。新しい型だし、と7万円で購入。おまけに蜂蜜で作ったボディスクラブまでくれました。

安い上におまけ付きだ! ある日、電車に乗ったときのことです。バッグを膝に置いて座っていると、いかにもなおじさんがスタスタとやってきて一言。

「そのバッグ、ニセモノだよ」

幸い、電車は空いていましたが、それでも周りの人がチラ見しています。

「ほら、この部分が反っているだろ。ニセモノの印。見る人が見るとすぐにわかるよ」

そのあと、こう続けました。

「ニセモノはただの塩化ビニールだから数千円、まあ、本物だって素材は同じだけどね」

そのニセモノバッグは、今も押し入れの奥にあります。ニセモノと断言されたバッグは使うに使えず、それでもブランド仕様の模様が目立つので捨てるに捨てられない。いつか袋に入れて捨てるしかないですね。

「値段が1万円程度だったら買ってなかったな……」と思うと、自分の愚かさが恥ずかしくなります。

かつてのわたしほどではないでしょうが、高いモノ=質がいいという思い込みは多くの人にあります。その心理的な誘導効果は結構大きいものです。

※本稿は、『73歳、月5万円でますます快適! 「ちょうどいい」を自分で創る ごきげんプチプラ生活』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。