Windows 11のエクスプローラーが抱える問題として、コンテキストメニューやコマンドバー(モダン化したリボン)の「新規作成」から、「テキストドキュメント」が消える怪現象が発生している。筆者も2023年中は頻繁に発生して悩まされたが、2024年に入ると本現象は発生せず、ようやく落ち着いたと安堵(あんど)していた。だが、そうではなかった。本誌編集部によればWindows 11に移行した直近のPCで本現象が発生したという。

正常動作するエクスプローラー

問題が発生したエクスプローラー。「新規作成」に「テキストドキュメント」がない

「新規作成」は少々面倒な管理手法を選択してきた。個々のファイルタイプ情報を格納するHKEY_CLASSES_ROOT\(拡張子やファイルタイプ)キー下にShellNewキーを作成。文字列値「~FileName」からテンプレートファイルを呼び出す仕組みである。たとえばテキストファイルはHKEY_CLASSES_ROOT\.txt\ShellNewキーで、テンプレートファイルなしを示す文字列値「NullFile」を参照する仕組みだ。基本的な仕組みはWindows 11も踏襲しているが、当初はProject Reunionと呼ばれていたWindows App SDKのコンポーネントであるWinUI 2、現在はWinUI 3へ段階的に移行しつつ、機能改善に努めている。Windows 11のエクスプローラーはタブ機能を備える一方で、タスクバーの固定化など使い勝手の悪さと不安定さを残している。

WinUI 3 Galleryでは各機能を確認できる

○PC再起動か「メモ帳」再インストールで改善

ただ、本現象とWinUI 3の関係は乏しいだろう。なぜならWinUI 3はFluent Designの実現が主目的であることから、アプリの低レベルな機能に影響をおよぼすとは考えにくい。エクスプローラーと何らかのアプリ/サービスが衝突していると考えるのが自然だ。筆者の環境ではExplorer.exeの再起動、再サインインではなくPCの再起動で本現象を解消してきたが、確実に対処するには「メモ帳(Windows Notepad)」の再インストールが適切である。

「設定」の「アプリ/インストールしているアプリ」から「メモ帳」をアンインストールする

Microsoft Storeで「Windows Notepad」をインストールする

上記操作に加えてWindows 11の再サインインが必要になるものの、各メニューにテキストドキュメントが復活した。おそらくテキストファイルに関連付けているメモ帳を再インストールすることで、構成を再構築しているのだろう。また、メモ帳を再インストールした直後は各メニューにテキストドキュメントが現れず、再構築した構成の読み込みプロセスが必要なのである。

本現象が問題なのは他の作業中に発生することだ。たとえば筆者の場合は、取材対象となるオンライン発表会やウェビナー参加中に発生し、視聴終了を待たなければならない。また、多くの方々は出社後もしくはリモートワークを開始するためにPCを立ち上げると本現象に出くわし、歯がゆい思いをされたことだろう。Windows 11 バージョン21H2から使い続けてきたが、エクスプローラーに関しては"三歩進んで二歩下がる"状態だ。今年登場するといわれているバージョン24H2では落ち着きを見せてほしい。