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世のハイスペックな男女は、一流企業に勤めてバリバリ稼ぐ。何も苦労もせずに働き、華やかな印象だ。

だが、そんな一流企業を辞める人も多く存在する。では、なぜ彼らは退職という道を選んだのだろうか?

そこにはその業界、その企業に勤めた人にしかわからない、光と闇が広がっていた。

Vol.4で取り上げるのは、テレビ局だ。

かつては就職人気企業のランキング上位の常連だったが…。現在はどうなのだろうか。

取材・文/風間文子




【今回の取材対象者】
名前:桜木優斗さん(仮名・30代)
職歴:キー局(1年)⇒フリーランス
当時の年収:500万円
最終学歴:慶應義塾大学 法学部政治学科



テレビの世界で、自分のドラマを作りたい


「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」

劇場版『踊る大捜査線』(THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間)で、俳優・織田裕二演じる青島俊作が幹部らにそう吠えたのは90年代後半のことだ。

そして時代は令和となり、同映画は過去のものとなった。…はずが、取材に協力してくれた男性からテレビ局の実態を聞く限り、冒頭のセリフと同じ思いを抱く若者は少なくないようだ。

昨今話題となっている原作ドラマ化問題も、男性が指摘する“テレビ局の闇”に端を発しているように思えてならない。

晴れ渡る4月の始め。都内観光名所にもなっている社屋で行われた入社式に、桜木優斗さんの姿はあった。

就職先は5大キー局(日本テレビ放送網、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョン)のうちの1社だ。

彼が在学していた大学には、キー局に就職していく先輩も多くいた。

「そんな先輩たちから、テレビの世界には才能ある人たちが山のようにいるだとか、あの芸能人はこうだとかいった話題を聞かされて、キラキラして見えた」(優斗さん)

一方、優斗さんは学生時代に多くのにテレビドラマを見て、いつしか自分でドラマを作ってみたいと思うようになる。

入社先の倍率はエントリーシート時点で約800倍といわれ、入社試験の面接では毎回難解なテーマを出されるも、見事内定を勝ち取った。

もちろん、希望はテレビドラマの制作だった。ディレクターを経てプロデューサーとなり、自分でも脚本を書いてみたい。想いは尽きなかった。

しかし、優斗さんは数年前にテレビ局を去っている。

「決して悪いことばかりだったわけじゃないんです。だけど…」

彼が垣間見たテレビ局の闇とは、いかなるものだったのだろうか。

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