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国民病とも言われる「不眠症」。いまや日本人の5人に1人が不眠に悩まされている。

現代人は仕事や遊びで忙しく、アドレナリン全開で張り切りがち。そして、メンタルの不調もあいまって、寝る時間が変動してしまうのだ。

しかし、どんなときでも仕事で最大限のパフォーマンスを求められることは変わらない。

「夜によく眠れないし、仕事中に睡魔が…」と思った、そこのあなた!

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取材・文/三木明子



「寝つきの悪さが改善されず、数時間しか眠れない」勇人(32歳)の場合


「勇人、いま帰ってきたの?」

同棲している彼女の美雪が、ランニングから帰ってきた俺を見て驚いた声を上げる。

「…もう23時だよ。私は先に寝るけど、勇人も早く寝なよ」

美雪は「おやすみ」と言って寝室へ消えた。

汗を流すために熱い湯船につかると、言葉にならない快感がある。



俺がランニングを始めたのは2週間ほど前。

大学卒業後に大手メーカーへ入社し、希望だった営業部に配属されて10年。

32歳になったいま、業績も上々だ。きっちり仕事を進めなければ気が済まない真面目な性格を上司に買われ、主要取引先の担当を半年前から任されたところである。

それからというもの…帰宅しても仕事への緊張感が抜けなくなってしまい、ベッドで横になっても次から次へと考え事が浮かぶようになった。隣で寝ている美雪から「スマホの光がまぶしい」と、何度も叱られた。

2〜3時間しか眠れない日も増え、会社ではそつなく仕事をこなしているつもりだが、商談中に強烈な眠気に襲われることも珍しくなかった。

そんなある日。外回りから帰ってくると、上司から思いがけない指摘を受けた。

「頑張っていることは認めるけど、取引先から『資料に記載されていた数値が違う』ってクレームがあったぞ。ミスは誰にでもあることだけど…君、顔に疲れがでてるぞ。健康管理も仕事のうちだと心得てくれよ」

そう言って、上司は俺の肩を軽く叩いて去っていく。

気持ちばかり焦って、頑張れば頑張るほどすべてが空回りしていることは自分でも気づいていた。

健康のため何か始めなければ――そう考えた結果、ひとまず体力をつけるため、帰宅後に1時間のランニングを始めることにしたのだ。

仕事から帰ってくるのはだいたい21時過ぎなので、準備してからランニングへ行くと戻ってくるのは23時近くになる。それから風呂に入るのが最近のルーティンだ。

ランニング後は独特の高揚感があり、「これがランナーズハイってやつか」と運動している自分に満足する一方で、肝心の悩みは解決していなかった。

寝つきの悪さが改善されないのだ。

むしろ以前より目がさえて、眠気を引き起こすために缶ビールを数本飲むこともある。




時刻は深夜0時を回っている。

残念ながら、今日も寝つける気がしない。ソファに座り「快眠グッズ」をスマホで検索する。

こういうことを調べ始めるとやめられなくなるのが俺の悪いクセだ。

「新しい枕でも買おうかな…」

寝具メーカーのサイトを検索していたそのとき――。




「勇人さん、寝る前のスマホは睡眠の質を下げる大きな原因です!」

突然、スマホにマッチョな男が映し出され、俺に呼びかけてきた。

― 新たなWEB広告の手法だろうか…?

驚く俺におかまいなしで、男は話を続ける。

「体づくりで大切なのは、筋肉をつけることだけではありません!睡眠の悩みも運動で解決しましょう!」

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