「アイドルマスター ミリオンライブ!」のライブイベント「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR Act-4 MILLION THE@TER!!!!」DAY1が2024年2月24日、神奈川県・Kアリーナ横浜にて開催された。

DAY1には春日未来役の山崎はるか、伊吹翼役のMachico、島原エレナ役の角元明日香、佐竹美奈子役の大関英里、所恵美役の藤井ゆきよ、箱崎星梨花役の麻倉もも、野々原茜役の小笠原早紀、望月杏奈役の夏川椎菜、ロコ役の中村温姫、七尾百合子役の伊藤美来、高山紗代子役の駒形友梨、中谷育役の原嶋あかり、天空橋朋花役の小岩井ことり、エミリー スチュアート役の郁原ゆう、北沢志保役の雨宮天、木下ひなた役の田村奈央、矢吹可奈役の木戸衣吹、横山奈緒役の渡部優衣、二階堂千鶴役の野村香菜子、大神環役の稲川英里、豊川風花役の末柄里恵、宮尾美也役の桐谷蝶々、福田のり子役の浜崎奈々、真壁瑞希役の阿部里果、篠宮可憐役の近藤唯、百瀬莉緒役の山口立花子、永吉昴役の斉藤佑圭、北上麗花役の平山笑美、周防桃子役の渡部恵子、ジュリア役の愛美、白石紬役の南早紀、桜守歌織役の香里有佐、以上32名が出演した。

TEXT BY 中里キリ

同ライブは2023年4月からスタートした「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR」のラストを締めくくるもので、DAY1には32名、DAY2には39名全員のシアターアイドルが出演する10年の集大成というべきライブだ。開演前にはスクリーンにて、765プロの事務員・青羽美咲より想いと熱のこもった前説と諸注意が行なわれた。劇場を思わせる開演ブザーと壮大なオーバーチュアが鳴り響き、スクリーンには横浜を思わせる大都市のストリートに出演アイドルたちのシルエットフラッグが立ち並ぶ光景と、シアターの幕が開く演出が繰り広げられた。



開幕とともに流れたイントロは「Welcome!!」。歴代メインテーマの中ではライブでの披露がかなり久しぶりとなる楽曲に、会場は待ちに待ったというムードだ。ステージの上下段にズラリと並んだアイドルたちは、全員がそれぞれにデザインが違う個別衣装を着用。ライブでのユニット衣装のバリエーションが多い「ミリオンライブ!」だが、アイドル個人の個別衣装によるライブは初めての試み。それが32人となると本当に華やかで、遠目でも各アイドルのカラーが確認できる。山崎はるかが「プロデューサーさん、お待たせしました!」とツアーファイナル公演への呼び込みを高らかに告げてライブはスタート。盛り上げどころで「ようこそ!」「みんなと会えて嬉しい!」「私、頑張ります!」「夢をかなえるために!」と続く呼びかけは山崎→Machico→南早紀→香里有佐のリレー。作品を初期から支えてきた信号機のふたりからもっとも新しいふたりへとバトンをつないだ。

開演の挨拶では、南が個別衣装についてふれると会場は大歓声に包まれた。観客の「回って〜!」のリクエストに応えて32人がくるりと回ると、その個性の豊かさに驚くばかりだ。



改めての開演宣言を受けてのトップバッターは、麻倉もも、伊藤美来、小岩井ことりによる「Legend Girls!!」。オープニングには「プロデューサーさん、ここから始まる私たちの伝説、見届けてください!」と声を揃えた。同曲は2013年に発売された「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER PERFORMANCE 02」の収録曲であり、全体曲の「Thank You!」を除けば最初にリリースされた楽曲だ。ここからまた新しい伝説をはじめていくという意志を込めたパフォーマンスは、この3人ならではと言えるカワイイの三重奏。まさに伝説の目撃者となっていることを実感する。麻倉が「みんな一緒に歌ってくださいね!」と呼び込むと、会場はうねるような大歓声とコールで応えていく。3人がステージを楽しんでいる様子が眩しい笑顔からも伝わってきて、ラストは最高の笑顔のピースサインで締めくくった。

ソロの先陣を切ったのは小笠原早紀の「AIKANE?」。スーパーハイテンションで「茜ちゃーん!!」の声を響かせると、「Act4ではソロ曲をメドレーでやっちゃいまーす!」と宣言した。猫耳と猫しっぽの衣装がキュート! アップテンポなパートからこぶしを効かせて歌い上げるパートまで盛りだくさんで、全力で繰り広げるAKANEちゃんワールドだ。“あかねちゃん”あいうえお作文も繰り出して、テンション最高潮のまま駆け抜けるステージだった。

平山笑美は「FIND YOUR WIND!」を歌唱。ステージに歩み出した平山はゆったりと手を振ると、歌い出しと共に即トップギアへ。高く突き抜ける歌声がKアリーナ全体に響き渡っていった。衣装にあしらわれた紫に染め上げたレースの花が目を惹く。「ハイ!ハイ!」とコールを呼び込むと、会場全体を揺らすような声援が打てば響くように応える。圧倒的な歌唱と安定感を両立したステージに、MCで駒形友梨も思わず「歌うまいよね」と直球のコメントをしていた。

駒形友梨は「Only One Second」を披露。トップギアのまま駆け抜けるような曲の並びだ。ビジュアルもボーカルもあまりに鮮やかな歌い出し。「ハイ!ハイ!」の煽りで会場をうねりのような歓声と光が包みこむさまはまさに“最高の光景に会える場所”で、駒形からは感情があふれだすようなシャウトが漏れた。アウトロのキビキビとしたダンスも潔く、ゆったりと突き上げた人差し指が高々と天を指した。メドレーサイズならではのフルスロットルの歌唱だった。

大関英里は「SUPER SIZE LOVE!!」を歌唱。ステージに飛び出した大関は「Kアリーナ、声聞かせて!!」。元気とエネルギーを具現化したようなパフォーマンスを見せると、拳を元気いっぱいにつきあげる。ラップパートで客席のコールを全力で呼び込むと、それ以上のパワーをステージから返していく。会場全体の「おかわり!!」を浴びた大関は、全力ピースとともに「ありがと」の形に口を動かし、はにかんだように笑っていた。MCで大関は圧倒的な歓声について「おかわりが降ってきた」と表現していた。



角元明日香、中村温姫、原嶋あかりは「ゲキテキ!ムテキ!恋したい!」をオリジナルメンバーで披露。星座ユニット・レオの楽曲で、「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!」以来の歌唱となる。この3人らしい心浮き立つようなハッピーなステージで、センターで小柄な原嶋が一際躍動している。明るく楽しい楽曲なのに、歌詞の中身はビターな恋の終わりを歌っているギャップがこの曲の魅力だ。間奏ではダンスとピースサイン掲げを3分割画面で切り抜いた。息の合ったパフォーマンスのラストは、どやっとかわいらしいポーズでキメた。MCで角元は、歌い分けをCD音源に合わせた苦労を語っていた。



山崎はるか、藤井ゆきよ、小笠原早紀、夏川椎菜、駒形友梨は「ショコラブル*イブ」をオリジナルメンバーで披露。10日遅れのバレンタインプレゼントに、5人それぞれのキュートさと愛情を目いっぱいに込めていく。センターの藤井が「大好きだよ、10年間ずっとね!」とこの場ならではの言葉を届けて観客を魅了。ラストは全員の想いを込めて「好きです! これからもずーっと、よろしくね!」と声を揃えていた。



大関英里、藤井ゆきよ、渡部恵子、南早紀は「花びらメモリーズ」を歌唱。劇中劇「聖ミリオン女学園」発の楽曲をオリジナルメンバーで披露した。ややダークで疾走感のある曲調の中で、渡部の物語に入り込んだ抒情的な歌唱や南の情熱的な歌唱などそれぞれの色が弾ける。間奏前の南の「このまま!」の祈りのようなフレーズが鮮烈だ。ゆったりと歌い上げる藤井のビジュアルの仕上がりが素晴らしい。ラスト、感情があふれ出すように切実な大関のキメが印象に残った。MCでは、南と大関がやっとフルメンバーで歌えた喜びを爆発させていた。



「スペードのQ」は郁原ゆう、雨宮天、斉藤佑圭が披露。妖しい空気の旋律の中、斉藤の目元のハートのメイクと楽曲のマッチングがいい。間奏のちょこまかとした移動がかわいらしい。雨宮や郁原のどこかつややかな笑顔の表現のニュアンスの違いが印象的で、雨宮はMCで「それぞれのヤンデレの表現が違う」と話していた。個人的に記憶に残ったのは斉藤の表現の仕上がり具合で、ジャケットプレイのちょっとした動きで表現するセクシーさや、ラストの闇の中に浮かぶ表情感が鮮烈だった。

山口立花子は「Border LINE→→→♡」を歌唱。イントロのセクシーかつキュートに躍動するダンスで引き込むと、セクシーで余裕たっぷりの莉緒ならではの世界をステージに展開していった。最後はアウトロのダンスと最高のキメで締めくくった。

末柄里恵は「オレンジの空の下」を披露。ドレッシーな衣装で優雅に舞いながら朗らかに歌うと、まぶたの裏に夕暮れの美しい光景が広がるようだ。心が浄化されるようなステージを終えると、末柄は優しく華やかに笑いながら手を振っていた。MCで末柄は「ミリシタ」の振付も取り込んで10年の歴史を込めたと語っていた。

中村温姫は「STEREOPHONIC ISOTONIC」を歌唱。絵の具のボタンやパレットの飾りなど、ロコらしいアートが衣装にも展開されている。ロコ語を交えながらの表現はキュートで元気いっぱい。見せ場はやはり超高速のロコラップパートで、今日もパーフェクトにさく裂していた。MCで中村は「自分を信じてくれるみんながいるという自信で頑張りました」と語っていた。

浜崎奈々は「マイペース☆マイウェイ」を披露。のびやかでエネルギーを感じさせる歌唱が気持ちいい。楽しくもあり、どこか胸がぎゅっとなるような感動もある不思議な楽曲だ。ラストの“マイペース☆マイウェイでいこう♪”の気持ちがほとばしるような堂々たる歌唱と笑顔が印象的だった。

木戸衣吹は「おまじない」を歌唱。オレンジ色を基調にした衣装やビジュアル、ステージングのすべてがこれぞアイドルという輝きを放っている。ポーズのひとつひとつが絵になって決まっていて、「約束だよ!」と小指を突き出す姿には、視線を釘づけにされるような華があった。MCで木戸は「次は私がみんなにおまじないをかける番という気持ちで歌いました」と語っていた。



麻倉もも、田村奈央、桐谷蝶々、近藤唯は「旅立ちのコンパス」を披露。ユニット・Fleurangesがフルメンバーで揃った。足元の靴下やローファーまでこだわりのある揃いの衣装に着替えての登場だ。田村奈央の素朴でオリジナルな歌声でつかみ、桐谷のとろりとした甘い歌唱が続いたりとそれぞれの声質と歌質が本当に個性的な4人だ。ステージには癒しのオーラがあふれていて、新しい一歩を踏み出す勇気が湧いてくるようなパフォーマンスだった。



伊藤美来、小岩井ことり、香里有佐は「Harmony 4 You」を歌唱。同曲は「アイドルマスターミリオンライブ! シアターデイズ」4周年記念楽曲で、全体曲をトリオで披露するのは意外な構成だ。追いかけあう清涼でまっすぐなボーカルたち。センター香里の頼りになる存在感が「ミリシタ」とともに重ねてきた日々を感じさせる。歌声の粒がはっきりわかるトリオ編成にしたことで3人のアイドル性の強さが立ち上って、また違った魅力を持った正調アイドルソングとして成立している気がした。



夏川椎菜、木戸衣吹、愛美は「CHEER UP! HEARTS UP!」を披露。いずれもオリジナル歌唱メンバーだ。木戸、夏川、愛美と続く歌い出しのラップパートはとてもキュートで、中でも愛美のビジュアルと表情があまりにもジュリアそのものを感じさせて強い。3人の歌声とパワーがひとつになって、だんだんと力強さを増していくイメージだ。アウトロに至るまでエンターテイメントとしての強度が高く、応援で元気を届けるようなパフォーマンスだった。



渡部優衣、桐谷蝶々、阿部里果は「夢見がちBride」を歌唱。軽快なラップの歌い出しは阿部で、抑揚抑え目の瑞希らしいラップと柔らかなウィンクのギャップが印象的だ。渡部の関西テイストにあふれたラップ、桐谷のスイートなラップと個性豊かな歌い継ぎが楽しい。空間がハッピーなテイストにあふれていて、ステージにひと時の初夏が訪れたようだった。MCで桐谷は結城アイラの詞を絶賛すると、いつかフルメンバーで歌いたいと夢を語っていた。

ソロメドレーゾーンは郁原ゆうの「絵羽模様」からスタート。柔らかな笑顔と包み込むような表現とともに、エミリーの世界が美しく広がっていく。和のテイストを取り入れたドレスが優美で、ふくらみのある袖のデザインが舞うようなダンスにぴったりくる。足元の足袋風のブーツがキュートだ。彼方を見つめながら“まほろば色”を歌う時の優しい笑顔が記憶に残った。

田村奈央は「あのね、聞いてほしいことがあるんだ」を披露。これは久しぶり……と思いきや、なんと8年前の「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」福岡公演以来だ。朗らかに笑いながら会場に手を振ると、ひとつひとつの振付を確かめるような丁寧なダンスがひなたらしい。素朴な歌声から優しくまっすぐな心情がストレートに胸に届いてくる。10年目の“ずっとこれからも マイペースなわたしだけど どうぞヨロシクね”のフレーズが、特別な意味を帯びて響いた。

原嶋あかりは「アニマル☆ステイション!」を歌唱。原嶋が「次は「アニマル☆ステイション!」だよ!」と弾むようにステージに飛び出すと、会場の盛り上がりと野生のギアが瞬く間に一段上がっていく。まさに躍動するかわいさだ。原嶋の「みんなー集まってー! 一緒に遊ぼう!」の声に応えて、Kアリーナに動物の鳴き声コールと黄色の光が渦を巻いた。原嶋はMCで「ついに横浜も動物園にしてやりましたよ!」とドヤ顔でアピールしていた。

勢いそのままに、稲川英里は「たんけんぼうけん☆ハイホー隊」を披露。仲良くなったアニマルたちと一緒に冒険に出るイメージだ。DAY1の稲川は環のセカンドヘアスタイルに寄せた左右のおさげがチャーミングで、表情からは環が感じているであろう楽しさと喜の感情が弾けている。稲川が全身から発する元気に応えるように、会場のコールも絶好調。ステージ上の“環の”感情もラストの“みんな友達だ!”でマックスにほとばしっていた。MCで稲川は、この曲を出演できなかった「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR Act-2 5 TO SP@RKLE!! DAY2」で歌唱する予定だったと明かすと、「忘れ物を回収できてとても嬉しいです」と語っていた。

一瞬の間を取って、ギターをかき鳴らすジャーンの音が響くと、会場に期待感が弾ける。ギターを下げて登場したのはもちろん愛美、楽曲は「流星群」だ。「ツアーファイナル、かかってこいや!」と楽し気に挑発すると、全身でリズムを取りながらギターをかきならす姿に思わず目を奪われる。間奏のギターソロも鮮烈で、愛美の表現者としての10年の進化がそのままジュリアにフィードバックされているようなイメージだ。ラストをエモーショナルに歌いきった愛美がきっぱりとした笑顔で「Thank you!!」と締めくくると、アリーナを爆発的な歓声が包み込んだ。MCで愛美はライブの原点の楽しさと気持ちを思い出したと語っていた。



前曲とは全く違うベクトルで、衝撃度はそのままに。藤井ゆきよ、小岩井ことり、野村香菜子、山口立花子のユニット・夜想令嬢 -GRAC&E NOCTURNE-が披露したのは「昏き星、遠い月」。エドガーとクリスの出会いのシーンからはじまるステージは、『ミリオンライブ!』の歴史の中でも特異なチャレンジとして記憶される舞台歌劇だ。ヘッドセットを着用していることもあり、両手と全身を使った表現が繰り広げられる。物語性と破壊力の高さは、「どうして俺たちを殺そうとするんだ!」の藤井の絶叫で頂点を迎える。山口の悪女然とした演技と母性の落差が印象的で、カラーコンタクトをいれた瞳のアップのシーンははっとする説得力だった。



夏川椎菜、中村温姫、伊藤美来、阿部里果、斉藤佑圭のユニット・Chrono-Lexicaは「dans l’obscurité」を披露。待ち望まれていたフルメンバー5人が揃う瞬間を目撃する歓喜が会場全体で爆発する。明滅するライトと激しいサウンドの中、悠然と歌い出す中村の姿はロコであってロコでないよう。楽曲のダークなテイストにぴったりと合わせたそれぞれの表現が絶妙で、やはりこの5人の色と歌声の成分が合わさってこそ真のChrono-Lexicaだと再確認させられた。間奏部で独白をつないでの伊藤の「目覚め%