アメリカ司法省は2024年2月12日付けで、カナダ在住のクリスティーナ・プジレワ被告がUAV(ドローン)や誘導ミサイルなどに使われる部品700万ドル相当(約10億5000万円)をロシアの制裁対象組織に送る計画に関与したことを認めたと発表しました。プジレワ被告は世界中を旅行するインスタグラマーとしても活動していました。裁判で量刑が下されれば、プジレワ被告には最長20年の懲役が科されることになります。

Eastern District of New York | Russian-Canadian National Pleads Guilty to Conspiracy to Launder Money from Scheme to Send UAV and Missile Components to Russia in Violation of U.S. Sanctions | United States Department of Justice

https://www.justice.gov/usao-edny/pr/russian-canadian-national-pleads-guilty-conspiracy-launder-money-scheme-send-uav-and



Globetrotting Millennial Woman Pleads Guilty to Sending $7M of Drone, Missile Parts to Russia

https://www.vice.com/en/article/v7bnk3/globetrotting-millennial-woman-pleads-guilty-to-sending-dollar7m-of-drone-missile-parts-to-russia

特別捜査官のエリン・キーガン氏は「プジレワ被告らは、ウクライナを攻撃するロシア政府を支援するために、アメリカ産の電子機器数百万ドル(数十億円)分を発送したと考えられます。彼女はロシアに合計298件・700万ドル相当の制限技術輸送に関係することで、マネーロンダリングを企てていました」と語っています。

半導体はミサイルやドローンには欠かせない部品です。アメリカ政府はロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対する制裁の一環として、半導体大手であるIntelとAMDにロシアへの半導体販売を停止しました。

IntelとAMDがロシアへの半導体販売を停止、TSMCも制裁に参加でロシアの国産チップにも影響する可能性 - GIGAZINE



しかし、それでもアメリカ製の半導体部品がロシアに流れていたようで、ウクライナで押収されたロシアの兵器やUAVからはアメリカ製の電子部品や集積回路が発見されています。

司法省によれば、プジレワ被告とその夫であるニコライ・ゴルツェフ被告はカナダのモントリオールに住んでおり、ニューヨークのブルックリンに住むサリムゾン・ナスリディノフ被告と取引きしていたとのこと。プジレワ被告らはカナダから飛行機でニューヨークに向かい、香港やニューヨークにあるダミー会社を通じて部品を購入し、ロシアに発送しました。プジレワ被告はこの部品密輸のために多数の銀行口座を利用して金融取引を行い、マネーロンダリングを行っていた模様。

しかし、ニューヨーク国土安全保障捜査局やFBIが資金の流れを追跡することで足がつき、プジレワ被告らは2023年10月に逮捕されました。司法省によると、プジレワ被告は300万ドル(約4億5000万円)を預けるために80名義以上の口座を開設していたそうで、被告らはニューヨークのホテルで逮捕された時には現金2万ドル(約300万円)を所有していました。また、輸出計画に関連して合計168万ドル(約2億5200万円)も押収されました。

プジレワ被告は世界中を旅して回るInstagramerとしても活動しており、自身のInstagramアカウントに旅行先で撮影した写真をアップロードしていました。プロフィールには「人生の半分はカナダ居住で、英語・フランス語・ロシア語を話せます」と書いていました。Intagramの更新は逮捕される数日前の2023年10月21日で止まっています。

Kristina Puzyreva(@kr.isti7876) • Instagram写真と動画

https://www.instagram.com/kr.isti7876/



FBIの捜査担当次官であるジェームス・スミス氏は「クリスティーナ・プジレワ被告は、世界的な密輸計画で自ら進んで重要な役割を果たし、最終的にはロシア政府が戦争遂行のために認可した装備品を入手するのに役立ったことを認めました。プジレワ被告は私腹を肥やすために法を犯すことを選択し、国家安全保障を危険にさらしました」とコメントしています。

なお、プジレワ被告は犯行を認めましたが、他の被告に対する訴追は記事作成時点で保留中だとのことです。