ラン×サウナ×ビール。3要素が合体した「ととのい研究所」って?

最近、「ちょうどいい」って一番難しくない?と思うんです。
ホテルの朝食ビュッフェは取りすぎてしまうし、いらないものでいっぱいの旅行バッグ。
大きすぎたり小さすぎたり、欲張ったり遠慮したり、どんなことも、ちょうどいいを見つけるってなかなか難しいものだなぁと思う、今日この頃。
昨今のサウナブームで、さまざまな姿形をしたサウナが増えました。アイディアやサプライズに満ちたサウナはやっぱりとても刺激的で、胸が高鳴り続けるわたし。
だけどわたし、サウナそのものを味わえている時間って、一体どれくらいあるんだろう?
とびきりのご馳走は、ときどき食べるからちょうどいいんだし、そんな「ちょうどいいサウナ」に出合いたいなぁと都合のいいことを思っていたら、あったんです、都内に。
計算され尽くした「ちょうどいいサウナ」。
その名も「ととのい研究所」、略して「ととけん」です。

水天宮前駅から徒歩5分、浜町駅から徒歩7分、人形町駅から徒歩10分ほどと、最寄駅もちょうどいい。
いや、最寄駅に関していえば、豊富な域!
まあ、それは喜ばしいことなのでよし。
この5階建てのビルが「ととけん」です。

のれんには「フイナム ランニング クラブ♡」という文字に、ビールを持つクマ。
ここは、WEBマガジン「HOUYHNHNM(フイナム)」を手掛ける株式会社ライノが運営しています。 
ランニングステーション(ランステ)も兼ね備えたサウナで、「走ってそのままサウナに入れたら最高じゃない?」と、ラン&サウナ好き多数の社員のみなさんが提案。
ついでに、「ここで飲めたら最高じゃない?」と盛り上がり、あらゆる「最高じゃない?」をぎゅっと集めて、「ラン×サウナ×ビール」のスリーコンボが可能な施設を作っちゃったんだそうです。
出身が温浴業界ではないからこそ、固定概念なく自由に気軽に羽ばたけるのかも。それって、すごくかっこいい。
ここまで聞くと、ちょうどいいというより、革新的だと思うかもしれないけれど、今回はわたしの見つけた「ちょうどいい」にフォーカスします。
のれんをくぐった先は、想像よりもコンパクトな空間で、洗練されたシンプルさの中に、遊び心満載のアートやインテリアがそこかしこに。
受付のこの手書きの世界時計。現代美術作家の加賀美健(Kenkagami)さんのアートです。
わたしの家の壁にもこれ、描いて欲しい…。

まずは受付でタオルを受け取ります。

女性は3階がサウナとロッカー。
男性は4階がロッカー、5階がサウナで、今後屋上に外気浴エリアができる予定なんだとか。

こだわりたっぷり「ととのい研究所」のサウナ施設でできることは?

4階「男性用ロッカールーム」

施設内には、加賀美さんの作品がたくさん。落書きのようなアートが、手持ち無沙汰になった子ども心をくすぐって、体も心も筋肉までもゆるみます。
エレベーターで3階へ。
「女性用ロッカールーム」にもアートがそこかしこに。「〜放題!!」というのも加賀美さんによるアートです。

3階「女性用ロッカールーム」

ヘアドライヤーに、化粧水、乳液、クレンジングと、欲しいものが全部ありました。意外とかさばるこの子たち。あるだけでありがたい、大喜び案件。
扉の先には、視界に収まる小さな浴室がありました。シャワー、お風呂、水風呂、サウナ。必要なものがぎゅっと凝縮。
全部を一気に見渡すことができるコンパクトな空間は、なんだかパブリックっぽくなくて、あっという間に自分がこの場所に馴染んでいくのがわかりました。

3階「女性用サウナ」浴場。洗い場は全部で5つ。

そして、コンパクトだから、すべての動線5歩程度の予感。
まずは体を洗います。シャンプー、コンディショナー、ボディーソープと、やっぱりここにも全部があります。
洗い終わったら、2歩でお風呂へ。

余談ですが、わたし、冬場はサウナの前にお風呂に入って軽く温めます。冷え切ったままサウナに入ると、汗が出にくいので、一旦ドーピング風呂。
冷え性のみなさん、おすすめです。
この日は44℃と、れっきとしたあつ湯。
キューっと染み渡るお湯に、血が流れるわ流れるわ。
サウナ前だけど温まりすぎてちょっともう我慢できないので、一旦、真横にある水風呂へ、浴槽の敷居をまたいでおじゃまします。

そうなんです、一旦浴槽を出て正規の入り口から入り直さなくてもいい、真の温冷交代浴ができてしまうんです。
しかも水風呂は12℃。その温度差、約30℃。
体に体温調節する隙を与えず、熱い冷たいの刺激を投下。そりゃこの顔になっちゃいます。サウナ前に、溶けました。

溶けたわたしは、熱湯から4歩でサウナへ。
8名ほどが入れるちょうどいいサイズ感のサウナ。
そして、サウナーにはたまらないメトス社の「ZIEL(ジール)」というサウナストーブで、通常のストーブに比べて約2.5倍のサウナストーンが搭載されているので、ロウリュ音が格別です。大好物。

3階「女性用サウナ」はセルフロリュ

しかも横には、セルフロウリュ用の桶。
それでは遠慮なく、いただきます。バチバチ、ブチブチッと「待ってました!」と言わんばかりの、飛び跳ねるようなロウリュ音が鳴り響き、熱い蒸気が一瞬で部屋中に広がりました。
ストーブ前には、リクライニングできるような特等席がひとつ。

3階「女性用サウナ」

この角度をサウナで味わえる贅沢。きっと人気でしょうから、譲り合いの心が問われる、おイスさまですね。
ちなみに5階「男性用サウナ」は、もう少し広めで12名ほど入れます。こちらもサウナーにはたまらない、メトス社のタワー型のストーブがドーンと鎮座。

5階「男性用サウナ」

温冷交代浴後というのも相まって、止まらない汗の大群。ぁあ、気持ちいい。

3階「女性用サウナ」

そろそろ水風呂へ行きたいなと、扉を開けて2歩。

3階「女性用サウナ」浴場

12℃でしめたら、2歩でととのいイスへ。
足を壁にあずけ、むくみがちな足の血流もよくして、堂々たる仕上がりっぷり。(足あげ可)

いまわたし、自分史上一番おいしく調理された状態だと思います。
男性側の浴室は女性側より少し広いけど、やっぱりコンパクトで、どこへいくにも、10歩足らず。ど真ん中にあるのが水風呂で、この日は6℃と15℃の二種類。冷冷交代浴、できちゃいますね。

5階「男性用サウナ」浴場

そろそろもう1セットしようと、わずか 1歩でサウナへ。何もかもが最短距離の動線に、無駄ひとつなく、流れるように美しい 4セットをこなしました。

3階「女性用サウナ」

限られたスペースの中に、欲しいものがぜんぶある「ととけん」。時々、視界にちらつく加賀美さんのアートが、心をゆるめてくれる贅沢もある。
だけど至ってシンプルで、やりすぎずなさすぎず、奇抜さに頼らない、毎日味わいたくなるサウナがありました。

ビールで〆る。「ととのい研究所」で気軽にととのい体験を。

サウナを出たら、1階のバーで、生ビール、クラフトビール、ソフトドリンク、おつまみ。十分足りてる品揃え。
サクッと食べて飲んで、またあした!そんな気兼ねなさがにじむバースタンド。

わたしは「ととけん」にきてから、一度も背伸びもしなけりゃ、がんばることもなく、ずっと心がのびのびとしていました。サウナも、人も、ちょうどいい塩梅のおもてなし。ずっと、楽ちん。
上がりすぎず、下がることもない、ど真ん中の時間を過ごしました。
帰りによった隅田川テラスは、「ととけん」から徒歩3分ほど。ここは日々、多くの方がランニングや散歩に訪れる場所なんだそうです。
走ってサウナをするには、うってつけな「ととけん」です。

この道をまっすぐ行けば、両国にも築地にも行ける。最寄駅はたくさんあるけれど、今日はこの大きな隅田川沿いを、のんびり歩きたい気分。
ちょうどいいサウナで、自分もちょうどいい状態になったわたしは、この川に向かって大きな声で叫びたい。
「ととのった〜〜〜〜」

またすぐきます。次は、走って。

■ととのい研究所(ととのいけんきゅうしょ)
住所:東京都中央区日本橋浜町3-9-7
TEL:03-6667-0308
営業時間:10〜23時(最終入場22時)※月曜のみ12時〜
料金:
[ランステのみ] 880円 ※サウナ利用不可
[サウナのみ] 平日1時間1320円〜、土・日曜、祝日1時間1540円〜
[ランステ&サウナ] 平日1時間1540円〜、土・日曜、祝日1時間1760円〜
※女性はバスタオル1枚付き
※キャッシュレス対応:交通IC、PayPay、PayPal、LINE Pay、クレジットカード(VISA/ MasterCard / JCB / American Express / Diners Club)

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Text:清水みさと
Photo:添田康平

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