本誌取材に答える有村昆 

 2024年、松本人志と小沢一敬が芸能活動を自粛した。だが、芸能記者がこう指摘する。

「芸能活動自粛なんて、最近できた言葉ですよ。第1号は、1973年の美空ひばりさんだったと思います。実弟が暴力団員だと明かされ、『美空ひばりショー』が各地で警察に締め出されたのです。

 とはいえ、当時は『コンプラ』なんて言葉もなかった。それに、スポンサーが大きな力を握るテレビが台頭するまでは、企業に向けてアクションを起こす必要がありませんでした」

 実際、芸能人が頻繁に活動を自粛するようになったのは、2000年代後半になってからのこと。では、活動自粛中の胸中とは――。

「口の前の空気も飲み込めないような、切迫した感覚でした。それくらい、自粛期間中は精神的にやられます」

 2021年5月、「FRIDAY」で美女への「ゲスナンパ」を報じられた有村昆(47)。下ネタ全開で美女を口説いた様子が詳報された。この結果、レギュラー番組を5本降板し、3カ月間芸能活動を自粛した。そんな苦汁をなめた有村が、本誌の取材に当時を振り返る。

「降板はマネージャーと相談して、事務所から各局に申し出ました。自粛してから1カ月くらいは、家の前に記者が待ちかまえていて、自宅から一歩も出られませんでした。

 最初のうちは『あのとき、女性にDMしていなければ……』なんて考えていました。初めて『自殺』というワードを検索したり、自分について報じられた記事のコメントをわざわざ見にいったりしていました」

 陰鬱な自粛生活は、彼の心に疑心暗鬼を生んだ。

「『大丈夫?』って多くの人から連絡をもらったんですけど、『大丈夫です』と返して、『こいつ、まだ調子乗ってます』ってスクショ撮られたらどうしようって思っちゃうんです。だから『自分がすべて悪くて、今はただ反省です』みたいな一辺倒な返ししかできなかった」

 そんななか、手を差し伸べた人物がいた。吉本芸人の「闇営業問題」を仲介したとして事務所から契約解除された、元カラテカの入江慎也だ。

「彼の清掃会社で、お手伝いさせてもらうことになりました。当時信用できたのは、親以外では同じ苦い思いをした人だけでしたから、頼れる存在ができて心が軽くなる思いでした。

 今では僕も、そうした苦境にある方からの相談には、なるべく乗るようにしています」

 その後、有村には『バイキング』(フジテレビ系)から出演のオファーがあり、生放送でアンミカに詰問されたのが、復帰のきっかけとなった。

「自粛開始から3カ月でしたから、世間からは『まだ早い』と叩かれました。今でもあのタイミングが正解だったのかわかりませんが、『早く復帰しないと、風化して忘れ去られる』という焦りはありましたね」

 苦悩の日々を振り返った有村。しかし、今は「どんなオファーでも、頂ける喜びをかみしめています」と力強く語った。活動自粛を経て、人生観が変わったようだ。

写真・久保貴弘