節約YouTuberのくらまが今回もインタビューします!(編集部撮影)

X(旧Twitter)で“資産35億ニート”を自称し、豪華な億万長者生活を発信して注目を集めているマサニーさん。2023年6月には住民税の支払いが9273万円になった投稿が話題を呼んだ。

2024年1月には書籍『ズボラな人でもお金が増える 漫画インデックス投資一択で億り人』を発売予定だ。この本による印税収入はすべて寄付に回すとのことだ。

35億円という途方もない資産を持ち、豪華な食事やホテルを泊まり歩き“ニート生活”を満喫するマサニーさん。一体彼は何者なのだろうか?

本記事では、節約YouTuberである私くらま(「倹者の流儀」)が、マサニーさんにインタビュー。いかにして今に至ったのか、その道のりについて話を聞きながら、“35億円ニート”の実態に迫る。

資産35億円は、年末ジャンボ宝くじ1等を5回当てた金額

純資産額35億円は、一個人が持つには途方もない数字に思える。年末ジャンボ宝くじの1等賞金が7億円。 だから仮に1等に当選したとしても、5回当てなければその金額には近づかない。

さらに、マサニーさんは資産の半分以上をインデックス投資で運用しているため、運用益を含めると今年の夏には純資産額は36億円を突破。だから現在は、“資産36億円ニート”である。運用益の上下の動きは激しく、一日でマイナス5000万円になることも珍しくはないが、あくまで長期投資なので一日の値動きに大きく感情を動かされることはないという。

「Xでは、資産が大幅にマイナスになると悲嘆にくれるような投稿していますが……。これは働いておらず時間があるので、暇つぶしに騒いでいるところはあります」

マサニーさんは、ネタとして成金キャラに成りきって投稿をするのが好きだという。

例えば、資産額が前日比でマイナス5108万円になった日には、「節約のため、今日から卵かけご飯生活はじめました‥」の言葉とともに、キャビアとイクラ、ウニの載った豪華な食事の写真を添えた投稿をしている。高級・高価な食材を卵と素朴に表現するさまは、まさに“神々の遊び”といった趣だ。


(マサニーさんXのスクショ)

そんなマサニーさんだが、富裕層の生まれというわけではない。この資産は一代で築いたものだ。もともとはごく普通のサラリーマンであり、子ども時代に遡るならば決して裕福ではなかったという。

資産36億円に達するまでには、3つの段階があったとマサニーさんは話す。「1.お金の重要性を感じた子ども時代」「2.稼いでコツコツ貯蓄したサラリーマン時代」「3.スタートアップ投資で億万長者」の3つだ。順を追って聞いていきたい。

決して裕福ではなかった幼少期&大学時代

1.お金の重要性を感じた子ども時代

「1.お金の重要性を感じた子ども時代」これはマサニーさんの根っこであり、億万長者となった今でも、その感覚を残している。

「僕はもともと児童養護施設の出身で、今の親に拾ってもらったのが4歳の時です。その家庭も裕福というわけではなかったので、もうお金に困る生活はしたくないという気持ちは幼少時代から強く感じていました」

お金に困らないように生きたい、そのためにはいい大学出て、いい会社に入って……とぼんやりしたイメージがあったという。そこで、奨学金を借りて大学へ進学した。

「大学時代はアルバイトをしまくって月に20万以上稼ぐこともあり、奨学金は在学中に完済しました。食費を削るなどして節約しつつ、お金も遊びには使わず、時間があればとりあえずバイトといった学生生活でした」

真面目かつストイックに過ごしたことも幸いしたのか、当時は就職氷河期だったものの、比較的大手の企業への就職に成功。基本給はさほど多くはないが、残業代はしっかり付き、初任給で手取り25万円をもらったという。

2.稼いでコツコツ貯蓄したサラリーマン時代

ここからは「2.稼いでコツコツ貯蓄したサラリーマン時代」の段階に入る。

氷河期での就職はうまくいったマサニーさんだったが、それでも、すぐに貯金がうまくいったわけではなかった。

「大学時代は稼いで節約をして授業料を払わなくちゃいけない使命感があったから頑張ったんですけど。社会人になった頃には奨学金は返済が終わっていたので、解放感からしばらくは好きに散財していました」

散財といってもさすがに手取り25万円なので、すごく豪華なことはしていない。コンビニでジュースをためらわずに買ったり、旅行に行ったり、外食に行ったり、そういった日々の散財で大きな喜びを感じたという。「生きるって楽しいんだなという解放感がありました」と振り返る。

稼いだ給料でひたすら自由を謳歌した。しかし、そんな生活も数カ月楽しむと、少し不安を覚えるように。ニュースで老後問題が取り上げられているのを見て、自分は大丈夫か、と危機感を抱いた。

「これから収入は増えるかもしれないけど、支出も多いままだと結局貯蓄ができず、老後生活していけるか不安になりました。あと、大学時代のバイトでの貯蓄が数十万円あったんですけど、それも減ってきてしまい、裕福じゃなかった頃へ戻るんじゃないかという怖さがありました」

手取り25万円のうち、半分近くを貯蓄

そこから一転、節約・貯蓄生活を心がけるように。自炊生活で食費を中心に削り、生活費は月12万〜13万円程度。手取り25万円なので、10万円以上は毎月貯蓄するようにした。ボーナスもほぼ全額そのまま貯蓄に回した。

「食費は月に1万円以内に収めていました。少ないときで7000円〜8000円くらい。でもきちんと食べていました。当時は今よりも物価が安くて、鶏むね肉が100g28円くらいでした。今だと特売で38円とかですよね」

今では数十万円をポンと高級料理やホテルに払うマサニーさんとのギャップを覚えるが、鶏肉のグラム単価を覚えているところに堅実な金銭感覚を感じる。

「運動にもなるし一石二鳥」と、あまり電車を使わずに徒歩で移動したりと、小さな交通費も削るように心がけた。

ある程度貯金ができると、今度は投資にも目を向ける。本で勉強しつつ取り組んだが、失敗することが多かったそうだ。

「トルコリラを買って見事に右肩下がりしたり、個別株にも手を出して資産が目減りしたり、下がるものに対してばかり投資していました(笑)。投資の才能は全然ないです」

だが、たまたま一つ買っていた個別株が上がり、目減りした資産はとんとんくらいまで回復した。以降は、リスクの高い投資を避け、インデックス投資と貯蓄で堅実に資産を積み上げる。年齢が上がるとともに所得も上がり、貯金額も増えた。さらに、副業で収入を増やす工夫も行う。

「収入面でいくと本業よりも副業のほうが、手取り額を増やしやすいと思いました。例えば、副業に使うパソコンや通信機器、資料などを経費計上できるので、節税面でも有効だというのは強いですよね」

最終的に、サラリーマン時代の13年間で、副業収入と合わせて5000万の貯蓄を達成した。

5000万円を元にスタートアップ投資で億万長者

5000万円の貯蓄を達成したマサニーさん。このまま貯蓄を続ければ、40代くらいで1億円を達成できる見込みだと考えていた。そんなマサニーさんに大きな転機が訪れる。スタートアップ投資の話だ。ここからが「3.スタートアップ投資で億万長者」の話になる。

3.スタートアップ投資で億万長者

「たまたま友人から、スタートアップを作っていずれ上場するという投資話が来ました。正直なところ、今だったら怪しいと思って絶対にやらないような話ですね……。なぜ乗ったかというと、実は当時ちょうど離婚を経験していまして、精神的にかなり病んでいました。『もうどうにでもなれ』じゃないですけど、人生一度しかないし思いっきり挑戦してみようかと投資しちゃったんですよね」

だが、そのスタートアップはうまくいき、数千万円の投資額が10億円近くにもなった。そこで弾みのついたマサニーさんは、スタートアップ投資に興味を持ち、他にも投資してみることに。

「5年以上スタートアップ投資をやっているんですけども、物事をロジカルに考えるのも不得意なので、何か嗅覚というか勘みたいなので投資をしています。もちろん全部成功したわけではなく、10社投資したとしたら8社くらいは紙屑になり、たまたま2社うまくいくくらいの割合です」

スタートアップ投資で、資産5000万円から資産40億へ。絵に描いたようなサクセスストーリーだ。その後、所得税と住民税を支払っても、35億円くらいが手元に残った。しかし、マサニーさんは「まったく再現性がないし、おすすめもしない」と強く念押しする。

「本当に運です。運要素が99%くらい。今同じ状況になっても投資はできないですね……。インデックス投資とか、もっとリスクを取らない方法でお金を貯めていると思います。僕は当時、本当に精神的に病んでいたんです」


これだけの億万長者になるのは運だと言うが、マサニーさんは資産1億円なら一般のサラリーマンでも目指せる金額だと考えているそうだ。

「天才的なトレーダーにならなくても、誰でもネット証券から積み立てできるようなインデックス投資をして、節約して支出を抑えつつ、働いて収入を増やして可能であれば副業もして入金力を上げ、さらに積み立てていく。

これを20代から続ければ、50代60代までには1億まで資産形成できる可能性が誰にでもあると思います」

現在の家計簿 収入、支出 使い切るための家計簿

資産を築いたマサニーさんは仕事を辞め、現在は給料での収入はゼロ。今は「資産36億円を死ぬまでに使い切ること」を目標に、生活費は月に500万以上を使うようにしているという。仮に100歳まで生きるとするならば、そのくらいのペースで使う必要があるとのことだ。


(マサニーさんXのスクショ)

「家計簿アプリのマネーフォワードで管理しています。資産形成に取り組んでいたころは、貯めるために家計簿をつけていますが、今は計画的に使い切るために家計簿を活用しています」

マサニーさんの家計簿
家賃 数10万円
食費 100〜200万円
水道光熱費 1万円
娯楽費 〜300万
通信費(スマホ代含む) 8000円
交通費(タクシー代含む)10万〜20万
雑費 10万円

節約家御用達の家計簿アプリ・マネーフォワードの登場である。

資産を死ぬまでに使い切ることを意識しているため、どの項目も抑えることなく、思いっきり使っている。

「食費は基本1日1〜2食くらいで、一回で10万とか使っています。娯楽費は旅行が中心で、一泊50万円超えるところに泊まることもあります。でも実は、今はあまりお金を使えてないですね。最近3年付き合っていた彼女と別れてしまったので……」


(マサニーさんXのスクショ)

最近は使えていないとはいえ、家計簿はストッパーとして重要だという。

「35億もあったらどれだけ使ってもなくならないでしょうねと言われますが、でも海外や日本のプロスポーツ選手が数十億、数百億円も稼いで引退したとしても、数年で破産している方もいらっしゃったりとか……。

一度生活レベルを引き上げると、下げるのはつらいので、そこはきっちり家計簿をつけて、ちゃんと予算内に収まる遊びやごはんというか、身の丈に合った生活しなきゃなみたいな」

これほどスケールの大きい“身の丈に合った生活”は、なかなか聞かない。

後編に続きます/後編は1月28日公開の予定です)

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(くらま : 倹者の流儀/節約系ユーチューバー)