1人暮らしで猫を飼っても大丈夫?

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 1人暮らしの人の中には、猫を飼っている人がいます。外出時にどのように対処しているのか気になったことはありませんか。そもそも、1人暮らしの人が猫を飼っても問題ないのでしょうか。猫を残して外出する際は、どのようにしたらよいのでしょうか。ますだ動物クリニック(静岡県島田市)院長で獣医師の増田国充さんに聞きました。

猫は単独で行動するのを好む

Q.そもそも、1人暮らしの人が猫を飼うのは問題ないのでしょうか。できれば、同居する家族がいた方が望ましいのでしょうか。

増田さん「1人暮らしの人が猫を飼うのは、犬ほどハードルが高くない傾向にあります。猫の場合、犬のように散歩を必要としないからです。

猫は集団生活を好まず、単独で行動することが多いため、飼い主がいないことが心理的なストレスになる可能性は低いと考えられます。まさに気ままな性格といえるでしょう。

1人暮らしの人でも猫と一緒に生活することは可能ですが、例えば旅行や出張などで長期間留守にすることが多い場合は、同居する人がいる方が心強いと言えるかもしれません。

猫は病気やけがをすることがあり、特に幼齢の猫や高齢の猫、持病があって療養が必要な猫の場合は介助が必要になることがあります。そのような場合は長時間猫を1匹にしておくことが推奨されないことがあります。猫を飼っている人は、日頃から猫の健康状態を把握し、何かあった場合はすぐに動物病院に連れていけるように、準備をしておく必要があります」

Q.猫を飼っている人の中には、朝から夜遅くまで外出している人もいると思います。猫1匹で自宅で過ごさせる場合、何時間が限度なのでしょうか。

増田さん「1人暮らしの人は、仕事などで日中は留守にする人が多いと思います。1日中家を空けることが、猫にとって大きな負担になる可能性が高いとは言えません。中には、『猫を留守番させて、1泊2日の旅行に行っても問題ない』という内容の情報を記載しているサイトなども散見します。

時間的な限度は猫の個体差にもよるため、個々の体調や性格などを見極めておきましょう。家を空けた際に生じるリスクとして、粗相や物の誤飲、脱走などがあります。外出する際は、猫が衛生的に、健康的に過ごせるように、準備を怠らないようにしましょう」

Q.1人暮らしで猫を飼っている人が外出する場合、どうしたらよいのでしょうか。具体的な注意点について、教えてください。

増田さん「食料(近年、愛玩動物に『餌』という言葉を使うことが好まれない傾向にあります)や水を十分に確保することのほか、猫が生活する上で快適な生活環境を整えることが重要です。日中、留守にする場合は、普段通り食事をあげて、帰宅したときに、再度あげてもよいでしょう。

猫にとって快適な温度は21〜28度、湿度は50〜60%といわれています。エアコンを活用し、室内の温度や湿度をできるだけ維持しましょう。尿意や便意を催したときに気持ちよく利用できるように、猫用のトイレをきれいに整えておくことも忘れないようにしてください。

このほか、留守中に猫がいたずらをして事故となることを防ぐために、猫にとって有害な物、感電や火災の原因になる物は猫の行動範囲に置かないようにするなど、猫と飼い主が互いに安全に過ごせる配慮をしましょう」

Q.猫は飼い主が自宅にいなくても、寂しさを感じないのでしょうか。

増田さん「猫は他の生き物に干渉するケースが比較的少ないため、飼い主がいなくても、そこまで気にしないと思います。ただ、飼い主が大事な存在であることは認識しているため、時には寂しさを感じることがあるかもしれません。特に日頃から猫に食事を与えている人は、猫にとって好まれる存在となります。本音は猫のみぞ知るところとなります。

寂し過ぎて、猫がパニックになるようなことはあまりないと聞きます。どちらかといえば、飼い主の方が猫が近くにいないことで寂しくなってしまうことが多いのではないかと思います」