スズキ6気筒1,100ccのSTRATOSPHEREは走っていた!【このバイクに注目】(このバイクに注目)
2005年の東京モーターショーに、スズキは突如6気筒のコンセプトモデルをリリース。
その名はSTRATOSPHERE(ストラトスフィア)。
スズキは1999年にGSX1300R「隼」が登場、世界最速バイクとしてフラッグシップの位置を占めていた。
その"隼"にとって変わる新フラッグシップなのか?
KATANAを彷彿とさせるフォルムを含め、エンジンが6気筒、1,100ccというセンセーショナルな仕様に世界中が色めき立った。
6気筒の量産バイクといえば、ベネリのSeiにホンダCBX(1000)、そしてカワサキZ1300と、威風堂々の重厚なモデル揃い。
しかしSTRATOSPHEREは、その重厚さとは一線を画しコンパクトでスタイリッシュな別路線を意識させていた。
スズキからの発表資料には、モーターサイクルの次世代技術を提案するコンセプトモデル、極限までコンパクト化を推し進め、同クラスの4気筒並みのエンジン幅を実現した1,100cc直列6気筒エンジンを搭載。
走行フィーリングは極めて滑らかで伸びのある、4気筒とは全く異なる独特の味わいを実現。
フロントカウルからタンクには、たたき出しのアルミ材、ラジエーターサイドカバーには独特な表面紋様のダマスカス鋼を採用、使用する部材の質感そのものを楽しめるデザインを提案。また積極的に走行をアシストするオートシフト機構や、クリアなサウンドを楽しめるヘルメットのシールドスピーカー等を採用し、操る楽しさと快適性を両立した近未来のバイクライフを提案とリリースされていた。
スペックも全長 2,100mm、全幅 720mm、全高 1,150mmと市販化へのアプローチが進んでいることを伺わせる様子が伝わってきた。
そして何よりスズキの竜洋テストコースを走る動画も公開されたのだ。
しかし、その後このSTRATOSPHERE(ストラトスフィア)はファンの期待をよそに影を潜めてしまった。
実は"隼"で確立した、世界最速とエアロダイナミクスを直感させるグラマラスなフルカウルのデザインを含め、メーカーを代表するフラッグシップとしての顔が既に定着していて、諸々検討をした結果、この"隼"のオリジナリティを刷新発展させる道を選んだのだ。
エンジンを超コンパクトにまとめ、ウインドシールドを可変としたり、ハンドルバーも運転する状況に合わせて可変できるという提案や、ツーリングマシンとしてシステムバッグを装着するデザインが採り入れられたりと、具体的な面が多かっただけに惜しまれるドリーム・マシンではあった。