GetNavi web編集部員12名が年末企画として、それぞれ「観てよかった1作品」を厳選! 前半では無料ですぐに見られるYouTubeアニメやドキュメンタリー、ゲームなどが登場しました。

 

後半では映画・舞台をご紹介。おうちでぬくぬくしながら動画配信サービスやBD・DVDレンタルで視聴するもよし、映画館は年末年始もオープンしているところが多いので、上映中の作品は直接足を運ぶのもよし。ときにローカル映画館で再上映される作品もあるので、気になったタイトルはぜひ検索してみてください。

 

1. 『ゴジラ-1.0』(2023)/映画

 

GetNavi web副編集長・和田が選びました!

 

Q.どんな作品?

第二次世界大戦末期、日本軍の小基地を襲った伝説の生物「呉爾羅(ゴジラ)」が、戦後の焼け野原から復興を果たしつつあった日本を再び襲う。『シン・ゴジラ』から7年ぶりとなる、ゴジラ映画70周年記念作。

 

Q.なぜ観ようと思ったの?

前職(男性誌の編集者)の編集部で制作している雑誌が特集していたから。くやしいけど、いい特集でした。そして尊敬する美術監督さんがFacebookでポジティブな感想を投稿していたことが決定打。編集部が入居するビルの中の映画館に、仕事終わりに駆け込みました。

 

Q.ズバリ、どうよかったの?

不甲斐なさ、罪悪感、トラウマを抱えて生き、度々打ちのめされる主人公。再びのゴジラの襲来に、背負ってきたすべての業に決着をつけるべく立ち上がる――というと、よくある悩める青年の成長譚なんですが、その周辺の物語こそ真骨頂。ゴジラの禍々しさに震え、敗戦を「終戦」と呼び現実から目を背け続ける戦後日本(現代日本)の姿にもやつき、誰かの“犠牲”を良しとしないタイムワープしたかのようなメッセージに身につまされ……“怪獣モノ”と侮れない125分でした。

 

大事なシーンなので詳説は避けますが、『トップガン マーヴェリック』を観て溜飲を下げた方は、ぜひ劇場で鑑賞を。キャストは、何を今さら、佐々木蔵之介さんの凄みを知りました。ブレない吉岡秀隆さんもさすがの妙味。青木崇高さん、ズルイなあ! そしてエンドロールにのっけから流れる「神木隆之介」「浜辺美波」、キャストのラストに「佐々木蔵之介」。名前で選んだわけもないでしょうが、最後の最後まで昭和感を堪能させていただきました。

 

コンテンツ消費といえばテレビドラマや映画より本を選ぶのですが、これは抗えなかった。観てよかったです。でもその日の夜はゴジラが夢に出てきてうなされたし、今でも怖い。本当に困ってます。

 

2.『ベイビー・ブローカー』(2022)/映画

 

GetNavi web編集部・西牧が選びました!

 

Q.どんな作品?

日本の映画監督でトップを走る是枝裕和さんが監督・脚本を務めた日本映画、ではなく韓国映画。主演がソン・ガンホだったり、カンヌ国際映画祭で2冠を取ったりと、話題性も十分な作品です。

 

Q.なぜ観ようと思ったの?

韓国映画が好きでして、ファンであればまずキャストの豪華さに目がいきます。言わずと知れたソン・ガンホ、そのソン・ガンホと『義兄弟 SECRET REUNION』で共演したカン・ドンウォン、是枝作品の『空気人形』でまさかのラブドール役を演じたぺ・ドゥナと、期待せずにはいられません。韓国では観客動員数が100万人を突破するなど、評価も高いであろうと踏んで観ました。

 

Q.ズバリ、どうよかったの?

産んだ赤ちゃんを「赤ちゃんポスト」に望んで入れたいお母さんはほとんどいないはず。そこにはのっぴきならない理由があるわけです。では、預けられてしまった子どもはどうでしょうか。お母さんを恨む、これで良かったと納得する、特に気にせず生きていくなど、振る舞いはさまざまでしょうが、やはり母親に対して思うところはあるでしょう。本作の見どころはそうした人々の思惑と、赤ちゃんを人身売買する過程で移り変わる心情を丁寧に描いていること、そして人身売買しているソン・ガンホが底抜けに明るくて逆にグロテスクに感じられるところが魅力だと思います。

 

ラスト近くで、カン・ドンウォンとIUことイ・ジウンが観覧車の中で会話をするシーンはグッと引き寄せられました。カン・ドンウォンのセリフに救いを感じられます。

 

3.『リバー、流れないでよ』(2023)/映画

 

GetNavi web編集部・加藤が選びました!

 

Q.どんな作品?

京の奥座敷である貴船の老舗料理旅館「ふじや」を舞台に、2分間というかなり短時間のループから抜け出せなくなってしまった人々の混乱を描く群像劇。記憶がリセットされずにループするので、ふじやで働く仲居のミコト、番頭や仲居、料理人、宿泊客たちはみな異変に気づくも、どうしたらよいかわからない。そのうちループから抜け出したい人、とどまりたい人、人生を終えようとする人など大いに乱れ始め、最後まで予想外の展開が続きます。

 

Q.なぜ観ようと思ったの?

学生時代、京都に住んでいたことで貴船や老舗旅館などの舞台に思い出が詰まっており懐かしかったこと、森見登美彦さんの作品で京都の学生なら誰しも自分ごと化してしまう『夜は短し歩けよ乙女』『四畳半タイムマシンブルース』の脚本を手掛けた上田誠監督の作品であることで、「観る」は決定していました。それに拍車をかけたのが、GetNavi webで上田監督と久保史緒里さんにインタビューが決まったこと。いち早く観に行きました。

 

Q.ズバリ、どうよかったの?

タイムループモノは多くあれど、2分間は珍しい。貴船は階段も多いので、移動だけでもかなりの時間を使ってしまいます。だんだんと慣れてきた登場人物たちは時間の使い方がうまくなっていくものの、『君の名は。』などと比べてしまったらほとんど何もしていない(笑)。熱燗すら永遠に出来上がらないのです。「新しいな〜」と思わずクスッと笑ってしまう要素が詰まっています。

 

さらによい設定なのが、記憶がリセットされないこと! あまり書くとネタバレになってしまうので控えますが、当事者たちはタイムループが2分間と気づいたことで「あ、ダメだ! この回捨てよう!」と、まさかの“捨て回”戦略が生まれる(笑)。「早くしないと元に戻ってしまう」というハラハラ感、ときにサスペンスのような緊迫めいた雰囲気になるも「ま、どうせもうすぐ元に戻る」という冷静な開き直り、とにかく新鮮な1時間 26分間でした。各映画館で満席続出となり、多くの媒体で「面白い」とタイトル名が挙がり、レビューは軒並み高評価となった同作。いったんこれ以上の事前情報を入れず、真っ白な心で観てみてください。

 

4.『生きる-Living』(2022)/映画

 

GetNavi web編集部・久保田が選びました!

 

Q.どんな作品?

生き方をテーマにした普遍的な作品。日本映画の不朽の名作『生きる』(1952)が、1953年の英国を舞台にリメイクされました。役所勤めのウィリアムズが、がんのため余命半年であることを宣告され、絶望。これまでの平凡で単調な人生を振り返り、途方に暮れます。そんなときに元部下のマーガレットと出会い、本当にやるべきことに気付いていくというストーリー。

 

Q.なぜ観ようと思ったの?

どういうふうに生きたいか? 何をしたいか?  なぜ働くのか? こんなことを誰もが考えるはずです。そのヒントを得るために 『生きる』は学生の頃から何度も観ていましたが、この名作を英国がどう解釈し再現するのかをずっと楽しみにしていました。

 

Q.ズバリ、どうよかったの?

ストーリーの展開やプロットは原作に忠実ですが、登場人物の設定の違いが興味深い。原作の主人公・渡辺はエリート感があまりないのに対して、ウィリアムズはジェントルマン。役所で働くうちに、紳士が持つべきノーブレスオブリージュは消えてしまったかのよう。渡辺が纏う庶民感もほとんどないものの、自分の使命を見つけた後のウィリアムズが泥臭く、粘り強く、命懸けで他人のために働く姿が胸を打ちます。一隅を照らす紳士像が穏やかに映し出されていました。

 

絶望に打ちひしがれ、彷徨っているウィリアムズをマーガレットが「ゾンビ」と呼ぶシーンが印象的な場面の一つ。機械のように生きていると、誰でもウィリアムズみたいにゾンビになってしまうのではないかと思いました。

 

5. 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:Volume3』(2023)/映画

 

GetNavi web編集部・野田が選びました!

 

Q.どんな作品?

マーベル作品『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの3作目。クセが強くてワケありな銀河の落ちこぼれたちが結成した、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが活躍する物語。今回は最強の落ちこぼれチームvs最凶の完璧主義者の、全銀河の運命をかけたバトル映画。

 

Q.なぜ観ようと思ったの?

アベンジャーズシリーズからマーベル作品が大好きになり、それから毎作品観ているので。

 

Q.ズバリ、どうよかったの?

主人公であり、チームリーダーのクイルから、新しいリーダー・ロケットへとガーディアンズの歴史が引き継がれる物語だった。いつも足を引っ張りあったり喧嘩したりしているけれど、仲間がピンチの時には助け合うチーム内の友情、そして現代における多様性の時代をどう生きるかのメッセージも含まれたようにも思える。また、何より映画内で使われているサントラが良かった。1970年代〜2000年代の音楽が最高!

 

冒頭、アライグマのロケットが携帯型音楽プレーヤーでレディオヘッドの「Creep(アコースティックver.)」を聴いているシーン。自分が何者か分からないロケットの心情と、曲の雰囲気がマッチしていた。

 

6. 『おそ松さん on STAGE〜SIX MEN’S SHOW TIME〜2nd SEASON』(2023)/舞台

 

GetNavi web編集部・会田が選びました!

 

Q.どんな作品?

赤塚不二夫氏の『おそ松くん』を原作としたアニメ『おそ松さん』の2.5次元舞台。2nd SEASONとある通り、2016年〜2019年にかけて上演された舞台の続編にあたります。本作は約3年ぶりでファン待望の舞台でした。

 

Q.なぜ観ようと思ったの?

『おそ松さん』の1期からのファンで、1st SEASONの舞台も全て鑑賞。「観ない」選択肢がありませんでした。今回はキャストが変更されて、初めての舞台になります。前キャスト時に、コロナの流行やキャストの不幸など、さまざまな事情で全公演が中止となり、紆余曲折を経てようやく戻って来てくれた舞台なので、発表されてからずっと心待ちにしていました。

 

Q.ズバリ、何がよかったの?

正直、全てが最高でした! あえて挙げるなら、前キャストによる脚本や振り付けを取り入れた演出に、作品はもちろんこれまでの舞台キャストへのリスペクトを感じられてうれしかったです。終盤で「先輩たちの歌」として、過去の曲を披露してもらえたのも最高で、「帰って来てくれてありがとううう!」と感極まりました。定番の曲『SIX FAME FACES 〜舞台も最高!!!!!!ffffff!!!!』でのコール&レスポンスもそのままで、推しの数だけキンブレを持って行った甲斐がありました。第2弾があることを今から願ってます。

 

特に印象的だったキャストさんが2名おりまして、まず6つ子の「おそ松」を演じた中西智也さん。前キャストの高崎翔太さんを尊敬しているとバックステージの配信で語っていたと聞きました。かなり研究されたようで、キャスト変更の違和感がなく、かといってまるきりコピーしたわけでもない愛あふれる演技力に感動しました。2人目は、F6「チョロ松」を演じた松井健太さん。台詞の多い役で大変そうな中、笑顔がとても魅力的で、舞台中に推し認定して母目線で応援しておりました。 推していきます。

 

有難いことに良席だったので、舞台の醍醐味“ハイタッチ”をたくさん得られて、最後の最後に上がり切ったと思っていたボルテージが天元突破した感じでした。後日配信された録画動画では、そのハイタッチ時の様子で、同行した友人の歓喜の悲鳴がしっかり入り込んでいたのもニヤッとなる思い出です。

 

 

以上、GetNavi web編集部12名がそれぞれ選んだ「2023年に観てよかった作品」でした。皆さんの「観てよかった作品」は何でしたか? さまざまな出来事があった今年1年を、ぜひ作品とともに振り返ってみてくださいね。それでは、良いお年を。