武田玲奈「この作品をきっかけに、大人の女性の役が増えてほしい!」映画『唄う六人の女』
竹野内豊さんと山田孝之さんがダブル主演を務め、美しく奇妙な6人の女によって、森の奥深くに監禁された2人の男の運命を描いたサスペンス・スリラー『唄う六人の女』が、10月27日(金)より公開する。個性的な女性キャラが登場するなか、優しい雰囲気を放つ“包み込む女”と、都会に生きる“かすみ”という対照的な二役を演じた武田玲奈さん。いくつかの“初めて”が重なった役柄の思いについて語ってくれました。
【武田玲奈さん撮り下ろし写真】
このタイトルなのに、私、歌わなくていいんだ(笑)
──最初に脚本を読んだときの感想を教えてください。
武田 私自身、自然がとても好きなので、自然が大きなテーマになっている作品に参加できることは楽しみでした。そして、そこで描かれるエコやサステナブル、SDGsといったメッセージ性にも胸打たれました。実際に、ゴミの分別や自然に優しい素材を使うことを考えたり、調べたりしていたので……。あと、「このタイトルなのに、私、歌わなくていいんだ」と思いました(笑)。
──「オー!マイキー」などで知られるアーティスティックな作風で知られる石橋義正監督の最新作としての印象はいかがでしたか?
武田 初めて石橋監督とご一緒するということで、以前の作品を観させていただいたんですが、独特な世界観のなか、かなりCGを使ってらっしゃるので、台本を読みながら「このシーンでは、どのようなCGが足されるんだろう?」と考えていました。あと、今回はコメディ要素がないので、「これまでの石橋さんの作品とは違った雰囲気の作品になるんだろう」と思いました。
──今回、武田さんは竹野内豊さん演じる萱島の彼女・かすみと、森の中で萱島が出会う六人目の女“包み込む女”の二役を演じられています。
武田 まずは“包み込む女”ですが、台本を読んだだけでも、現場に入ってもなかなか分かりにくい、かなり難しい役柄だったと思います。目にカラコンを入れたり、奇抜なデザインの着物を着たり、最終的に森の中に生息する妖精のような感覚で臨みました。一方のかすみは、都会でバリバリに働くかっこいい女性。全く違う役どころなので、二つの役を演じ分けることに関しては、そこまで難しくなかったと思います。
恋人役の竹野内さんは、すごく気さくで、親しみやすい方
──また、かすみは萱島との子どもを欲しており、“包み込む女”は自らの子どもを守っているように、母性の強さに関しては共通しています。
武田 かすみに関しては、気が強い性格でもあるので、だいぶ年齢の離れた萱島を守りたい、助けたいという思いから、自分の意見をしっかり言ったり、ときには叱咤したりすることもあります。“包み込む女”は、反対に無表情で無口で、石橋監督からは「ただ、そこに存在している。佇んでいることを意識してください」というアドバイスをいただきました。ただ、子役の子どもたちと触れ合っているときの芝居が難しかったです。普通なら笑顔で接すればいいのですが、“包み込む女”は歯を出して笑顔にはなれない。あと、子どもを抱っこすることもあまり慣れていなかったので、そこも大変でした。
──人里離れた森林での撮影はいかがでしたか?
武田 森林のシーンは、京都の原生林の中だったり、奈良の山奥だったり、数か所で撮影しました。電波も繋がらない原生林の中に入っていくときは、かなり慎重に行動していました。みんなヘルメットをかぶって、ガイドさんに案内されながら、指定された道以外を歩いてはいけないといった、植物を守るためのいろいろなルールに従って移動していました。
──竹野内さんのほか、共演者の方とのエピソードを教えてください。
武田 竹野内さんも山田(孝之)さんも、今回が初共演だったんです。竹野内さんはどこか寡黙そうなイメージがあって、「年齢差のある恋人役が演じられるかな?」と思っていたんですが、全然そんなことなくて(笑)。すごく気さくで、親しみやすい方だったので、全く抵抗なく役に入り込めました。山田さんは結構キツいというか、怖い役どころだったので、ちょっと怯えていたんですが(笑)、山田さんも優しく紳士的な方でした。あと、竹中(直人)さんとのシーンは、ちょっと緊張感がほぐれる雰囲気だったので、竹中さんが作られた空気に乗っからせていただく感じで、楽しくやらせてもらいました。
「自然を大切にしたい」と思ってくれる人が増えてほしい
──完成した作品をご覧になったときの感想は?
武田 どこか奇妙な雰囲気ではあるんですが、すごく美しいビジュアルの作品になったと思いました。6人の女たち、それぞれの違う個性、違う美しさがあるので、皆さんハマっているなと思いながら観ていました。あと、私が現場では見ていなかった、すごいアクションや、グロい感じのシーンもありながら、最初に脚本を読んだときよりも、強いメッセージ性を感じました。
──本作は武田さんとしても、いろんな意味で、挑戦作だったと思います。
武田 初めての二役というのもありますし、全くセリフがない役どころも初めてでした。そういった意味での挑戦もありましたし、子どもを持つ母親という役も、今までほとんどなかったので、「この作品をきっかけに、大人の女性の役どころが増えてほしい」って思いました(笑)。また、この作品をたくさんの方に観てもらうことによって、「自然を大切にしたい」と思ってくれる人が増えてほしいです。
──いつも現場に持っていくモノやグッズについて教えてください。
武田 「SHIRO」のハンドクリームとか、いい香りがする消毒用のハンドジェル。あとは「nahrin」のロールオンタイプのハーブオイル。それから、「THERA」の塗香(パウダー状のお香)で、シナモンと混ざった匂いのものを手に塗りこんだりしています。現場や寝る前とかに、匂いを嗅ぐことでリフレッシュするようにしています。個人的には甘めというより、スーッとする匂いの方が好きですね。
唄う六人の女
10月27日(金)より全国公開
(STAFF&CAST)
監督・脚本:石橋義正
脚本:大谷洋介
出演:竹野内豊 山田孝之 水川あさみ アオイヤマダ 服部樹咲 萩原みのり 桃果 武田玲奈 大西信満 植木祥平 下京慶子 鈴木聖奈 津田寛治 白川和子 竹中直人
(STORY)
父の訃報を受けて帰郷した萱島(竹野内)と、萱島の父が所有していた土地を譲り受ける予定の宇和島(山田)は、車で山道を走る途中で事故に遭い気を失ってしまう。目を覚ますと、2人は“刺す女”(水川)、“包み込む女”(武田)ら、謎めいた6人の女たちによって、森の奥深くの屋敷に監禁されていた。
【映画「唄う六人の女」よりシーン写真】
公式HP https://www.six-singing-women.jp/
(C)2023「唄う六人の女」製作委員会
撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/円谷歩美 スタイリスト/小川未久
衣装協力/ビューティフルピープル、リュニック エ モア、STEFANO POLETTI、リューク、プリュイ