北香那、大杉漣さんとの共演は“宝物のような時間”「みんな大好きでした」

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2017年、応募者350人の中からオーディションで『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜』(テレビ東京系)の中国人のジャスミン役に抜てきされた北香那さん。

このドラマは、海外の動画配信サイトからドラマのオファーを受けた6人の名脇役たち(遠藤憲一さん、大杉漣さん、田口トモロヲさん、寺島進さん、松重豊さん、光石研さん)が、監督からの要望で、絆を深めるためにシェアハウスで3カ月間の共同生活を送ることに…という展開。

北さん演じるジャスミンは、ドラマのアシスタントプロデューサーで、キュートなルックスとカタコトのタメ口日本語が話題に。これまでにドラマは3シーズン、2021年には劇場版『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』も公開され、そのすべてに出演した。

 

◆大杉漣さんとの共演は「幸せで宝物のような時間」

ジャスミン役をゲットすべくバチバチのオーディションが繰り広げられるなか、架空のケーキにイヤリングを思いっきり刺すという行動に出た北さん。松居大悟監督からは「あれが一番良かった」と言われたという。

「撮影では、松居さんに『オーディション以上に暴れてくれ』と言われたので緊張もしました。自分の殻を完全に破って、いかにジャスミンを演じられるかチャレンジしましたが、シーズン1が終わったときは、ちょっと悔しかったです。もうちょっとできたんじゃないかって」

――『バイプレイヤーズ』はシーズン1が終わったとき、シーズン2があることは伝えられていたのですか?

「あるかもしれないというのは言われていたのですが、シーズン2ではジャスミンがキャサリンとか別の女性に替わっているんじゃないかとか、『シーズン2で私は呼ばれるのかな?』とドキドキしていたのですが、呼んでいただけたので本当に良かったです(笑)」

――シーズン1ではロケのときに大杉漣さんと一緒に移動されていたとか。

「はい。地方で撮影する日があって、ロケバスで移動していたんですね。パーキングエリアで休憩を取っていて、出発する時間になって、私はロケバスだったので、乗り込もうとしていたら、『ジャスミンはロケバスなの?良かったら一緒に車に乗って移動しようよ』って言ってくださって。

すごくうれしくて、ルンルンで大杉さんの車に乗せていただいて、みんなで竹原ピストルさんの『よー、そこの若いの』という曲を一緒に歌いながら移動しました。もうノリノリで大杉さんも歌っていて、ものすごく楽しかったです(笑)。

大杉さんは、キャストやスタッフの皆さんにも気さくで物腰が柔らかい方で、ご一緒できたことは幸せで、宝物のような時間を過ごさせていただきました」

――大杉さんの大ファンのお母さまが聞いたら大興奮でしょうね。

「はい。『いいなあ。自分がそこにいたかった』って(笑)。大杉さんと一緒に写真を撮らせていただいたので、それを見せたら『いいなあ。羨ましい』って言っていました(笑)」

――みんな大好きでしたね、大杉さんのことは。優しくてカッコ良くて。

「はい。みんな大好きでした。カッコいいし、声もステキだし、ダンディーで。でも、すごくおもしろくて、少年のようなところがたまに垣間見えるところもステキだなあって思いました」

――北さんにとって『バイプレイヤーズ』は、広く認知されるきっかけになった作品ですね。個性的でステキなおじさまたちの中に紅一点で。

「そうですね。皆さんキャラが個性的でしたよね(笑)。大先輩の皆さんの中でお芝居をさせていただいて、優しく受け入れてくださって、本当にありがたかったです」

――現場では結構アドリブもあったのですか?

「ほぼほぼアドリブです(笑)。まるで男子校みたいでした。それがすごくおもしろくて、監督もカットをかけられなくなってしまって(笑)。皆さんのアドリブが間近で拝見できて、とても勉強になりました」

 

◆オーディションでスライディング土下座

2018年、北さんはアニメーション映画『ペンギン・ハイウェイ』(石田祐康監督)で、主人公・アオヤマくんの声優を務めることに。この作品は、小学4年生の少年・アオヤマくんがひと夏に不思議な出来事を体験し、成長していく姿を描いたもの。

「あれもオーディションだったのですが、声優をやってみたいという思いはありました。兄がいるので、家ではアニメ専門チャンネルの『アニマックス』とかも流れていたので」

――オーディションはどのように?

「最初はスマホに声を録音して送って、通過してオーディションを受けたのですが、その会場の場所がわからなくなってしまって、道に迷ってしまったんです。

そのときはまだ今ほどスマホが発達してなくて、スタッフさんが駅まで迎えに来てくださったんです。本当に申し訳なかったのですが、オーディションに3分ぐらい遅れてしまって。

遅れるなんて絶対にダメじゃないですか。本当に申し訳なくてドキドキしてしまって、それで会場に着いたとき、スライディング土下座をしたんです。『すみません。本当にごめんなさい。遅れて申し訳ございません』って」

――スライディング土下座ですか? 皆さん驚いたでしょうね。

「はい。私は本当に、ただただ遅れて着いてしまったことが申し訳なくて、何とかオーディションを終えたのですが、『もう終わった』とそのときは思いました。

でも、後に監督が『あのときの北さんのその真っすぐさがアオヤマくんと重なって決めた』と言ってくださって、念願の役をいただけて本当にうれしかったです」

――主人公のアオヤマくん、男の子の声だということは最初からわかっていたのですか?

「いいえ、とくに男の子の声だから受けたということではなくて、小説もありましたし、声優をやりたいなと思っていたので。

当時、妹がちょうど小学4年生だったんですよね。それで、私が妹の授業参観に行って、男の子の声を聞いて、『しゃべり方とキーはだいたいこのぐらいの感じかな?』とか、いろいろ研究してからオーディションに挑みました」

――念願の声優業はいかがでした?

「とても楽しかったですが、声のキーを一定にするのが難しかったです。順録りしていって、15日間ぐらいで全部録ったのですが、最初のほうは(声が)不安定なんですよね。

やっていくうちに徐々に声が安定していって。半分ぐらい録ったところでちょうど安定してきたので、もう一度最初から半分までを録り直して繋げて、という作業をしていきました」

――映像とセリフの尺を合わせるのは、スムーズにいきました?

「それは調整してくださいました。初めての挑戦だったので、『全然合わなくてごめんなさい』という気持ちでいっぱいでしたが、やっていくうちに少しずつ慣れていきました」

――完成した作品をご覧になったときはいかがでした?

「見てくださった方が、私だと気づかなかったと言ってくださったり、男の子の声にしか聞こえなかったと言ってくださったので、自分では自分の声にしか聞こえないけど、ちゃんと成立していたんだなと思いました(笑)」

――私もエンドロールで北さんのお名前を見るまで気がつきませんでした。

「本当ですか? ありがとうございます。自分ではやっぱり自分の声に聞こえるんですよね(笑)。

だけど、画が本当にステキで可愛くて大好きな作品です。あっという間に5、6年経ってしまいましたね、早いです」

『バイプレイヤーズ』シリーズに加え、念願の声優デビューも果たし広く知られることになった北さんは、『相棒season18』(テレビ朝日系)、『アバランチ』(フジテレビ系)、『事件』(WOWOW)、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)、現在公開中の映画『春画先生』(塩田明彦監督)など多くの作品に出演することに。

次回は撮影エピソード&裏話も紹介。(津島令子)