3歳クラシック最終戦のGI菊花賞(10月22日/京都・芝3000m)への出走権をかけたトライアル戦、GII神戸新聞杯が9月24日に行なわれる。

 過去3年は京都競馬場の改修工事による影響で、中京競馬場の芝2200mで施行されてきた同レース。今年は4年ぶりに本来の舞台となる阪神・芝2400mで行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は6勝、2着1回とかなりの強さを見せている。ただし、一昨年はダービー馬のシャフリヤールが4着に敗れ、昨年も1番人気が馬群に沈んで馬連の配当が3万円を超える"大荒れ"となり、近年は波乱傾向にある。

 それゆえ、日刊スポーツの奥田隼人記者も「(今年も)そうした傾向が続くのか、注目のレースです」と言って、こう語る。

「過去10年で1番人気は6勝、2着1回と好成績を残しているとはいえ、2021年からは連敗中。加えて、2020年は14番人気のロバートソンキーが3着、2021年には8番人気のモンテディオが3着、2022年にも12番人気のヤマニンゼストが2着に入るなど、ここ数年は人気薄馬が波乱を演出しています。

 そして今年の3歳馬も、牝馬はリバティアイランドの1強ムードですが、牡馬はまだまだ混戦模様。どの馬にもチャンスがあり、近年と同じく穴馬の台頭があってもおかしくありません」

 実際、今年はGI日本ダービー(5月28日/東京・芝2400m)で3着と好走したハーツコンチェルト(牡3歳)、GIII共同通信杯(2月12日/東京・芝1800m)の覇者ファントムシーフ(牡3歳)、GII京都新聞杯(5月6日/京都・芝2200m)を勝ったサトノグランツ(牡3歳)あたりが人気を集めそうだが、いずれも今回はダービー以来の休み明け。しかも、それぞれ一長一短あり、全幅の信頼を置くまでには至らない。

 となれば、春以降に力をつけてきた馬など、意外な存在による逆転劇があっても不思議ではない。そこで、奥田記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。

「まず気になるのが、ビキニボーイ(牡3歳)です。昨年の2歳時にはGIII札幌2歳S(札幌・芝1800m)で6着に入るなど中央でも善戦していましたが、年明けに1走したあと、地方の兵庫競馬に転入。以降、地方のダート戦を走りながら地道に力をつけてきました。

 そして、2走前の3勝クラス・佐渡S(7月30日/新潟・芝1800m)から再び中央へ転入。いきなり見せ場十分のレースを披露しました。単勝261.1倍と18頭立ての最低人気でしたが、メンバー最速タイの上がりをマークして5着と奮闘しました。

 さらに、前走の3勝クラス・日本海S(8月19日/新潟・芝2200m)でも、骨のあるメンバー相手に後方から追い込んで5着。中央再転入のここ2戦では、以前には見られなかったキレ味を発揮するなどして、成長ぶりを感じさせました。

 脚質からも、2400mという距離は魅力。管理する梅田智之調教師も、『距離が延びたほうがいいタイプ。クラシック出走馬もいるが、(菊花賞出走の)権利を獲りたい』と期待を込めています。外回りの長い直線勝負で、浮上の可能性は大いにあると見ています」


神戸新聞杯での勝ち負けが期待されるマイネルラウレア

 奥田記者が推すもう1頭は、マイネルラウレア(牡3歳)だ。

「昨年末にデビューしてから、走ったのは4戦のみ。体質の弱さから調整面で難しさを抱えていますが、持ち前の脚力は世代屈指のものがあります。

 デビュー2連勝でリステッド競走の若駒S(1月21日/中京・芝2000m)を制覇。その後、GI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)こそ14着と大敗を喫しましたが、続く京都新聞杯では、今回も出走する勝ち馬サトノグランツからコンマ1秒差の5着と健闘しました。

 ここまで重馬場だった皐月賞を除けば、良馬場の3戦はすべてメンバー最速の上がりをマーク。体調さえ整っていれば、トライアルのメンバーでも好勝負は必至でしょう」

 マイネルラウレアの素質の高さは間違いなさそうだが、今回はおよそ4カ月半の休み明け。その辺りに不安はないのだろうか。

「夏場は休養に充てて英気を養い、帰厩後の動きはすこぶる快調。1週前の追い切りでは、栗東のCウッドで77秒9−11秒7という自己ベストをマークしました。

 管理する宮徹調教師も『馬体の完成はまだ先』としながら、『調整は順調にきているし、(体は)太くはないですね。馬はまだ成長途上で(本格化するには)もうちょっと時間がかかるかもしれないが、距離は大丈夫です』とまずまずの手応えでした。

 先週のGIIローズSで日本レコードが記録されたように、阪神の馬場もまだまだ良好。週中の雨の影響が及ばず、良馬場で競馬ができれば、マイネルラウレアの安定感&破壊力のある末脚が爆発するはずです」

 波乱ムード漂う菊花賞トライアル。末脚自慢の人気薄馬が春の実績馬たちを蹴散らして高配当を演出するのか、注目である。