「早くマスクを外したかった…」商社勤務・31歳女性がモチベUPした意外なきっかけ
名品には数々の効力がある。
身に着けることで日々のモチベーションアップにつながったり、自分に自信をくれたり――。
まさに、大人たちのお守り的存在だ。
本連載では人々から愛され、流行に左右されることない一生モノの“ファッション名品”にフォーカス。
今回登場するのは、商社勤務のA.Yさん。彼女が紹介してくれるアイテムとは?
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今回お話を聞いたのは、A.Yさん
1992年生まれ、東京都出身の31歳。立教大学現代心理学部卒業後、現在は商社で働く。
コロナ禍でファッションが楽しめなくなった
自由にファッションを楽しむ者にとって、コロナ禍は不遇の時期だった。A.Yさんは、当時の気分の落ち込みについてこう振り返る。
「コロナの影響での自粛期間中は、大好きだったメイクやファッションが思うように楽しめなくなり、本当に気分が沈んでしまって…。早くマスクを外したいと、ずっと思っていました」
聞くと、スタイリストに憧れていた時期もあったほどの、生粋の洋服好きだという彼女。
「小さい頃からお洒落するのが大好きだったので、高校は、自由な髪型や服装ができる学校だけを受験した」とも話し、実際に高校時代は、日本の雑誌だけでなく海外のファッション誌までも読破するほどだった。
そんな、ファッションを愛するA.Yさんが「とても思い入れのあるアイテム」と紹介してくれるのは、シェイディー・キャラクターのサングラス。
1970年代に米ニューヨークのマンハッタンで誕生し、現在は復刻モデルやニューモデルなどが続々登場。感度の高い大人から愛されているブランドだ。
渋谷にあるメガネショップ『G.B. Gafas』で、約4万円で購入。フレームはブラウンがかった透明色で、レンズは薄いオレンジ色をセレクト
目元の表情がわかるカラーレンズの魅力とは?
購入のきっかけを聞いてみると…。
「コロナ禍の中で、マスクもファッションの一部として楽しめたらこの憂鬱な気分が晴れるのかもしれない、と思ったのがきっかけ。昔からファッションでお手本にしている人がメガネショップ『G.B. Gafas』をおすすめしていたので、ふらっと行ってみたんです」
ただ彼女にはサングラスへの抵抗感があったという。その理由は、まつ毛がレンズに当たってかけづらいことや下を向いた時に眼鏡がずり落ちてしまうこと。
サングラスをかけることは煩わしさを伴うこと、と思っていたのだ。その思いを払拭してくれたのが『G.B. Gafas』の店員さんだった。一つひとつ親身になって解決策を提示してくれたという。
「本当に心地いい設計をしてくださって。その場でフレームを調整してくれるのはもちろんのこと、私の沈んだ気持ちをくみ取ったうえで顔のパーツに合うレンズの色やデザインを提案してくれて、心から感動しました」
結果、彼女が選んだのは、マスクをしていても、目元の表情がわかる極薄いオレンジ色のカラーレンズ。最初はぎこちない気持ちもあったが、サングラスにも次第に慣れてくると、不思議と気持ちが前向きになったという。
「今まで抵抗があったサングラスというファッションアイテム。でも、これを手に入れたことで夏のお出かけが楽しめるようになったんです。時期も時期だったので遠出できなくても、レンズ越しに見える景色が新鮮に映るから、近所のお出かけも楽しくなっちゃって」と笑う。
当時の彼女にとっては、挑戦的なアイテムであったカラーレンズのサングラス。それを、コロナ禍が過ぎ去った今では頻繁に身につけられるようになった。
このサングラスは、A.Yさんの新しいファッションの幅を広げてくれた、大事なアイテムなのである。
◆
取材の最後に、「レンズ越しに見える世界は、何色に見えますか?」と、少し変化球な質問を投げかけてみた。
すると「難しい質問ですね…」としばらく考え込んだあと、「バラ色…かな?」とほほ笑みながら答えてくれた。
決して抗うことのできない苦しい時勢が彼女に与えてくれた、新しいファッションの楽しみ方。カラーレンズを通して見るこれからの彼女の未来は、一味も二味も違う、バラ色の人生となるに違いない。
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写真/品田健人