Jリーグの魅力を世界へ発信する「J.League Journeys」のロロさん(左)とクリスさん【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

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Jリーグのスタジアムが誇る安全性は“開かれた雰囲気”の大きな要因

 Jリーグは今年で30周年を迎え、その間にスタジアムも歴史を紡ぐと同時に進化を遂げてきた。

 「FOOTBALL ZONE」では、そんなインフラにフォーカスを当てた特集を展開する。今回は「J.League Journeys」としてSNSを中心に日本のプロサッカーリーグが持つ魅力を発信し続ける英国人2人組、クリスさんとロロさんを取材。その内容を2回にわたってお届けする。前編ではJリーグのスタジアから受けた感銘に加え、彼らのお気に入りTOP5を訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・山内亮治/全2回の1回目)

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 Jリーグならではの魅力を世界へ、サポーターの熱気や食事などのサービスも含め余すところなく伝えたい――。英ロンドン出身のクリスとロロは2年余りに及ぶ「J.League Journeys」の活動のなかで、J1からJ3まで20以上ものクラブ本拠地に足を運び、その様子をYouTubeチャンネルやインスタグラムなどで発信してきた。

 彼らの母国には世界最高峰のプレミアリーグがあるとはいえ、Jリーグだってその素晴らしさは引けを取らない。クリスはJリーグの現地観戦に関する“特筆すべきポジティブな要素”として安全性を挙げ、魅力をこう力説する。

「海外と比較した時、Jリーグのスタジアムにはフーリガンといった不安要素がほとんどないのがいいよね。だから、子供や女性だけで観戦に行っても心配がない。それはつまり、スタジアムにあらゆる人たちに開かれた温かい雰囲気があるということなんだ」

 J.League Journeysの元には同じくJリーグを現地観戦した海外出身者から高評価の声が届いている。ロロによると、スムーズなイベント運営に海外のファンは感銘を受けているという。

「Jリーグを観戦した海外のファンに感想を尋ねると、彼らは口を揃えて『試合運営がスムーズで、とても良くオーガナイズされている』と話すんだ。スタジアムの規模にかかわらず、運営レベルの高さはどこも共通しているみたいだよ」

 さらに、2歳の息子の父親であるロロは愛息との観戦で“うれしいサプライズ”に直面したことを教えてくれた。

「おむつ交換台や着替えのスペースがイングランドよりも充実していることには驚いたし、『素晴らしい!』と思ったね。これは家族連れでスタジアムに行きたくなる大きな理由の1つだよ」

J.League Journeysのお気に入り“Jスタジアム”TOP5

 では、Jリーグクラブのホームスタジアに数多く足を運んだクリスとロロにとってお気に入りはどこなのだろう。それぞれに訊いたTOP5と理由を紹介する。

<Chris’s TOP5>
■1位:NACK5スタジアム大宮(大宮アルディージャ)
「観客席からのピッチの眺めや会場外に見える景色は素晴らしい。これこそ1位に推す理由さ。また大宮駅からスタジアムがある大宮公園までの道のりも雰囲気がいいよね。いつ訪れても美しいと感じる」

■2位:三協フロンテア柏スタジアム(柏レイソル)
「スタンドとピッチが近くて迫力があり、プレミアリーグに似た雰囲気を持つスタジアムだと思う。建物内にピザ店があるのも個人的にはうれしいポイントだね」

■3位:ノエビアスタジアム神戸(ヴィッセル神戸)
「このスタジアムに関しては、最新テクノロジーの導入に目を見張る。キャッシュレス決済など、ファンにとって使い勝手のいいスタジアムじゃないかな。隣接する広場で食事を楽しめるし、家族連れにとって素晴らしい環境だと思う」

■4位:埼玉スタジアム2002(浦和レッズ)
「日本が誇るアメイジングなスタジアムだと思う。ピッチとスタンドが近いのはもちろん、規模の大きさも素晴らしい。満員時のスタジアムの雰囲気は本当に信じられない気持ちだよ」

■5位:エディオンピースウイング広島(サンフレッチェ広島)
「開業は2024年だけど、これは特別に期待を込めて。市内中心部に位置しているということもあって、地域社会に大きな影響を与えてくれるはずさ。観光の観点からも広島市にポジティブな効果をもたらすだろうし、重要な拠点になるだろうね」

<Lolo’s TOP5>
■1位:NACK5スタジアム大宮(大宮アルディージャ)
「このスタジアムを一言で表すとすれば『魔法』だね。三協フロンテア柏スタジアムがよりサッカーにフォーカスされているに対し、周辺を含んだ体験の楽しみという観点では大宮が日本屈指だと思う。海外のファンにも強くお薦めしたいスタジアムだよ」

■2位:パナソニックスタジアム吹田(ガンバ大阪)
「コンコースを1周できて、どこからでもピッチを近くに感じられることはすごいと思った。陽光の差し込み方やそれによる明るい雰囲気も好きだし、初めて来た時は『こいつはすげぇ!』って感じで痺れたね」

■3位:埼玉スタジアム2002(浦和レッズ)
「浦和レッズのファンが一体となって素晴らしい体験を提供してくれるスタジアムだと思う。ただ規模が大きいだけじゃなくて、個性的な外観もこのスタジアムならではの良さであり特徴さ」

■4位:三協フロンテア柏スタジアム(柏レイソル)
「サッカーのすべてが凝縮されたファンタスティックなスタジアムだと思う。特にスタンドのイエローカラーが晴れた日に良く映える印象で、そこがすごく好きだね」

■5位:フクダ電子アリーナ(ジェフユナイテッド市原・千葉)
「このスタジアムの好きなポイントは、会場内のグリーンとイエローを基調としたカラーリングだね。サポーターにも熱量があって、会場内の雰囲気は常に素晴らしいと感じているよ」

 景色やスタジアムまでの道のり、会場のカラーリングまで、Jリーグのスタジアムには競技の枠だけに留まらない魅力であふれているようだ。

(文中敬称略)(FOOTBALL ZONE編集部・山内亮治 / Ryoji Yamauchi)