千葉市が「千葉マリンスタジアム」の将来的なあり方の検討を開始しました。現時点では「改修」か「建替」か決まっていませんが、建替の場合は幕張豊砂駅に近いエリアも整備候補地として想定されています。

「現スタジアムの改修」または「新スタジアムの建設」を想定

 千葉市は2023年7月、ZOZOマリンスタジアム(千葉マリンスタジアム)の将来的なあり方を検討していくための基礎調査の結果を公表しました。「新スタジアムの建設」または「現スタジアムの改修」が想定されており、新スタジアムを整備する場合は、現在地からの移転となる見通しです。


京葉線(画像:写真AC)。

 現在のマリンスタジアムは、東京湾に面した幕張海浜公園にあり、プロ野球の千葉ロッテマリーンズの本拠地として、年間約70試合が開催されています。JR京葉線の海浜幕張駅から少し離れた場所にあり、徒歩の場合は約15分を要します。海浜幕張駅からバス路線もあるものの、試合後は一般車と路線バスが輻輳して交通渋滞が発生しています。
 
 施設は竣工から30年以上経過しているほか、海が近いため塩害の影響もあり、劣化が顕著になっているといいます。市は「新たなスタジアムのあり方」として改修ケースを3案、建て替えケース3案の計6パターンを提示。建て替えケースには、スタジアムをドーム型とする案もあります。概算事業費は最小で978億円(改修)、最大で2505億円(建て替え)としています。

 建て替えの場合、移転候補地は幕張海浜公園や幕張メッセ駐車場などが想定されています。前者は現球場と同じく海浜幕張駅が最寄りですが、後者は、今年3月に開業した幕張豊砂駅が最寄り駅で「イオンモール幕張新都心」に隣接した場所にあります。
 
 整備地が幕張メッセ駐車場となった場合、幕張豊砂駅の利用者増も見込めそうです。同駅は「イオンモール幕張新都心」に直結していますが、新スタジアムができれば賑わいの軸がもう一つ増えることになります。

 市は新スタジアムに併設する施設や、周辺の賑わい創出に関して民間事業者にヒアリングも実施しています。民間事業者からは「幕張豊砂駅に近い立地であれば、住宅・マンションが併設施設となる可能性はある」、「海浜幕張駅や幕張豊砂駅からスタジアムまでの動線に賑わいがなく、マリーンズの本拠地である雰囲気づくり、賑わいづくりが必要」といった回答が得られています。
 
 ただ、市は幕張メッセ駐車場に整備する場合、駐車場の代替機能確保が課題になると指摘。懸念事項として、幕張豊砂駅が利用想定を超えることに対する措置も必要になるとしています。
 
 現時点ではスタジアムの方向性は何も決まっていませんが、今後策定される「基本構想」に改修または建て替えの方針、整備候補地が盛り込まれる見通しです。基本構想の策定から新スタジアムの供用開始まで、約10年間を要するとしています。