首都圏では大型のバイパス事業となる国道254号「和光富士見バイパス」がついに一部開通しました。行き止まりだったバイパスに橋がかかり、詰まっていた交差点もスムーズになったのでしょうか。

バイパスどうしがT字で交わる交差点に陸橋が開通!

 埼玉県富士見市と志木市で2023年7月29日、国道254号「和光富士見バイパス」の一部区間が新規開通しました。新たな陸橋ができることで、慢性的な混雑が発生していた交差点の改善が期待されていましたが、それがどうなったのか、実際に行ってみました。


開通した和光富士見バイパス(乗りものニュース編集部撮影)。

「和光富士見バイパス」は、川越方面から南へ延びる国道254号「富士見川越バイパス」(旧富士見川越有料道路)の延伸部にあたります。これまで同バイパスは国道463号「浦和所沢バイパス」(通称うらとこ)に接続する「下南畑」交差点が終点でしたが、“うらとこ”をオーバーパスする陸橋が開通し、さらに南の志木市内へと延伸したのです。

 これまでの下南畑はT字交差点の形状で、富士見川越バイパスの終端部は右左折のクルマが詰まってズラリ渋滞。“うらとこ”側も、川越方面へと右左折する車列が長く延び、ここがボトルネックになっていました。

 陸橋で川越方面から志木市へ直通が可能になったほか、さらに下南畑交差点は“うらとこ”から同方向への側道も新規開通。富士見川越バイパス終点部の渋滞は外から交差点を見る限り、かなり緩和された印象です。

 ただ実際に新規開通部を川越方面から走ってみると、ちょっと特異な構造にすぐ気づきました。あれ、陸橋が“本線格”ではないぞ――。

 川越方面から陸橋へ真っすぐ通じているのかと思いきや、側道すなわち地上の下南畑交差点へ2車線で通じる従来の車線構成から、陸橋の本線へ1車線が「分岐」する構造だったのです。

「今回の新規開通区間も方向別の交通量を考慮し、志木方面は1車線ですが、川越方面は2車線の暫定3車線で整備しています。川越方面からは、従前どおり国道463号で右左折するクルマが多いとみています」(埼玉県県土整備部 国道担当)

 川越方面からくると、これまで下南畑交差点は左折(さいたま方面)2車線+右折(所沢方面)2車線でしたが、左折・直進1車線+右折2車線の計3車線に減りました。それでも渋滞が解消していたのは、「これまでは左折の後すぐ右折して志木方面へ向かうクルマが多かったのですが、志木方面へ陸橋で直通できたことが大きい」(同)とのこと。陸橋の効果は小さくないようです。

新たな終点は狭かった…

 陸橋を下りたバイパスの新規開通部は、車道脇の植樹帯が一部まだ施工中で、砂利のエリアが見えている箇所があります。このバイパス、幅員は36〜42mもとられており、植樹帯のない箇所は、開通済みの本線がほんの一部のように思えるほど広いです。広い歩道や自転車エリアのほか、住宅街の小道へアクセスする副道も備えているのは、新しい道路だなと感じます。

 開通区間の終点は下南畑交差点から約1.4km南、県道さいたま東村山線と交わる「中宗岡四丁目」交差点で、ここへT字に接続しています。

 県道さいたま東村山線は志木市役所のある道路で、さいたま方面は、荒川に架かる秋ヶ瀬橋に通じています。これにより、“うらとこ”とも荒川を渡る交通の分散が期待されています。

 ただしこの県道、2車線の昔ながらの路線であり、バイパス開通に合わせ改良されるわけでもなく、多くの交通需要に応えられるものではありません。

 秋ヶ瀬橋を越え、そのまま真っすぐ東へいくと埼玉県庁、そして浦和駅西口まで行くことができます。しかし市街地区間は狭いうえ、バス通りでもあるためトコトコ進まざるを得ません。現状では、この途中で交わる国道17号「新大宮バイパス」や、外環道下の国道298号などと合わせてどう使うかがミソになってくるでしょう。


従来の富士見川越バイパス終点(下南畑交差点)。右折2+左折2車線あったが長い車列が延びていた(乗りものニュース編集部撮影)。

 埼玉県の担当者は、今後の交通量の推移を見ながら、県道さいたま東村山線の信号サイクルなども警察と協議のうえ見直していくと話しました。また、バイパスが延伸する際には、中宗岡四丁目交差点の拡幅も予定されているそうです。

 ちなみに、和光富士見バイパスは未開通の志木市〜朝霞市2.9km区間も建設中で、その先は、外環道の和光北ICまで開通済み。さらに東京方面への延伸も事業化されています。外環道と直接つながるようになれば、バイパスの本領発揮となるでしょう。

※一部修正しました(8/2 10時10分)