家のカーポートなどと道路の段差をなくすため、「段差解消ブロック」を置いている風景をよく見かけます。しかしこれ、実は危険な違法行為なのです。

よく見かける光景だが

 自宅のカーポートと道路との出入りをしやすくするため、傾斜のついた「段差解消ブロック」を置いている風景をよく見かけます。しかしこれ、実は危険な違法行為なのです。


段差解消ブロック(画像:写真AC)。

 東京都葛飾区は7月27日に「道路上に段差解消のブロックを置かないでください(お願い)」と呼びかけ。同様の呼びかけはこれまでも何度か行われています。

 具体的にどういった違法行為になるのでしょうか。これは「道路上にみだりに物を置く」ことが問題になってきます。道路法第43条では以下の行為を禁止しています。

●みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。
●みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある行為をすること。

 さらに、道路交通法第76条にも、以下の規定があります。
●何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。

 段差解消ブロックはこの「土石、竹木等の物件」を置き「道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある行為」、あるいは「交通の妨害となるような方法」に該当することとなります。

「そんなこと言われても、段差のせいで家から出るのに支障をきたして仕方ないじゃないか」という声が上がってくるかもしれません。その「正当な対処法」として、道路管理者は以下のように話します。

「まず、その段差が家の敷地のものである場合、敷地側で切り下げるなどしてください」としたうえで、「家から歩道を経て車道に下りる形の場合、縁石と歩道をそこだけ自費で切り下げ、段差を無くすという方法があります」と話します。

 これは道路法第24条に基づく工事(24条工事)と呼ばれ、道路管理者の持ち物である道路構造物を、道路管理者以外が手を加える行為となります。勝手に工事はできず、あらかじめ道路管理者(県道なら県の土木事務所、市道なら市役所など)に、24条工事の承認申請を行う必要があります。

過去には死亡事故で有罪判決も

 では、段差解消ブロックを道路上に置く行為が違法だとして、どのようなペナルティが課されるのでしょうか。

 まず、道路交通法では6か月以下の懲役または10万円以下の罰金という罰則があります。また、その行為で実際に事故やトラブルが発生してしまった場合、ブロックを置いた本人は「違法行為によって他人に損害を与えた」ことは疑いようが無く、その責任を問われることとなり、大きく不利になってしまいます。

 ブロックが置かれるのは、車道外側線の外側(路肩や歩道側)にあることが多いです。そのため裁判で「ここはそもそも車両が通るべき場所ではないのだから、問題は無いだろう」と争われる場合もあります。

 しかし、路肩には停車や緊急回避などの機能があるほか、車両や軽車両などが通行する可能性がゼロではありません。実際、1999(平成11)年に大阪府堺市で発生した死亡事故では、原付バイクの大学生が段差解消プレートに乗り上げて転倒し他車にはねられたことが原因となり、プレート設置者が有罪判決を受け、書類送検されています。

「歩道の切り下げについては、宅地開発などの際に最初から一体的に行われるケースが多く、ブロックの設置も日々のパトロールで発見し、必要に応じて指導を行っています。しかし、街じゅう網の目にように張り巡らされる市町村管理の路地については、案件が多すぎるのと、通過速度が低いこともあり、なかなか是正指導が進んでいないのが実情です」(道路管理者)。


※一部修正しました(8月2日19時56分)。