7月24、28日と続けて短い期間に都内でアルミ風船による電車の遅延が発生しました。なぜ風船ひとつでそうなってしまうのでしょうか。

「アルミ風船が付着」で大幅遅延

 2023年7月24日、東京メトロ千代田線や小田急線などが、架線付近にアルミ風船が付着した影響で大幅に遅延することがありました。さらに7月28日も、都営三田線と東京メトロ南北線にて同様の理由で大幅な遅延が発生し、Twitterでも一時トレンドになりました。


地下鉄のホームのイメージ(画像:写真AC)。

 実はこのアルミ風船によるトラブルの遅延は定期的に発生しています。架線に付着すると、どのような悪影響があるのでしょうか。

 アルミ風船は一般的なゴム風船よりも耐久性に長けており、逆止弁が付いている構造上、浮くタイプの風船に使用するヘリウムガスも抜けにくいといわれていますが、使用されているアルミ素材が架線の大敵となります。

 アルミは通電しやすい特性を持っているため、手を放し、飛んでいってしまった風船が架線に付着した場合、高電圧が流れているためアルミ風船が原因でショートを起こし断線する危険性もあります。過去には実際にそうなってしまい、復旧するまで長時間を要したケースもあります。

 また、アルミ風船は地上駅よりも、地下鉄などの地下駅の方がやっかいな相手です。天井に浮んで留まるため、空気のちょっとした変化で架線に付着する可能性も。そのため、撤去までに長時間の遅延が発生することもあります。

 風船の持ち込みに関しては注意をうながす鉄道会社も多く、東急電鉄のホームページには「浮遊したアルミ風船が鉄道の電線などの設備に接触すると、列車が運行できなくなるなどの影響があります。駅構内にアルミ風船を持ち込む際には、絶対に離さないようお願いします」としています。阪神電鉄も「アルミ風船を駅構内に持ち込む際は、絶対に離さないでください」としており、放してしまった場合はすぐに駅係員に伝えて欲しいと記載されています。