老舗弁当店が警鐘「ご家庭での弁当作りでガクブルな点」 真夏はもちろん、初夏も重要な「食中毒対策」
2023年5月23日、東京・日本橋の老舗弁当店「弁松」の公式アカウント(@benmatsu1850)が投稿されたツイートが注目を集めている。
「一年中、過剰なまでに衛生面に注意している我々から見るとご家庭での弁当作りでガクブルな点」として、次の4点を挙げたものだ。
●加熱していないものが入っている。
●加熱したものを冷まさないで密閉容器に入れる。
●素手で詰める。
●器具のアルコール消毒をしていない
蒸し暑くなってきた今日このごろ。ハッとした読者もいるのではないか。背筋が寒くなった人も、いるかもしれない。
このツイートには、2万3000件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散している(6月7日現在)。
Jタウンネット記者は「日本橋弁松総本店」に電話して、このツイートについて詳しい話を聞いた。
真夏はもちろん、6月、9月も要注意
Jタウンネットの取材に応じた「日本橋弁松総本店」公式ツイッターアカウントの「中の人」によると、ツイートのきっかけは、厨房の中が暑くなってきた頃でもあり、社内に注意喚起を呼びかけるタイミングだったから、ということ。
「厨房で働く社員が日頃から厳しく徹底している注意点を、ご家庭で弁当をつくられてる方にも発信してみたらどうだろう、と考えてみたわけです。皆様の反応も伺いたいな、と思いまして......。ここまでの反響が大きいとは、ビックリしました」
そんな弁当づくりのプロは、家庭でつくる弁当について、こう指摘する。
「朝作って昼に召し上がるならまだ菌数が増えてないと思われますが、油断すると食中毒に繋がります。実はご家庭での食中毒発生件数も結構多いのです。真夏はもちろんのこと、6月とか9月も要注意です」
では改めて、同店が警鐘を鳴らす「家庭での弁当作りにおけるガクブルな点」を見てみよう。
まず家庭でつくる弁当の危険ポイント、1番目は「加熱していないものが入っている」こと。ミニトマトやレタス、きゅうりなどの生野菜、加熱していないものは、要注意なのだ。
一般ユーザーの中でも注意している人は多いようで、ツイッターにもこんな声が寄せられている。
「インスタとかで見る、おしゃれなお弁当、綺麗だけど、えっ、ご飯の仕切りにレタス? ミニトマトのヘタはとらないの? とびっくりするときがある。私も気をつけよう」
「トマト(ミニトマト含む)のヘタは雑菌の温床なので絶対に取って洗って!」
付けない・増やさない・やっつけるでバイバイキン
家庭でつくる弁当の危険ポイントの2番目は、「加熱したものを冷まさないで密閉容器に入れる」こと。
炊きたてのあたたかいご飯を、冷まさないまま容器に詰めるのは、危険だ。
続いて危険ポイントの3番目は、「素手で詰める」こと。弁当づくりのプロにとって、手袋は必須アイテム。おにぎりも素手で握ってはいけない。「日本橋弁松総本店」公式アカウントは、次のツイートも投稿している。
「食中毒菌はバリエーションがあり、手指の傷や鼻などに付着している『黄色ブドウ球菌』なんかは特に強敵です。加熱すれば菌は死にますが、産生された毒素は消えません」
そして危険ポイントの4番目は、「器具のアルコール消毒をしていない」ことだ。
「ご家庭でも食中毒菌は『付けない』『増やさない』『やっつける』でバイバイキンして下さい」(「日本橋弁松総本店」のツイートより)
これについて、ツイッターでは、こんな声もあった。
「コロナ禍で良かったと思うのはパストリーゼ(※)がメジャーになって、スーパーで普通に買えるようになった事。お弁当箱にシュッとしてる」(※ドーバー パストリーゼ77は製菓向け洋酒メーカー・ドーバーの製品。食品にも直接吹きかけることが出来るアルコール製剤)
一般家庭でも、食品用アルコール製剤を活用して、まないたや包丁、容器にシュッとかけている人も多いようだ。
弁当づくりのプロが指摘する、食中毒対策。家庭で弁当をつくる際に、参考にしてはいかがだろう。
なお、農林水産省が「お弁当づくりによる食中毒を予防するために」というウェブページも公開している。そこには、弁松公式アカウントも紹介していた菌を「つけない」「ふやさない」「やっつける」という食中毒対策の「大原則」について、より詳しく載っている。そちらもあわせて、覗いてみてはいかがだろうか。