ヴィクトリアマイルで激突するソダシとスターズオンアース「現役最強牝馬」はどっちだ?
今年のGIヴィクトリアマイル(5月14日/東京・芝1600m)は、ハイレベルなメンバー構成となった。
GI馬が4頭いるうえ、GIで2、3着となった、いわゆるGI級の馬がズラリ。まさしく現役牝馬の"最強クラス"が顔をそろえた一戦と言えるだろう。
なかでも興味深いのは、人気を二分すると思われる桜花賞馬同士の対決だ。すなわち、一昨年の桜花賞馬ソダシ(牝5歳)と、昨年の桜花賞馬スターズオンアース(牝4歳)の激突である。
両馬にとっては、これが初の顔合わせ。その分、対決への興味は一段と膨らむ。
ヴィクトリアマイルの連覇を狙うソダシ
ソダシはここまでGI3勝。東京の芝マイル戦は2戦2勝と得意舞台としており、昨年のヴィクトリマイルも快勝し、今年は連覇がかかっている。
一方、スターズオンアースはGI2勝だが、前走のGI大阪杯(4月2日/阪神・芝2000m)では牡馬トップレベルを相手に僅差の2着。GIの勝利数では負けても、出走したGIレースの内容では決して負けていない。
では、この2頭、どっちが強いのか。関西の競馬専門紙記者は、こんな見解を示す。
「ポテンシャルだけなら、ソダシよりもスターズオンアースのほうが上。全出走馬のなかでも、この馬の能力が断然に抜けています。
前走の大阪杯では強豪牡馬を相手にして、ほぼ絶望的な位置から追い込んで、あわやの2着まで迫りましたからね。あの末脚の破壊力は、すでに"名牝級"です」
確かに、スターズオンアースの前走の末脚は圧巻だった。牡馬混合のGIで、あれだけの競馬ができる牝馬はそうそういない。おそらく今回のヴィクトリアマイルでも、同馬が1番人気に推されるだろう。
ただし、前出の専門紙記者は「ポテンシャルは抜けている」と評しながら、ここでは「取りこぼす可能性がある」という。というのもここ2戦、昨秋のGI秋華賞(10月16日/阪神・芝2000m)と大阪杯と、強い競馬を見せていながら3着、2着と、勝てていないのもまた事実だからだ。
同専門紙記者はその敗因を、この馬が抱えている弱点にある、と見ている。
「スタートが致命的に下手なんです。ゲートが開くと、いつも遅れ気味に出て、少しヨレる。だから、いい位置が取れず、決まって最後方からの競馬になる。そこから、最後の最後で脚を使うので、どうしても取りこぼしが多くなって勝ちきれない。今回も、そうなる可能性は十分にあり得ます」
ましてや、前2走はいずれも2000m戦で、今回はそこから400m距離が短縮されてマイル戦となる。スタートの悪さは前2走以上に、致命的なものになってしまう。
それゆえ、スターズオンアースの評価は競馬関係者のなかでも割れている。直線の長い府中コースが「それ(出遅れ)をカバーしてくれる」と読む人がいれば、マイルという距離自体が「この馬にとっては、適距離より短い」と見ている人がいる。
いずれにしても、東京の芝マイル戦は2戦して2度とも勝てていない(3着、2着)。
その事実を重要視すれば、ソダシの逆転の目も見えてくる。
先にも触れたとおり、東京の芝マイル戦は2戦2勝。彼女が最も得意とする舞台であることを考えれば、逆転への期待はより一層高まる。さらに今回は、鞍上が名手ダミアン・レーン騎手に替わる点も強調材料となる。
先の専門紙記者もこう語る。
「昨年のヴィクトリアマイルのようなレースができれば、ソダシにも勝つチャンスは出てくると思います」
昨年のヴィクトリアマイルは、前半2ハロン目で10秒台をマークしたあと、3ハロン目からは11秒台のラップが最後まで刻まれた。そのよどみのない流れのなか、ソダシは道中4番手を追走。直線半ばで先頭に立つと、上がり33秒4の脚を使ってそのまま押しきった。
ソダシよりも速い上がりタイムをマークした馬は何頭かいたが、どの馬も直線の位置取りが後ろすぎた。結果、先行抜け出しのソダシを捕まえることができなかった。
速い流れを、速い上がりで押しきる――ソダシが勝つには、この競馬だ。
無論、スターズオンアースもゲートさえ普通に出れば、高いポテンシャルにモノを言わせて、ソダシ以下、どの馬も寄せつけずに勝ちきるのは可能だろう。
昨年と一昨年の桜花賞馬の対決に注目が集まる今年のヴィクトリアマイル。アーモンドアイやグランアレグリアの「1強」が君臨する競馬も楽しみではあるが、今回のようなレベルの高いライバル対決もまた、面白い。
さて、勝つのはどっちだ?