「子宮内膜ポリープ」を疑う初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
子宮内ポリープとは、子宮内に生じたポリープのことを指します。
子宮内ポリープは無症状のことが多く、健康診断で初めて認識することが多い病気です。
しかし、そのままにしておくと様々な症状が生じる可能性があるため、正確に診断した上で対処を検討することが求められます。
今回は、子宮内ポリープについての症状・原因・診断方法・治療方法などをご紹介します。
子宮内膜ポリープの症状と原因
子宮内膜ポリープの主な症状を知りたいです。
子宮内膜ポリープの症状は人によって様々です。月経中でもないのに出血してしまう「不正出血」・1回の経血量が多すぎる「過多月経」・月経日数が8日以上にも及ぶ「過長月経」が主な症状として挙げられます。一方で無症状の場合もあり、たまたま診察を受けたら子宮内膜ポリープの診断を受けたということもよくあるケースです。着床の邪魔になるため、不妊症の原因になることもあります。
子宮内膜ポリープの初期症状を教えてください。
子宮内膜ポリープの初期症状としては、前述のように不正出血・過多月経・過長月経が挙げられます。一方、症状は軽いことが多く、無症状の場合もあります。子宮内膜ポリープの原因について詳しく教えてください。
子宮内膜ポリープの原因はまだ明らかになっていませんが、 炎症・分娩・女性ホルモンなどの影響が示唆されています。女性ホルモンの一つであるエストロゲンが過剰な状態が続くと子宮内膜が厚くなり、ポリープができる確率が高まる可能性があります。ホルモンバランスが乱れやすい閉経前後の女性では、定期的に検診を受けることが特に大切です。
子宮内膜ポリープの検査・診断方法
子宮内膜ポリープの検査方法を知りたいです。
子宮内膜ポリープの検査方法は、まずは膣超音波検査によって行うことが一般的です。超音波によって子宮内を観察します。しかし、膣超音波検査では、月経周期によっては見分けがつかないことがあります。というのも、子宮内膜ポリープのサイズには小さいものもあるからです。そのため、疑いがある場合にはより確実的な診断をするために、 子宮鏡検査を行います。子宮鏡検査とは、子宮の中に胃カメラのようなスコープを入れて観察する検査方法です。
胃カメラよりも細い形状をしているため、麻酔なしで入れられます。ポリープの位置・大きさ・個数・表面の形状などを詳細に知ることが可能です。また、ポリープと子宮体がんを区別するために子宮内膜細胞診が行われることもあります。
子宮内膜ポリープはほとんどが良性ですが、子宮体がんとの区別がしにくいことがあります。そのため子宮体がんとの区別が必要になります。子宮内膜細胞診では、子宮内表面の細胞を採取して顕微鏡で確認します。
診断方法を知りたいです。
多くの場合は、前述した経膣超音波検査によって診断が行われます。不正出血や不妊症の訴えがあった患者様に向けてこの検査を行い、ポリープがあることが認められたら診断されるという流れです。ただより正確に診断するために、肉眼で子宮内の様子を確認できる子宮鏡検査を併せて行うこともあります。また、厳密には病理学的検査を行い、子宮体がんではないことを確認した上で子宮内膜ポリープであると診断する必要があります。
再発する可能性について教えてください。
子宮内膜ポリープは再発することが多いとされます。そのため、一度摘出した場合でも定期的な検査を行う必要があります。子宮内膜ポリープの治療方法と予防
子宮内膜ポリープの治療方法を教えてください。
子宮内膜ポリープがあると診断されたからといって、全ての場合において治療が必要というわけではありません。特に症状がなく、不妊の原因にもなっていないのであれば、 治療はせずに経過観察になるケースもあります。治療方法には、薬物療法と摘出術があります。薬物療法には、ホルモン剤を用いて増殖した子宮内膜を排出させる方法があります。摘出手術には、子宮内膜掻爬術と子宮鏡下子宮内膜ポリープ摘出術があります。
子宮内膜掻爬術は器具を使って子宮内全体をかきだしてくる治療法です。一方子宮鏡下子宮内膜ポリープ摘出術はカメラで子宮内を見ながらポリープをとってくる方法です。いずれの手術も体に負担が大きく、治療法の決定は医師と相談して慎重に判断しましょう。
不妊の原因になることもあるのですね。
あります。ポリープが 受精卵の着床を阻害してしまうためです。不妊の原因になりうるのは、ポリープの大きさが1cm以上であったり、ポリープが卵管の近くにできていたりすることが多い傾向にあります。ポリープは小さいと数mm程度の大きさですが、大きいと数十mmもの大きさであることも少なくありません。不妊の原因になるほどのポリープである場合には、手術によって摘出することを推奨します。
子宮内膜ポリープの予防方法などあれば教えてください。
子宮内膜ポリープは発症の原因がわかっていないため、予防法も確立されていません。そのため、健康的な生活を送り、定期的に健康診断を受けるのが最も予防に近いのではないかといえます。少しでも異常があれば、すぐに医療機関を受診することも大切です。最後に、読者へメッセージをお願いします。
子宮内膜ポリープは無症状であることが多く、気づかないままになっているケースが非常に多くあります。しかし、ポリープの状態によっては悪性であったり不妊の原因になっていたりと、知らぬ間に悪影響が及んでいる可能性があり軽視はできません。定期健診で状態を確認し、問題がないことを認識しておくことが大切です。また、特に月経に関連して異常を感じる場合には、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。子宮内膜ポリープの早期発見につながります。
編集部まとめ
子宮内膜ポリープは、子宮内膜が異常に繁殖してしまうことでできるポリープです。
原因はわかっておらず無症状であることが多いですが、場合によっては不正出血・過多月経・過長月経を引き起こしている可能性が指摘できます。
ポリープが大きかったり、ポリープができている位置が卵管の近くであったりする場合には、不妊の原因になっていることもあり軽視はできません。
定期的な検診でポリープがないかを随時確認することが大切です。少しでも異常を感じた場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。
特に月経は個人差が大きいため我慢してしまう女性が多いですが、まずは受診してみることが大切です。
参考文献
治療の難しい不妊症のためのガイドブック