胃スリーブ手術後に感染症を引き起こした女性(画像は『The Sun 2023年3月5日付「‘HORRIBLE ORDEAL’ I underwent gastric sleeve surgery in Turkey and now I have to eat through a feeding tube」(Credit: SWNS)』のスクリーンショット)

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昨年11月、イギリス在住の女性が減量を目的にトルコで胃切除手術を受けた。深刻な合併症を抱えていた女性は医師から減量が必要と告げられていたが、国内の手術待機リストに登録してから4年経っても手術を受けることができずにいたため、トルコに渡ったという。しかしトルコでの手術後、女性は激しい腹痛や嘔吐などの症状に襲われてしまい、帰国後に詳しい検査を受けた結果、胃の縫合部から感染症を引き起こしていることが判明した。英ニュースメディア『The Sun』『Liverpool Echo』などが伝えている。

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英マージーサイド州ウィラルに住むピンキー・ジョリーさん(Pinky Jolley、45)は昨年11月、トルコで減量を目的とした胃スリーブ手術を受けた。それは胃の外側の大半を切除し細長く形成する手術のことで、食事量を制限し大幅な体重減少が期待できるものだった。

ピンキーさんは糖尿病を患っており、深刻な合併症のため車椅子での生活を余儀なくされた後、体重は17ストーン11ポンド(約113キロ)に達してしまった。その結果、医師からは減量の必要があると告げられていた。

しかしNHS(イギリス国民保険サービス)の手術待機リストに登録後、4年経っても手術を受けることができなかったことから、自費で手術を受けることを決意したのだ。

2022年4月にクラウドファンディングサイト『GoFundMe』で募金活動を開始したピンキーさんは、2200ポンド(約36万円)の寄付金を集めてトルコへと旅立った。

イスタンブールの病院に到着後、医師がほとんど英語を話せないことに不安を覚えたというピンキーさんだったが、目的を果たすため胃の85%を切除する手術に踏み切った。だが手術後、彼女は激しい腹痛と嘔吐、脱水症状などに苦しむことになったそうで、当時の状況をこう振り返っている。

「2時間に及ぶ手術が終わってから、ずっと誰かに胃を刺されているような感じでした。そんな状態にもかかわらずパラセタモール(鎮痛剤)を処方されただけで、ほとんど効かなかったんです。こんなにもひどい痛みを感じるのは初めてだったので、血液検査をお願いしたほどでした。」

手術から4日後、イギリスの自宅に戻ったピンキーさんは家庭医(GP)の診察を受けたところ、すぐに大きな病院へ行くように勧められた。

そして「アロウィ・パーク病院(Arrow Park Hospital)」でCTスキャン検査を受けた結果、縫合不全(縫い合わせた部分がくっついていない状態)により胃腸の内容物が漏れ出し、感染症を引き起こしていることが明らかになった。

「胃スリーブ手術は完全に失敗で、医師からは内臓がコンクリートのように硬くなっていると告げられました。自分の助けになるはずの手術を受けた結果、こんなにも苦しむことになるなんて…本当に腹立たしいです。」

そう語ったピンキーさんは今年1月29日、3人の外科医による腹腔内洗浄が行われた後、「ロイヤルリバプール大学病院(Royal Liverpool University Hospital)」に転院した。そして1か月以上にわたって敗血症と闘ったのち、ようやく退院することができたという。

昨年11月以降は固形物を食べることができず、鼻からのチューブで栄養を摂っているというピンキーさん。現在の体重は13ストーン(約82.5キロ)、服のサイズは18号だという彼女は、手術を受けたことをこのように述べている。

「4年間も手術を待ち続けて、多くの人たちから応援してもらったので資金が集まり次第すぐに手術を受けたかったんです。やっと自分の体重を何とかできるかもしれないと思うとワクワクしました。今思えば、あまりにも安かったのでもっと考えるべきだったのですが、つい流されてしまいました。」

「当初は2年以内に8ストーン(約51キロ)減量したいと思っていたんです。痩せることはできましたが、こんなはずではありませんでした。栄養チューブが必要になったし、すべてが苦痛です。こんなことになるなんて、手術を受けなければ良かった。だってもう少しで命を落とすところだったんですから。帰国してから色々と助けていただいた医療スタッフや夫のポール(Paul、43)には本当に感謝しています。今はとにかく元気になりたいと思っています。」

画像は『The Sun 2023年3月5日付「‘HORRIBLE ORDEAL’ I underwent gastric sleeve surgery in Turkey and now I have to eat through a feeding tube」(Credit: SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)