マイホームでの快適な暮らしを維持するには、定期的に家の点検やメンテナンスをする必要があります。では、新築の家の点検は何年目くらいに行えばいいのでしょうか。今回は、住宅点検の時期やチェックポイント、注意点などを解説します。

住宅点検とは?

住宅点検とは、新築の家を購入または建築したあとに定期的に実施する点検のことです。

新築から半年、1年、2年、5年、10年など、定期点検の時期や頻度は施工会社によって異なります。新築時の施工不良が原因で不具合が認められた場合は、保証期間内であれば無償で対応してもらえるケースが多いでしょう。

売主や工務店、ハウスメーカーなどによる点検のほか、建築士など第三者による住宅点検もあります。専門家にチェックしてもらうことで、施工ミスなどによる不具合に気づきやすくなります。

専門家による第三者検査の目的は、施工不良の粗探しではなく「図面通りの施工が完了しているかどうか」のチェックなので、基本的に施工会社との関係が悪くなることはありません。

住宅点検のチェックポイントは?

住宅点検のチェックポイントは建物の外部と内部で分かれます。外部のチェックポイントには基礎部分や外壁などが、内部には壁・天井・収納・屋根裏などがあります。それぞれ解説していくので参考にしてください。

建物外部の点検
建物外部の主なチェックポイントには以下のようなものがあります。

・基礎:ひび割れ、はがれ、浮きなど
基礎コンクリート表面に施工されたモルタルの幅0.3~0.5mmを超えるひび割れや、はがれ・浮きの具合をチェックします。

・外壁:ひび割れ、はがれなど
サイディングやモルタルなどの外壁材にひび割れやはがれが生じている場合、雨漏りのリスクがあるので確認しましょう。

・屋根:浮き、ひび割れなど
目視できる範囲内で屋根の浮き、ひび割れなどを確認します。

・ベランダ:手すり、床、サッシ、排水口など
笠木(壁や手すり上部に取り付けられている仕上げ材)、床の防水層、サッシのまたぎ部分の裏、排水口の周りなどは雨漏りしやすいので、劣化具合をチェックします。

建物内部の点検
建物内部の主なチェックポイントには以下のようなものがあります。

・壁・天井:ひび割れ
・壁・天井・収納・屋根裏:染み
大きなひび割れや斜めに入ったひび割れ、雨漏りによる染みの状況を確認します。すでに室内に雨水が浸入している場合は、素早い補修が必要です。

・床下・屋根裏:シロアリ、コンクリートの状態、小屋組みなど
床下のシロアリ被害の有無やコンクリートの状態、屋根裏の小屋組み(梁・小屋束・構造金物など)をチェックします。ただし、床下も屋根裏も危険な場所なので、専門家に点検してもらうほうがよいでしょう。

・水道・電気
水道、電気の不具合を確認します。

家の点検は新築してから何年目にする?

家の点検は、築何年目に行えばよいのでしょうか。ここでは、点検時期のおおよその目安や点検およびメンテナンスの内容について解説していきます。新築から1~2年目以内、10年目以内、20年目以内、30年目以内に分け、それぞれ説明するので参考にしてください。

新築から1~2年目以内
メーカーによって保証内容は異なるものの、新築から1~2年目くらいまでは申告により無償で点検を行ってもらえることが多いようです。

壁や天井のクロス、水回り、建具、窓などをチェックして不具合があれば、施工会社に申告して点検に来てもらうとよいでしよう。

点検で不具合が認められれば、基本的に無償で補修をしてもらえます。意図せず自分で付けてしまった壁紙の傷や、家具を移動させる際に付いたフローリングの軽微な傷に関しても、無償で請け負ってもらえるケースが多いようです。

新築から10年目以内
新築から10年目以内の点検として、まずは2年目に保証期間が切れる箇所もあるため、補修の必要がないかどうかを確認します。木材の歪みによる建具の変形、壁への影響もチェックしましょう。

5年目は建物の傾きや雨漏りなどを確認します。また、ビニールクロスが劣化したり、シロアリ予防剤の効果が切れたりする時期なので、壁や床の点検も必要です。10年目は洗面所やトイレなどの設備が耐用年数を迎える時期なので、水回りの不具合を中心に調べてみてください。

新築から20年目以内
新築から10~20年くらい経過すると、外壁や屋根、ベランダ、バルコニー、サッシなどのメンテナンスが必要になります。屋外施設や外部に接する箇所は、室内よりも風雨にさらされるため、注意深く確認しましょう。

家の内部では、ガスコンロや給湯器、トイレなどの交換が必要なケースもあります。

クロスも10年くらいが張り替えの目安です。黄ばみや汚れ、傷みによるはがれが目立ちやすい時期なので、劣化具合をチェックし、必要に応じて補修・交換します。

新築から30年目以内
新築から20年以上経過すると、建物によっては外壁や屋根の修理・取り換えが必要になります。新素材を使用した耐久性のアップや、太陽光発電への切り替えを検討してもよいでしょう。

フローリングやクロスの張り替え、バス、トイレ、キッチンの交換も検討します。不具合や故障が発生する前の点検や交換がおすすめです。自身や家族の年齢によっては、バリアフリー構造に変更したほうがよいかもしれません。

住宅点検を受ける際の注意点

住宅点検を依頼する際の注意点として、保証期限、長期優良住宅の定期点検、専門家への費用の3点があります。それぞれどのような点に注意すればいいのか解説します。

保証の期限が切れる前に行う
新築住宅の場合、建物の躯体部分については、完成(引き渡し)から10年間の保証が義務化されています。そのため、10年間の保証が切れる前に、基礎や壁、柱、床、屋根、梁などを点検してもらい、必要があれば補修を依頼しましょう。

ただし、あくまでも構造的な欠陥に対する保証なので、屋根の雨どいを掃除しなかったり、コーキングが切れたりしたことによる雨漏りは対象外です。内装、サッシ、ボイラーなども対象となりません。

長期優良住宅は定期点検が義務化されている
長期優良住宅は定期点検が義務化されているため、建築後30年以上、10年以内の頻度で点検を受ける必要があります。

建築後2年、5年、10年、15年などの時期に定期点検を行うことが多いでしょう。

定期点検を受けないと、長期優良住宅の認定が取り消しになる可能性があります。その場合、補助金の返還を求められることがあるので注意が必要です。

専門家へ依頼する場合は費用がかかる
住宅点検を第三者の専門家へ依頼する場合は費用がかかります。依頼内容や点検の内容によっても費用は異なりますが、一般的な相場は目視で4~7万円、詳細診断で6~14万円くらいが目安です。

住宅購入時に点検を依頼する場合、費用は一般的に買主が負担します。点検は買主を守るために行われるものなので、点検する専門家と売主との間に利害関係がないことが重要とされるためです。

まとめ

住宅点検は、家の状態を維持するために定期的に行うことが望ましいとされています。新築後10年を経過すると法的な保証期間が切れるため、その前に点検を受けるとよいでしょう。

長期優良住宅の場合は、点検が義務化されているため注意が必要です。住宅点検を専門家に依頼するときは、費用も考慮しなければなりません。