コロナ融資後倒産 年別発生件数

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「コロナ融資後倒産」動向調査(2022年)

 ゼロゼロ融資をはじめとした「コロナ融資」を受けた後に倒産した企業の数が急増している。2022年に発生したコロナ融資後倒産は384件発生し、前年累計(167件)の2.3倍に達した。当初は1カ月で平均2件前後の発生にとどまるなど少数で推移したものの、コロナ禍から1年目が経過した21年2月以降は10件を上回るペースで推移。2年を迎えた22年3月以降は月間30件を超え、22年5月は月間最多となる43件に達するなど、前年に比べ発生ペースが加速した。2020年7月以降の累計では566件で、このペースが続けば年内に累計1000件に到達するとみられる。

 実際の融資額が判明した約180社の1社あたりのコロナ融資借入額平均は約5900万円だった。当初は政府系金融機関からの借り入れが中心だったものの、2022年以降は銀行や信用金庫など民間金融機関から借り入れた企業の倒産が目立った。この結果、全体のコロナ融資累計損失総額は推計で約334億9588万円となり、国民1人あたり約280円の負担が発生している計算となる。

 コロナ禍による経済の急激な縮小や経営環境の変化により、多くの中小企業で業績が悪化したものの、持続化給付金をはじめとする政府の支援策に加え、全国55兆円に上る実質無利子・無担保融資(コロナ融資)で資金繰りを下支えしてきた。一方で、この間に業績の立て直しがままならず、コロナ融資を運転資金などで使い切った中小企業は多い。2023年3月に利払いを含めた本格的な返済開始を迎えるなか、返済原資の確保や金融機関からの追加融資が難しかった企業を中心に、最終的に資金繰りに行き詰まり、事業継続をあきらめる倒産が目立っている。

 業種別にみると、2022年で最も多いのは建設業の85件で、前年比3.0倍に増加した。以下卸売業(76件)、製造業(65件)が続いた。製造・卸売では、いずれも食品に関連した業種が多いほか、卸売業では需要減少が続くアパレル産業での増加が目立つ。小売業(58件)では特に飲食店が多く、58件中27件を占めたほか、前年の14件から約2倍に増加した。

今年3月に返済開始の山場到来 返済原資のない中小企業の「あきらめ」倒産増懸念

 全国55兆円に上る実質無利子・無担保融資(コロナ融資)は、コロナ禍で窮地に陥った中小企業の資金繰りを下支えする命綱としての役目を果たしてきた。しかしその半面、こうした手厚い支援の副作用が、返済能力を大幅に超過した債務を抱える企業を大量に生み出す「過剰債務」問題として顕在化している。

 2022年8月に帝国データバンクが実施した調査では、コロナ融資を受けた企業のうち「2023年以降」に返済を迎える企業が約3割を占める。長引くコロナ禍で業績回復が遅れている中小・零細企業にとって、コロナ融資の返済負担が大きな重荷となっていくなか、収益力が戻らず返済原資の確保ができない企業の「あきらめ」による倒産増が懸念される。