THE LAST ROCKSTARS、信念を反映したサウンド 1stシングル3つの魅力とは
写真=THE LAST ROCKSTARS
YOSHIKI×HYDE×SUGIZO×MIYAVIによるスーパーバンドTHE LAST ROCKSTARSが、31日に行なわれる『第73回NHK紅白歌合戦』特別企画での初出場を控えている。日本ロック界の頂点に君臨し、その名を世界に馳せている4人のパフォーマンスに注目が集められる。
【動画】YOSHIKI×HYDE×SUGIZO×MIYAVI、スーパーバンド「THE LAST ROCKSTARS」結成(会見&囲み取材ほぼノーカット)
1stシングルの3つの魅力ポイントとは?
THE LAST ROCKSTARSは、HYDEがYOSHIKIに活動を懇願し動き出した。
2022年11月11日、新バンド結成を発表した会見でHYDEは、「YOSHIKIさんのロックドラムを叩いている姿を見られないままというのは寂しい。こんなに稀有な存在のロックドラマーがいるのに、これはもったいない」と言い、「僕に時間をください」と話したことを明かした。
12月23日、THE LAST ROCKSTARSの1stシングル「THE LAST ROCKSTARS(PARIS MIX)」が全世界配信リリースされた。
YOSHIKIが作詞作曲を手がけた楽曲「THE LAST ROCKSTARS(PARIS MIX)」の特筆すべきポイントとしては、まず、4人のレジェンド・アーティストらの多大かつ多彩なエネルギーが強大な塊として統合されている点がひとつ。
そして、日本人の持つ繊細さと叙情的な情念と美意識が、明瞭な“ロック”として、リスナーを限定しないサウンドで表現されている点。
さらに、各セクションにおいてのアレンジメントが非常に緻密で、日本の四季のような風情をも感じさせる、彩り豊かなマジックが施されている。本作の魅力のポイントとして、まずは、これら3点が挙げられるのではないだろうか。
固定観念を取り払う攻めのサウンド
普遍的な美しさを纏うピアノフレーズが導入の「THE LAST ROCKSTARS(PARIS MIX)」。インパクト十分なコーラスワークと深い歪みのギターサウンドが広がり、刹那のブレイクを挟み、ドキッとさせられるタイミングでHYDEのボーカルが入る。
その中で、YOSHIKI、HYDE、SUGIZO、MIYAVIの、1つのバンドで混ざり合うことが可能なのかというほどのパワフル過ぎる個々のパワーがぶつかり合いつつ、調和し、THE LAST ROCKSTARSのアンサンブルとして出力されている。
曲中のバースで何度か展開される、メイントラックのひとつとも捉えられようコーラスワークは、絶妙なタイミングでループされる(だが、それぞれのサウンドアプローチは全て異なる)。
ギターリフからは、イントロと曲間で繰り返されるなどの従来の役割をさらに進化させたテイストもみられる。2度目のギターリフのセクションから楽曲が展開され、各メンバー(と思われる)の声が交差するバースに入り、そこから3小節という絶妙なタイム感で、サムライの居合抜きのようなリードギターフレーズが斬り込まれる。
開けるように、楽曲は壮大なハーフテンポのセクションからサビと捉えられるセクションに再突入する。ここではまず、静かにピアノがメインのバッキング、重ねてストリングスサウンド、畳み掛けるようにドラムのビートの打拍と、“4人が同じ志を胸に、「最後のロックスター」として世界へ挑戦する”ようにドラマティックな飛翔をみせる。
意識の表面に上がる音楽的なポイントが極めて深く残り、また何度か聴きたくなり、能動的に再生ボタンに手が伸びるというのは、良曲の証と言えるだろう。繰り返しリスニングするうちに次々と浮き彫りになる世界観の構成からは、ビビッドかつカラフルな多種多様の要素がみられた。
ロックの概念とは
1stシングル「THE LAST ROCKSTARS(PARIS MIX)」は、ロックバンドTHE LAST ROCKSTARSとしての“調和”を表しているように思える。それも、攻めの調和であり、世界への挑戦の狼煙。「世界に旋風を巻き起こす」という志は、楽曲から如実に伝わってくる。
本作を聴くと、日本とアメリカで行われるツアーも発表された今、直近となる31日の紅白出場でのパフォーマンスに対しての期待感も高められる。
姿勢やアティチュードがロック、音像がロックだ、固定観念を破って新たな道を示すのがロックである、など、ロックに対して様々な見解があると思われる。
本作最大の魅力は、THE LAST ROCKSTARSの思うロックの概念が、作詞作曲YOSHIKIの手腕が光る「THE LAST ROCKSTARS(PARIS MIX)」という洗練された楽曲として、歌として、言葉として、サウンドとして、メンバー4人のアレンジ、プレイで堂々と表現されている点につきると言えよう。
紅白出場TV初パフォーマンス、見所は、THE LAST ROCKSTARSという“バンド”が、<We’ll let your wings of belief unchain(君の信念の翼を解き放とう)>と、歌われているように、ロックは概念ではなく、表現や生き様であることをライブで示してくれる姿ではないだろうか。【文・平吉賢治】