イチロー氏、また進学校をサプライズ訪問 ノック449本に生徒は涙「自分の限界見て」
静岡県立富士高を訪問「一緒に野球をやってみようかな、とそんな感じです」
マリナーズのイチロー氏(会長付特別補佐兼インストラクター)が3、4日、静岡・富士市の県立富士高をサプライズ訪問し、野球部の生徒に指導を行った。11月26、27日には都立新宿高も訪れており、今オフ2度目の“進学校訪問”となった。前回同様、イチロー氏が来ることは部員には秘密。突然の登場に生徒たちは「え!」「がち?」と驚きの声を上げた。
グラウンドから富士山が見える富士高の部員は、2年生が9人、1年生が10人。平日は午後4時まで授業があり、下校は午後8時と決まっているため、2時間半ほどの練習時間で文武両道を目指している。さらに、地域への野球普及活動も熱心に行っており、3日もイチロー氏が来る前に1時間ほど、小学1年生から4年生の子ども約20人に生徒が投げ方、打ち方などを手取り足取り教えていた。
新宿高のときと同様、部員にはテレビなどの取材陣は野球教室のためと説明。イチロー氏は練習前には校舎に入り、グラウンドが見える部屋から、部員に見つからないようカーテン越しに野球教室の様子を見ていた。正午過ぎ、ナインが一塁ベンチ前で円陣を組んでいると、バックネット側の通路からイチロー氏が登場。驚いた生徒たちからは「え!」「がち?」と戸惑いの声が漏れた。
イチロー氏は「みんなに(臨時指導を)リクエストされたわけでも、監督さんからリクエストされたわけでもない」と経緯を説明。「地域の子どもたちに野球振興、普及活動を熱心に取り組んでいる。みんなは勉強もすごく頑張っている。すごく、期待されているんだってね。みんな、どんな世界に進むか分からないけど、リーダーとなって地域に還元する目標があると聞いてきました。一緒に野球をやってみようかな、とそんな感じです」と興味を持った理由を明かした。
1日目はキャッチボール、トスバッティング、ノック、ケース打撃、フリー打撃などの練習に参加。自らバットやグラブを握って実演も行った。午後4時半頃に全ての日程を終えると、生徒の前であいさつ。「(練習を)時間で決めてしまうと、10分後に合わせてしまう。全力でいかないよね。本当に限界を見るには効果的じゃない。そういう時間をつくって、自分の限界を見て下さい」とアドバイスを送った。
2日目の内野ノックでは、三遊間で守る生徒を相手に打ち込んだ。ルールは1人10本ずつだが、8球目以降にエラーするとまた8からカウント。8球目以降はエラーなくいかないと終われず「僕の体力が持つ限りやろう」と続け、さらには予定になかった外野手も含めて結局19人全員に打球を放った。合計50分でなんと449スイング。「前に!」「ナイスプレー!」「諦めるのが早い!」「頑張れ!」と大声での叱咤激励に生徒の目の色も変わっていった。
最初は、緊張からか元気のない印象だった生徒たちがノッて来ると、「今の感じ、すごくいいよ。そのエネルギー。その感じで毎日、練習に取り組んでください」と声をかけていた。途中、ノックを受け終えたところで「いい思い出になりました」と感謝し、涙ぐむ生徒もいた。2日間にわたった指導は、富士高の生徒たちの最高の思い出になったようだ。(Full-Count編集部)