(株)徳増興産(資本金4500万円、福岡県北九州市戸畑区新池1-11-24、代表紱増雄三氏)は、11月8日に福岡地裁小倉支部より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は小倉知子弁護士(福岡県北九州市小倉北区鍛冶町1-2-16、ナリッジ共同法律事務所、電話093-531-3515)。

 当社は、1948年(昭和23年)6月に家庭用燃料販売を目的に創業し、67年(昭和42年)7月に(有)徳増マルヰプロパン商会に法人改組。81年11月に(有)徳増興産に商号変更したのち、不動産賃貸業に特化し、96年1月に株式会社に組織変更した。主に北九州市で一般個人向けに自己所有のマンション、アパートを中心とした不動産賃貸を手がけていたほか、付随する管理、仲介も行っていた。北九州市戸畑区の地上9階建てのマンション「昭和ビル」(テナント1〜3階、60戸)を中心に、同市内でマンションや駐車場を次々と開設していくなか、2008年3月、同市小倉北区にスーパー銭湯が併設している地上25階建ての高層マンション「トーマスタワー」(129戸)を建設。多数の物件を手がけることで地場では相応の知名度を有し、2012年8月期は年収入高約31億8300万円を計上していた。

 しかし、収益性に乏しい経営が続いたことで赤字を散発。過年度の累積損失から債務超過状態に陥っていた。この間、建設したマンションの信託受益権を海外の投資ファンドに購入してもらう計画が世界的な不況により白紙になったことで、工事代金の未払いが発生。マンション工事業者から建築請負代金の請求訴訟を起こされるなど苦戦を強いられていた。近年は不動産開発にかかる多額の借入金の返済原資確保のため、徐々に所有物件の売却を進めたことで賃貸収入が減少し、2021年8月期の年収入高は約1億8000万円まで激減していた。今年8月24日には「トーマスタワー」の土地と建物が競売開始決定を受け、9月15日に自治体から差押登記を設定されるなど厳しい資金繰りを強いられていたなか、10月19日に債権者からの破産を申し立てられていた。

 負債は約42億100万円。