本来「エアバス旅客機のパーツを運ぶ」専用機だったのに、ドイツ軍?

「ベルーガST」を用いて「いろんなお客さんの貨物運びます」

 ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスらが2022年9月、同社の旅客機のパーツを輸送するために開発された巨大輸送機「ベルーガST」に、ドイツ軍のヘリコプター「CH-53」を格納するテストを実施しました。これは「ベルーガST」によって実施される新事業の一環です。


エアバス「ベルーガST」(画像:エアバス)。

「ベルーガST」は、エアバス社の旅客機「A300」を母機としますが、胴体上部を異様に大きく膨らませた形状が特徴です。これまでは先述のとおり、旅客機のパーツ輸送専用機として使用されてきました。

 現在エアバスでは、貨物搭載能力などを向上させた「ベルーガST」の後発機「ベルーガXL」の投入を進めており、これにともなって在来型の「ベルーガST」は、旅客機のパーツ輸送業務という役割を終えることになりました。

 ただ、「ベルーガST」は機齢こそ25年以上経過している機もあるものの、離着陸回数に相当する「総サイクル数」は、設計限度である3万回の半数程度となる約1万5000回に留まっているといい、設計上はまだまだ十分に飛行を続けられる余裕があるそう。そこでエアバス社では、「ベルーガST」を用いて、さまざまな顧客からの特大貨物輸送業務を引き受ける新事業をスタートさせました。ドイツ軍はこの顧客の一員にあたります。

 今回実施された「CH-53」ヘリコプターの格納試験は、高速、かつ効率的に特大の軍用貨物を搭載するために、1年半をかけ開発された装置「ローディング システム」の動作を確認するもの。このシステムを導入で、CH-53の積み込み作業は1時間半以内で完了させることができるほか、従来と比べて輸送のためのヘリコプター解体作業を最小限にとどめることができるとしています。