特急「かもめ」最後の日 長崎駅から在来線特急が撤退 ファンも別れ惜しむ
最終列車は0時ちょうどに長崎駅到着予定です。
伝統受け継ぐ列車名称
特急「かもめ」に使われていた787系電車(画像:写真AC)。
あす2022年9月23日(金祝)、西九州新幹線の武雄温泉〜長崎間がいよいよ開業を迎えます。
それにともない、博多と長崎をむすんでいる在来線特急「かもめ」は、きょう22日に最終運行を迎えます。博多発の長崎本線の特急は、肥前鹿島まで向かう新設の「かささぎ」のほか、佐世保線直通で武雄温泉駅へ行き新幹線に接続する「リレーかもめ」や現行の「みどり」「ハウステンボス」のみとなります。
長崎行き特急「かもめ」の誕生は1961(昭和36)年10月。京都と博多を結んでいた同名の昼行特急を長崎へ延伸したものです。京都駅を朝8時に出発、小倉で宮崎行きを切り離し、長崎駅に20時過ぎに到着していました。
ちなみに「かもめ」という列車名自体は、戦前からあります。東京〜神戸間の特急「鴎」が、1937年から終戦直前まで運行されていました。「さくら(櫻)」「つばめ(燕)」「ふじ(富士)」などともに、伝統ある名前の一つです。
長崎本線が電化してからは485系電車をはじめ、JR発足後は783系、787系、885系がその役に就きました。1967年10月時点で2時間40分だった博多〜長崎間は、現在は約2時間。そして新幹線開業により、「リレーかもめ」との連携で最速1時間20分となります。
長崎行き優等列車は「かもめ」のほか、寝台特急「あかつき」「さくら」「みずほ」、急行「出島」「べっぷ」「ちくご」「ながさき」「玄海」「西九州」「雲仙」などなど、時代とともに様々な列車が生まれては消えていきました。
ファンのひとりである30代男性は、「博多から刻々と変化する車窓を眺めて、『長崎までやって来た』という感慨に浸るのが楽しかった。1本の電車で行けなくなるのは寂しくなるが、長崎への距離感は縮まると思う」と話します。この人は、最終の21時37分発「かもめ48号」を見送ったあと、0時ちょうどに到着する最終「かもめ45号」を迎え、翌日の新幹線「かもめ」開業を祝い、初日列車を乗り継いで博多まで帰るそうです。