表面がさびて溶解していた誤飲の電池(写真は、投稿者の主婦提供)

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2歳の息子がボタン電池を誤飲して、救急車で運ばれ緊急入院したと、主婦がツイッターで体験談を投稿し、反響を呼んでいる。

日本でも過去には、幼児が死亡するケースも出ており、飲み込んだ場合は早い対処が求められている。

食道に穴はなかったものの、「腐食性食道炎」と診断される

「数分目を離した隙に」「本当にまさかの出来事でした」。この主婦は2022年8月28日、ツイッターの投稿でこう告白した。

主婦によると、電子機器のリチウム電池が切れたため、新しい電池に交換して、電池を入れたケースを棚の上に置いておいた。写真も載せており、平べったいコイン形のボタン電池だった。

ところが、主婦がトイレに入って、5分ほど目を離したすきに、息子がケースを探って中身を出していた。

電池が見つからないため、誤飲したのではないかと疑い、すぐに119番通報した。誤飲したとみられる時間から約20分後に救急車が到着し、息子はその約10分後に車内で激しく泣き出した。病院に着くと、レントゲン撮影が行われ、電池が食道に留まっていることが分かった。

誤飲推定時間から45分後、内視鏡手術が行われ、電池が摘出された。電池は、表面がさびて溶解しており、医師からは、時間が経っていれば、食道に穴が開いて重症になっていたと言われたという。幸い穴はなかったものの、電池のただれた成分が付着した「腐食性食道炎」と診断された。

息子は、病院で絶食を1週間続けた後で退院した。誤飲があったのは8月中旬で、30日現在、ほぼ全快して元気に過ごしているそうだ。

主婦が投稿した最初のツイートは、1万7000件以上リツイートされており、誤飲の恐ろしさが大きな話題になっている。

消費者庁「コイン形の電池は、食道に引っかかりやすい」

ボタン電池の誤飲事故は、幼い子供を中心に毎年のように起きている。

消費者庁によると、国民生活センターとの共同事業に参加する27医療機関では、2015〜19年に子供がこの事故で受診したケースは計124件あり、誤飲した疑いを含めると242件が報告されている。うち210件は軽症というが、32件で重症を含めた入院のケースだった。

死亡例も報告されており、04年には1歳3か月の男児が誤飲して1日後に電池を摘出したが、2週間後に合併症を引き起こして亡くなっている。

政府も、誤飲事故に注意を呼びかけており、政府広報オンラインの20年8月5日付記事「ボタン電池や医薬品、タバコなど子供の誤飲事故にご注意を!」では、誤飲事故のうち危険性が特に高いものがボタン電池だとした。

子供が誤飲した場合について、食道の内壁に張り付くと、電気分解でタンパク質を溶かす性質を持つアルカリ性の液体ができ、接触した粘膜に化学やけどを引き起こして、食道や胃の壁を短時間で傷つけると説明した。また、電池が胃に達すると、胃酸で腐食し、中身の電解液が漏れ出す恐れがあるとしている。

ボタン電池について、消費者庁の消費者安全課は8月30日、取材に対し、次のようなリスクを明かした。

「子供は、口の大きさから3センチ以下のものは誤飲する可能性があり、コイン形の電池ですと食道に引っかかることは十分に考えられます。化学やけどでもし穴が開いたとすると、時間が経つと重症化しますので、非常に危険ですね。胃に入れば、胃酸で電池が解けてアルカリ性の液体が漏れる可能性があります。誤飲したら早く対処しないと、食道や胃の壁を傷つけてしまいます」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)