混雑区間や交差点などを立体交差する陸橋やトンネル、クルマにとってはありがたいものです。しかし東京では、そうした立体交差部で「原付」が通れない区間が増えています。

長〜い橋やトンネルの立体交差、原付はダメ!

 東京の道路では「原付通行禁止」区間が多々あります。それらは大概が、比較的長い陸橋やトンネルです。混雑区間や交差点を回避する立体交差が多くできてきましたが、、原付はNG、というケースが増えています。今回は東京で、そうした区間を5つ紹介します。


国道246号、三軒茶屋のオーバーパス手前にある原付通行禁止の標識。246号も原付が通れない立体交差が多々ある(乗りものニュース編集部撮影)。

環八通り 井荻トンネルほか

 環八通りは2006(平成18)年、練馬区内と板橋区内の区間が開通して全通を果たしました。これら区間はトンネルや陸橋が多く、杉並区以南と比べても移動はかなり快適。しかしそのぶん、原付の通行には注意が必要な区間も多くなっています。

 西武新宿線などをくぐる井荻トンネル(約1.3km)、それに続く練馬トンネル(約1.8km)のほか、豊島園通り前後の練馬春日町トンネル(約1.1km)も原付通行禁止です。

 さらに北、川越街道(国道254号)をまたぐ練馬北町陸橋、これに続く北町若木トンネル(約0.6km)もダメ。とくに北町若木トンネルは、地上の側道が東武東上線で分断されているため、原付は大きく迂回をするか、エンジンを切り車体を押して線路をまたぐ歩道橋を歩く必要があります。

レインボーブリッジ、東京ゲートブリッジほか

 レインボーブリッジ、東京ゲートブリッジといった湾岸部の長大橋も、当然のように原付通行禁止です。お台場の南の埋立地である「中央防波堤」は、海底トンネル3本と東京ゲートブリッジでつながっていますが、いずれも原付は通行不可。ゆえに中央防波堤は原付で到達できないエリアです。

方面案内の標識通りに行けない!

 まだまだ要注意の原付通行禁止区間があります。

山手通り 渋目陸橋・菅刈陸橋

 山手通りは渋谷区と目黒区の境界付近に大きな高低差があります。山の上に位置する渋谷松濤付近から、目黒川沿いの低地である中目黒付近にかけて渋目陸橋、菅刈陸橋(北行きのみ)の2本が架かっていますが、いずれも原付は通行禁止。どちらも急勾配かつ急カーブなので、速度が出せない原付は危ないということでしょう。

 この区間は側道を使ってもよいですが、代官山方面に迂回する旧山手通りが比較的走りやすいです。

放射5号 下高井戸陸橋・上高井戸陸橋

 放射5号は甲州街道(国道20号)と、その北側に並行するバイパスである東八道路とをつなぐ区間で、首都高4号線と中央道の高架下に並行する形で2019年に開通しました。甲州街道の標識で「三鷹 荻窪」と書かれた矢印の先にある下高井戸陸橋から放射5号に入りますが、この陸橋は原付通行禁止。さらに、放射5号が環八通りをまたぐ上高井戸陸橋も、全線開通にともない原付通行禁止になりました。


甲州街道の下高井戸陸橋接続部。原付通行禁止(乗りものニュース編集部撮影)。

 原付は地上の側道を通行可能ではあるものの、右折レーンや左折レーンのほか、側道と立体部のアプローチなどで道路が複雑に切り回されており、初めて原付で通る人には分かりづらい走行環境かもしれません。

昭和通り 銀座のアンダーパス群

 銀座前後の昭和通りは、交差点ごとに細かくアンダーパスがありますが、それらはすべて、原付の通行が禁止されています。また、第一京浜(国道15号)の北行きから昭和通りに入る「新橋地下道」と呼ばれるアンダーパスは、原付はおろか全ての二輪車の通行が禁止されています。地下道内に急カーブがあることが理由だそうです。

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 このほかにも、陸橋やアンダーパスの原付通行禁止規制は、現地状況に応じて実施されており、通れる・通れないの基準をひとえにいう事が難しいのが現状。原付は標識をよく見て走行する必要があります。

 なお、ここでいう“原付”通行禁止は、道路交通法上の原付にあたる50cc未満の原付一種が対象で、50cc以上125cc未満の原付二種は道交法上「普通二輪」に当たるため、通行可能です。ただし、東京の例ではありませんが横浜ベイブリッジの一般部のように、125cc未満まで通行禁止に含めた規制を敷いている箇所もあります。