ロー対ウェイド裁判の判決が覆された6月、その衝撃波は実業界にも及び、広告やテクノロジー、メディアといった各業界の企業が公式声明を出し、この最高裁の決定に異議を唱えた。そして、中絶手術を受けられる地域への移動が必要な社員がいたら、それを支援すると申し出た。そんななか、一貫して沈黙を守っているセクターがある。eスポーツだ。この最高裁の決定に関して、何らかの公式声明を出しているeスポーツ組織はほとんどない。リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)のような超大型タイトルの開発元であるライアット・ゲームズ(Riot Games)でさえ、コメントを発することをためらっている。同社に関しては、中絶手術を支持する旨の社内メモを、広報責任者ではなく、キャラクタースキン担当プロデューサーが公開している。
Not sure why an employee had to go out of their way to post this rather than having Riot publicly post their stance on a very real issue many of their workers are facing today, but ok https://t.co/exQQkaWDvs
ほとんどのeスポーツ組織の主な収益源は、ブランドパートナーシップであり、ミスフィッツもその例外ではない。ゲームとは無関係のブランドの多くが中絶権を支持するコメントを出しているが、それでもスプーント氏の公式声明が反対意見を持つファンやスポンサーから怒りを買うおそれはあった。「彼らは好意的な反応を示してくれている。我々が提携を望んでいるパートナーの反応も、きっとそうなのではないだろうか」と、スプーント氏は語る。「この点ははっきりさせておきたい。この件に関して、私は他の人たちの意見も尊重している。彼らは間違っているとは思うが、彼らがそれなりの考えを持っているということには敬意を払っている。これはヘルスケアに関する決定なのだと、我々はシンプルに考えている。これが我々の中心的な考え方だ」スプーント氏の発言により、ミスフィッツの立場は、沈黙を貫くライバル組織に比べると、不安定なものになっている。しかしその一方で、そこから得られる潜在的利益もある。eスポーツは順応を上回るハイペースで拡大を続けてきた。そしてそのせいで、ブランドセーフティをめぐって消えることのない諸問題も生まれてきた。一皮剥くと、そこには過去のさまざまな害悪や問題発言が潜んでいる。自身を矢面に立たせることで、ミスフィッツはいま、自社ブランドを公平と社会正義に同調させつつある。eスポーツのブランドセーフティをめぐる評価を先取りする可能性があり、よりポジティブなビジョンをeスポーツコミュニティに示しているのだ。「eスポーツはブランド各社が参加するのに絶好の場所だ。そこで目にするのはコミュニティを代表する顔ぶれだからだ」と、ソーシャルメディアエージェンシーのザ・ソーシャル・エレメント(The Social Element)で戦略ディレクターを務めるマイケル・バッグス氏は語る。「彼らの多くが大規模なオーディエンスを抱えている。eスポーツの世界では、多様性をありのままに表現することが強く求められている」[原文:‘If someone wants to hate us for that, I’ll welcome it’: Misfits Gaming CEO Ben Spoont debriefs on esports industry’s muted Roe response]Alexander Lee(翻訳:ガリレオ、編集:分島翔平)