伊調馨選手パワハラ騒動の裏でうごめく輩たち - 渡邉裕二
※この記事は2018年03月08日にBLOGOSで公開されたものです
「今回だけは黙っておけ、関わるなって言われてるんですよ」。あるプロダクション関係者は、そう言って表情をこわばらせた。
女子レスリングで五輪4連覇し、国民栄誉賞まで受賞した伊調馨選手(33)へのパワハラのことである。発端は日本レスリング協会の強化本部長である栄和人氏(57)から「パワハラを受けた」として同協会の所管である内閣府に告発状が送られたことだ。しかし、その裏を探ると何とも胡散臭い話が出てくるのだ。
パワハラ問題の裏で暗躍する元格闘家A
「確かに、告発文には伊調は関わっていません。ただ、裏で告発を主導したのはAという男。それが一番大きな問題なのです。Aというのは、ハッキリ言ってタチの悪い人物で、実は逮捕歴も何度かあって、一部には現在も執行猶予中ではないかという情報も出ているほどです」。Aというのは元格闘家。レスリング経験もある40歳過ぎの人物だそうだ。しかも、驚くことに伊調とは従兄弟とも言われているが、業界内では、いわゆる〝トップ屋〟的な存在で知られている。
「様々なスキャンダルに関与しては、最終的にはトラブルを引き起こすんです。タチが悪いと言うのは、写真週刊誌や女性誌などにスキャンダルなどのネタを流して書かせることで、周囲を信用させ、最終的には、そのネタを使って恐喝じみた行動をとると言われています。芸能界では〝アイツに関わると危ない〟と言われているんですが、そんな厄介な男のネタに、何で文春が食いついてしまったのか…」。
証拠のためには盗聴や盗撮も
Aは、無類の〝録音魔〟とも言われている。録音だけではない。盗聴もするし盗撮もする。とにかく、あらゆる証拠を持つことでメディアを信用させるが、その一方で「ゆすりの材料にする」ともいうだけに、警視庁も動向をマークしているらしいが、その警視庁でさえ今回の伊調問題に限らず手玉に取られている。「彼は、とにかく録音して証拠を残す。常に2台のICレコーダを持ち、同時に録音しているんです。ですから1台が見つかっても何も気にしないんです。時には、わざわざICレコーダを目の前に置いて録音し、核心部になると『ここは録音は切ります』なんて言って相手を安心させて喋らせる。もちろん、その音声は、もう1台のICレコーダで録音して証拠にするんです」。
実際、Aに、このやり方をされ「脅迫容疑」で逮捕された芸能関係者もいる。曰く、
「録音ばかりか盗撮もするんですが、録ったものを自分に都合よく編集して証拠にしてしまうんです。しかも、その編集した録音や映像を警察や弁護士に持ち込んで、言い逃れの出来ない状態に追い込むのがAの手口なんです。結局は、面倒なので金で解決する方法を取るしかなくなるわけですが、それでも話し合いがこじれて警察沙汰になることだってあります。利益のためなら平気で人を裏切るし、嵌めることだってしますよ」。
今回の伊調問題もAならではのやり口だという。
「伊調というのは、気丈で一匹狼的なところがあって〝私は私。自分一人でも頑張る〟というタイプ。そういったことから伊調の家族はAに対して〝余計なことはしないで欲しい〟と念押ししていたと言われていますが、我慢出来なかったのでしょうね。Aのことなので間違いなく、日本レスリング協会のトップや栄氏とも会って話しているはずで、その時の会話は全て録音や映像に残している。状況的には協会や栄氏は何らかの弱みを握られ、伊調問題は完全にAの描いた絵図の中で動いていますね。それどころか、メディアもAの思惑通りの流れになっています」。
後先を考えないメディアによって、問題が思わぬ方向に発展してしてしまっていることは否めない。しかも、Aは、芸能界にも強力なネットワークを持っていると言われる。
「Aの姉が、銀座ではNO1と言われるぐらいのホステスだったんです。そういったこともあって芸能界との関係が広がった。そう言った意味でいうと、今回の問題は芸能界をも巻き込んだ大スキャンダルにも発展する可能性も秘めているんです」(芸能関係者)。
現時点では、これといって解決の糸口は見つかっていない。第三者による調査とか、内閣府も調査するとは言っているが、結局のところ、どこかで誰かが詰め腹を切らされるしかないともいう。それが日本レスリング協会なのか、あるいはスポーツ庁なのかは分からないが、まだまだ一転、二転しそうな気配もある。
「実は、伊調自身は五輪4連覇で納得していた部分はあったと思う。現役を続けるのは年齢的にも大変なことです。でも、今回のことで東京五輪で5連覇を…と言ったムードが高まってしまった。本人の気持ちより、国民の気持ちの方が先行してしまっている感じもします。テレビのコメンテーターなどは『選手ファーストで…』と言って盛り上げていますが、それが伊調にとっては大きなプレッシャーになっているかもしれないこともわかってやってほしいですね」(関係者)
結局、今回の問題では、どこの誰が責任を取ろうとも、最大の被害者は伊調馨選手であることだけは疑いもない事実だろう。