※この記事は2018年02月02日にBLOGOSで公開されたものです

2016年に改正された児童福祉法により、子どもは家庭で養育することが原則となった。また、この改正を受けて、2017年8月に厚生労働省が発表した「新しい社会的養育ビジョン」では、里親委託率について、数値目標が盛り込まれているという。この数値目標を達成するためには。約13,700人の子どもを新たに里親に委託する必要があると試算されている。

この「新しい社会的養育ビジョン」における数値目標を達成に向けて、日本財団は「『里親』意向に関する意識・実態調査」を実施。1月30日にその結果を公表した。

非常に低い里親制度に関する認知度

厚労省HPによると、里親制度は下記のように説明されている。

里親制度は、さまざまな事情により家庭での養育が困難又は受けられなくなった子どもたちを、温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境の下で養育する制度です。
今回の調査結果について報告を行った日本財団福祉特別事業チーム・チームリーダー高橋恵理子氏は、「諸外国に比べる日本の里親委託率が低い」「里親委託率については、都道府県間で非常にギャップがある(最大の新潟県44.7%に対し、最小の秋田が6.2%)」などと、日本における里親の現状を説明。

その上で、今後、「里親になってみたい」と考える世帯を増やすための手がかりとすべく本調査を実施したという。

調査結果によると、現状では里親制度に対する認知は低く、多くの人が「名前を聞いたことがある程度」と回答している。「里親には子どもの生活費として養育費が支給される」(1.9%)、「2カ月などの短期間でもできる」(2.6%)といった里親制度の詳細について知っている人の割合も非常に低いものだった。

一方、里親意向についての質問では、全国の20~60代の男女の6.3%が「里親になってみたい」「どちらかというと里親になってみたい」と回答しているという。里親になる意向があるものの、現状里親になっていない理由としては、「経済的負担が心配だから」「子どもの人生を左右するので責任が重いから」などの理由が挙げられている。

情報提供によって里親意向が高まる可能性も

里親制度への興味を高める具体的な情報としては、「里親を必要としている子どもが3万人いる」「諸外国に比べると里親不足が深刻」「経済的に裕福でなくても里親になれる」といったものが挙げられている。

さらに今回の調査では、制度に関する情報提供を行うことで里親への意向を持つ世帯が、現在の6.3%から推計で12.1%に倍増する可能性があることも指摘された。

この結果について、自身も24年間の里親経験を持つ千葉県里親家庭支援センターの木ノ内博道理事長は「希望が持てる。やりようによっては、里親を増やすことができるのではと感じた。そもそも『社会的養育ビジョン』に掲げられた数字は高すぎるのではないかと感じていたが、こうしたデータが提示されたことは心強い」とコメント。

一方で、「ただ、増やすだけでは問題がある。里親に子どもを丸投げするような形にならないよう支援についても考えておきたい。特に虐待、障害などの問題を抱えた子ども達を里親として受け入れた場合の支援を考えて欲しい」とも指摘した。

また、報告を行った日本財団の高橋氏は、里親のリクルートに国が予算を割いていない現状を指摘した上で、「もう少し予算を割いてもいいのではないか」とコメントした。