※この記事は2017年11月16日にBLOGOSで公開されたものです

アイドルグループ「でんぱ組.inc」からの脱退を8月に発表し、一時的に活動を休止していた最上もが。11月16日にLINE公式アカウントおよびLINE BLOGを開設し、新たなスタートを切ることとなった。活動休止中に何があったのか、そしてでんぱ組脱退の真相とは。プロインタビュアーの吉田豪がその内面に迫る。【取材執筆:吉田豪 撮影:駒井夕香】

――かなり久しぶりですよね。

今日は何を聞かれるのかビクビクしています。(笑)。ちゃんと話したのって前のインタビュー以来ですか?

――『W.W.D.』発売のタイミング(2013年1月)で全員のインタビューをやったのが最後で、それも5年近く前なんですよ。その後はイベントで軽く挨拶するぐらいで。

ホントにチョロッとですよね。

――それからいろんなことがあったとは思いますけど、いまは話せないことが多いんですか?

ぼくは全然話してもいいんですけど……。

――脱退の理由を聞いてもいいですか?

大丈夫ですよ。理由は体調不良です。

――体調不良なのはちゃんと伝わってますよ。もともと体調は悪い人ですもんね。

そうですね、ずっと悪くて。でも、個人的には抜けたくなかったですけどね、でんぱ自体は……。いまでも写真を見るたびに切なくなって、たまに泣きます。

――なんで私がここにいないんだろう、みたいな?

6人でやっていきたかったな、という気持ちが。ライブもずっとやりたいと思ってたので、「はぁーっ、戻れないなーっ……」みたいな。

――体調不良でライブとかも休まざるを得なくなっちゃったわけですよね。

そうですね、何度か休んでしまって。でも、精神的なものも大きかったので。体調って精神と直結するじゃないですか。精神が落ちてしまうと体調もホントに悪くなっちゃうので、そのコントロールが非常に難しかったのと、精神的なものって周りに理解されにくいので甘えだと思われちゃいますし、これ以上そこで迷惑かけるわけにはいかないなっていう決断でした。

コメントへの返信に心が折れた

――精神面での危うさも伝わりやすいタイプじゃないですか。

そうですね。ぼくけっこうダダ漏れですね。

――そこがいいとはずっと思ってます。

……いいんですかね?

――あまり更新しないですけどブログはすごい読み応えあるじゃないですか。すごくいいブログを書くタイプだと思っていて。

つい長いブログを書いちゃって。

――コメントへの返信もちゃんとしてるし。

ツイッターとかインスタで返信しちゃいけないってルールがあったんですが、ブログだったらいいってこともあって、ファンの人のコメントに対して普段思ってることをぶちまけるじゃないですけど、そういうブログにしたいなと思ってやってきて。

――誤解があったらちゃんと説明するし。

ホントに誤解されるんですよね……。文字だけっていうのは非常に難しいので。でも、本当はどこかで割り切らないといけなかったと思うんですよ。ほかのメンバーは割り切れるタイプが多くて、「そんなの気にしないほうがいいよ」と言ってる子が多かったんですけど、ぼくはけっこう気にしちゃってましたね。ファンをファンとして見てるわけじゃなくてひとりの人間として見てるから、勘違いして嫌な気持ちになるよりは誤解をすべて解きたいと思っちゃって。それがひとりふたりならまだしも、規模が大きくなるとたくさんの人に対応しなきゃいけないので、みんなが思ってることを総合してこうだろうなっていう返信を書いたりはしてたんですけど……。

――たいへんそうだと思って見てましたよ。

ホントはツイッターで返信できればよかったんですけど、禁止されていたのでたとえを書いてごまかしたりはしてたんですけど、「おまえに言ってんだよ!」みたいなことがあって。だから本当は直接会って1対1で話せたらいいんですけど、そういうわけにはいかないので途中からちょっと心が折れましたね。

器用に生きたいと思っていたけれど

――不器用な人だとは思ってましたけど、不器用なままちゃんと向き合い続けて心が折れた、と。

器用に生きたいと思ってたんですけど、なんかダメでしたね。それは今年一番実感しました。でんぱに加入した当初はがむしゃらにやっていて、世間のことも何ひとつ知らないし業界のことも何も知らないし、とりあえず言われた仕事を精一杯こなすっていうことしか考えてなかったので。途中から欲がどんどん出てきて、どうやったらがむしゃらにやるだけじゃなくて高みに上れるのかを考えながらやっていて、そうするとこだわりも出てくる。でも最近、初心に帰りたいと思ってて。ピュアな気持ちを取り戻したい(笑)。

――もうなくなっちゃったんですか?

なくなりましたね~。昔だったら素直に受け止めて素直に返してたと思うんですけど、いまは裏があるんだなってすぐ思っちゃうから、すごい切ない気持ちになるというか。

――何があったんだろうなー(笑)。

フフフフ(笑)。

――ちなみにボクは、こっちがフレンドリーに接してるぶんには向こうは嫌わないだろうなっていう考えで生きてたりします。

ああ、それができてればよかったんですけど、もともとフレンドリーなタイプじゃないので(笑)。

でんぱ組は「設定」なんかじゃない

――しょうがないですよね、でんぱ組っていうのは引きこもりが初めて社会に参加したみたいなグループだったわけで。

それを理解してもらってないというか、「設定だ」って言う人たちがすごい多かったので。

――ギミックだと思ってる人たちがいたんですか!

ファンっていうか好きになってくれた人が、「いやもっと明るくしたほうがいいよ」とか「コミュニケーションちゃんと取ろうよ」とか言ってくるんですけど……。

――「頑張ってなんとかここまで来てんだよ!」って話なのに。

そう!いや、実はこれ超頑張ってここまで来てるの!と思って。しかも、それができるならやってるけど、長年できなくてこじれてここまで来てるから、これでもかなり変わったんだけどなっていうのがわかってもらえないのはダメージがありましたね。ブログもツイッターもインスタもけっこうネガティブなこと書いちゃうんですけど、「ネガティブになるのよくないよ」とか言われても、正直言ってでんぱ組を作ったのってネガティブ要素がデカいと思うんですよ。

――完全にそれから始まっているグループですよ。

だから、それを否定するっていうことはでんぱ組自体を否定してるし、ほかのメンバーのことも否定してるのと同じだから、ぼくだけを叩いてるつもりかもしれないけど全体を叩いてるんだよって思っちゃうんですよね。名前だけ知られると中身を知らない人たちがどんどん増えるんだなって思いました。

――でんぱ組は、そういうところが設定とかじゃなくてガチなところがおもしろかったわけじゃないですか。

そうなんですよね。最初からみんなオタクの部分とかネガティブな部分を出そうと思ってたわけじゃないんですけど、売り方的に『W.W.D』って曲が出たこともあり、ぼくはもともとブログとかでけっこうそれを出してたので、そこから『W.W.D』ができてるのでぼくはあんまり変わってないんですけど、ほかの子たちはわりと、「あ、隠さなくていいんだ」ってなってさらけ出すようにはなって。

――最上さん加入によってグループが変わったのは間違いないです。

ダークサイドに落とした気持ちですね(笑)。色をつけてしまった感じはありますけど……。

――そういう責任は感じてるんですか。

責任は感じてますね、だいぶ。もっといい感じにできなかったのかなとか。ある意味ではぼくが抜けたことによってもっと高みに行けるんじゃないかなとは思ったんですよね。でんぱはけっこう停滞期みたいな感じだったので。

でんぱがもっと売れてほしいといまだに思ってます

――武道館公演とか、やることやっちゃって次どうしようって感じは出てましたよね。

そうですね。やっぱり1回大きいステージをやっちゃったり、フェスとかでも一番大きいステージに立たせていただいたり、『Mステ』とか出させていただいたことによって少しずつ自分たちのなかでの目標を達成しちゃうとどうしても、じゃあ今後どうするのかっていうのが出てきちゃってたシーズンでもあったので。みんなもなんのためにやればいいのか、10代なわけでもないし、そうなると大人として女として今後幸せに生きるためには何が正解なのかってたぶん考え始めて。ぼくは、それをある意味では考えたくなかったから高みに行くことしか目指してなかったんですけど。逆にぼくが抜けたことによって変化が生まれるのはチャンスでもあると思ったので。さらに上を目指して頑張ってほしいっていう気持ちがありましたね。

――このへんの話、相当デリケートだろうからネガティブな話が出てくる覚悟で聞いてたら、ちゃんといい話じゃないですか(笑)。

これはメンバーにも言ってないですね。メンバーには、もう迷惑をかけられないから一緒にやりたいけどちょっと難しいっていうのを伝えて。まあ、誰からも返信は来てないんでみんながどう思ってるのかはぜんぜんわからないんですけど(笑)。個人的にはでんぱがもっと売れてほしいといまだに思ってますし。でも、情報とか見ちゃうと自分がいないことにショックを受けるんで、あんまり見てないです。ファンの子も気軽にでんぱのときの写真を送ってきたりするんですけど、そのたびに泣いちゃうというか(苦笑)。(涙ぐみながら)自分って面倒くさいなと思いながら見てるんですけど。いまだにライブとかはしたいけど、それが叶わないっていう……ちょっと悔しいのはありますね。

――ホントにこの辺りの話はデリケートですね。

そうですね(笑)。

オンラインゲームに救われた

――オンラインゲームぐらいでしか人とは関わらなかったような人ですからね。

だから、いまオンラインゲームばっかりやってますね。

――ダハハハハ! 原点に戻った(笑)。

戻っちゃったんですよ! でも正直、ゲームをやったことによってぼくは仕事に復帰しました。脱退したときとかホントに体調が悪くて、けっこう寝たきりの状態で。でも、何もすることがないとすっごい考えちゃって。寝ようと思って目をつぶるとフラッシュバックみたいにずっと目の前が明るくて、いろんな映像がパッパパッパ出てきて、パニックになっちゃって目を開けるっていうのがずっと続いてて。

――「悪夢ばっかり見る」みたいなことも書いてましたね。

それはいまでもなんですけど、そのときは目をつぶるのが怖かったんですよ。どうにか気分転換をしないとヤバいってなったときに妹がゲーム実況の動画を見せてくれたんです。「おもしろいから見てよ」って。それを見てたらちょっと気持ちが楽になって。 ――ゲーム実況動画にまず救われて。

ゲーム実況を見てると自分でやりたくなるじゃないですか。ぼく、いままでの人生のなかでネトゲをやってた頃ってすごい楽しかったので、とりあえず自分が楽しいと感じることをやってみようと思ったんですよ。ほかのことはあんまり興味がなかったので。で、昔ずっとやってて引退してたネットゲームを始めて、べつに自分が最上もがと言うわけでもなくてひとりのネットユーザーとしていろんな人と会話していくうちにちょっとずつ気持ちが楽になって。

――現実世界での会話が嫌になっていた人が、オンラインゲーム上で会話することによって。

ぼく、ホントはでんぱやめたあとは半年ぐらい休もうかなと思ってたんですよ。ぜんぜん寝られないし前向きになれないし、どうしようってなって。かといって自分ひとりがいきなり長期休むことになってお金がなくなったらどうしようとか、まあそんなことも考えられなかったんですけど。これでまた周りの人に迷惑かけるの嫌だなっていうのもストレスになってて、働かなきゃいけないって気持ちもどんどん芽生えてきて。それは焦りでもあるんですけど。でも、ゲームをやったことによってそのことをちゃんと考えるようになって、新しくなったマネージャーさんに「仕事に復帰します」って言って。「とりあえず最初は考えることを放棄します。もし使っていただけるのであれば仕事ははなるべくやるようにするので」って言って始めて、ちょっと経っていまって感じです。

――ゲームがリハビリになったんですね。

ホントにそうですね。いまも毎日ゲームやってるんですけど、それをやることによってもうちょっと頑張ろうって気持ちになってます。オンラインゲームってこれだなっていうのに久しぶりにめぐり会えたときに、ちょっと生きる希望が出てきて。でも、それも知らない人からしれみれば、「休んでるあいだにゲームやってんのかよ、甘えじゃないか!」みたいな……。

――事情を知らない人には、そう思われる可能性もある。

絶対そう思われます。でもそれをやってなかったら、たぶんぼくは復帰してないですし(笑)。どうしたらいいのかっていう時期でしたね。

――「ゲームに救われた」っていうのは、いい話ですよ。

ホントに救われました。

――超でんぱ組な話じゃないですか!

たしかに(笑)。ずっとアニメを観たりもしてましたけど、アニメでハッピーエンドとか見ちゃうと、「はぁ……どうせそうっすよね」みたいな。

――ダハハハハ! 「アニメですからね」と(笑)。

「現実は違うんだぞ」みたいな気持ちになって、やさぐれちゃうんですよ。だから、なるべく異世界ものを観てました。すごく消えたい気持ちが強かったし、異世界アニメって現実で死んで異世界に行くみたいな話が多かったので、そこに希望を持ってしまって。ぼくもそうなれるかもってずっと考えてる時期があって。まあ、試してないですけど。

「消えたい」という自分と毎日闘っている

――インスタで「消えたい」って書いてましたよね。

いまも消えたいですけど(あっさりと)。

――いまも!

いまも。なるべく考えないようにしてます。落ちるときは落ちるんですけど、なんのためにいま息をしてるんだろう、みたいな(笑)。

――そこまでいっちゃうんですか!

これはマズいなと思いつつ、解決策がわからないっていうのがずっと続いてて。でも、今回の公式LINEアカウントの開設とかも再スタートじゃないですけど、1回区切ってまた頑張れたらなっていう気持ちはありますね。

――ようやく前向きな感じが多少は出てきた。

自分がふたりいるんですよ。前向きになんとか頑張ろうっていう自分と、もう消えたいっていう自分と両方いて、それが毎日闘ってるので。でも、仕事に関してはもう進めたものから逃げることはやめようと思ったので、逆に追い詰めてるっていうか。仕事を受けることによって、この仕事は絶対ちゃんとやる、だから生きようっていう気持ちでやってます。

でんぱ組生みの親が絶賛する「最上もが」

――ちなみに、ちょっと前にある仕事の打ち上げでもふくちゃん(でんぱ組の生みの親)と飲んだんですけど、もふくちゃんはいろんなアイドルの仕事で疲れきりながらも、「やっぱり、最上ぐらいが一番いい!」みたいな感じですごい絶賛してましたよ。

どういう意味だろ?

――「最上はやりやすい!」って。「彼女はシド・ヴィシャスだ」とも言ってましたけど。

大人だからかも・・・?。もふくちゃんがいま担当してる子って10代の子が多くて、そういう子たちの扱いがわかんないみたいで。その子たちの仕事をやったあとででんぱに来ると、「でんぱって大人なんだな、だからこそ楽だわ」とか言ってて。脱退を決めたときにもふくちゃんに報告したら、「そっか、寂しいな」みたいな感じだったんですけど、もふくちゃんにはめちゃくちゃ感謝してますし、人としてもすごい好きなので。

――最初にフックアップしてくれた人ですもんね。

そもそもでんぱってもふくちゃんがいないとできてなかったものだし、もふくちゃんってすごい魅力的な人だと思うんですよね。人を惹きつける何かを持ってる。そのもふくちゃんにぼくはなぜか絶賛されて、何がいいんだろうって思ったりもするんですけど。もふくちゃんからしてみたら、ものごとをハッキリ言ってくれるタイプは楽なのかなって思ったりしますね。あと最初は全部初めてで怖かったので、全部メモ取って絶対遅刻しないように30分前に行ったりしてて。だから、もふくちゃんに怒られることってほとんどなくて。ルールって守る人と破る人が絶対いるじゃないですか。ぼく最初は守るタイプなんで。

――最初だけなんですか(笑)。

最初ってルールだから守ろうってなるじゃないですか。途中からそのルールを守ることがホントにいいことなのかって考え出して。だから最初はちゃんと守ろうと思って途中から疑問になるんですよね、理不尽なルールだったら。そういうときは話し合ったりしてましたけど。そういう純粋な気持ちがちょっといまないんで。

――ダハハハハ! それもなくなった(笑)。

頑張るっていう気持ちが前より削れてる。頑張ろうとは思うんですけど、なんていうんだろ? そこに楽しみを見出せないというか。前は達成感とか、これをやることによって誰が喜んでくれるか考えながらやってたけど、いまは自分のことで精いっぱいすぎて、バラエティに出るときは変な言葉だけ拾われてニュースになりませんように、みたいな。もうなってますけど(笑)。

――思いっきりなりましたよ(笑)。「まともな恋愛をしたことがない」発言もニュースになってましたけど。

ホントにまともな恋愛したことないんですよ。(唇をいじりながら)すぐ唇が荒れて皮がむけて、もう枯れ果ててます。でも、恋愛は楽しいと思うんで、恋愛できる人はふつうにしたほうがいいと思います。

――「みなさんは楽しくやってください」と。

ぼくはもう傷つくのはいいです。

アプリごと消したSNS

――聞けば聞くほどいま活動してることが奇跡というか、よく戻ってきましたねって感じになってきますよ。

超ギリギリだったんで。途中までけっこう決断してたんですよ、もうしばらくはやらないって。やりたいって気持ちもなくなっちゃったというか、生きる希望がホントになかったので。だから働くって言われても、お金を稼いで生きていく、食べていくことになんの意味があるんだろうって思っちゃって。それって人に話したところで理解されないし、ネットに書いたら炎上するし。SNSもアプリごと消してたんですよ、アカウントは消えないんで。見たら絶対に落ち込むから、「脱退します」ってつぶやいたあとは消して。

――だからツイッターも2ヶ月ぐらいつぶやいてなかった。

つぶやいてなかったです。賛否両論は絶対あるだろうけど、叩かれたりいろんな憶測が飛んでるの見たら絶対にまた病んじゃうと思って1回離れて。

――たぶん休んでたのも、ここまでの状況だったとは思われてないでしょうからね。

ホントに2週間ぐらいは寝たきりみたいな感じで。衰えていく自分を見るのもヘコむし、なんとか体力つけなきゃとか、あとは仕事っていうものからいったん離れたかったんですけど連絡が来るから、それを見るたびにすごい落ち込むし、この人たちは僕に何をさせたいんだろう、こんな使えない人間に何を求めているんだろうってすごいなって。でも、結局それでまた誰かに迷惑かけるんだったら働かなきゃってなって。

――ここからは心機一転。

そうですね、いまはマネージャーさんも替わりまして。

――前向きな感じの「さあリスタートだ!」って記事かと思ったら、すごいたいへんな話をみんな読むことになったと思うんですけど。

そうなんですよね、ブログにも書けなかったんで。

――これ、ちょうどいい場じゃないですか。説明する場としてはベストだと思いまよ。

初めてちゃんと話しました。

「女優やりたいからやめる」なんて言ってない

――もっとややこしい部分が出てくるかと思ったら、そうでもなくて安心しました。

脱退したとき、ぼくのブログでは「体調が」ってふつうに書いてたんですけど、どっかのニュースに「女優になるためにやめた」って書かれちゃって。だから一部の人には、「なんだ、こいつひとりでやりたかったんじゃん、女優になりたいからやめたんだ」って広まってしまったんですよね。それがすごいショックで。ぼくとしてはまったくそんな気持ちはなかったのに。「女優になりたいからでんぱ組やめました」なんて簡単な理由じゃなかったから。でも、そういうニュースが出ちゃうとふつうの人はそう思うじゃないですか。そのときはまあいいやって思ったんですけど。

――女優業が増えていったのも、そこにやりがいを感じたのも、また別の話ですもんね。

そう、別の話なんですよ。うまいヘタとかはあれですけど、仕事としてでんぱ組に入ってたときもにいろんなことしたので。バラエティに出たりモデルもやりましたし、お芝居もやらせていただいて、自分のなかで一番やりがいがあったのが女優業っていうか、芝居の現場が好きだったんですよね。だから、ちょくちょくそういう仕事もやってみたいって言ってたんですけど。でも、ぼく女優やりたいからやめるって言ってないのになーと思って。で、結局復帰して最初らへんに来た仕事が芝居だったので、みんな納得したのかもしれないですけど、それもたまたまだったので。

――単純に、誰かから必要とされることにやりがいを感じるぐらいのことだと思うんですよ。

そうですね、ありがたいなって思いました。自分のなかではでんぱ組をやめたぐらいのときって、ぼくはまったく必要とされてないんだって思ってましたし、ぼくたぶんどこに行っても嫌われるから、好んでぼくを使いたい人はいないだろうな、みたいなとこまで落ちてたんですね。だから、ふつうにオーディションとかじゃなくてオファーをいただけたのはありがたいので。

――自分が必要とされていたんだ、と。

じつはその仕事もギリギリまで悩んでて。復帰して一発目が香港で10日間ぐらい行かなきゃいけないっていうのもあり、すごい不安で。しかもギリギリまで台本こなくてセリフも覚えられるかな、みたいな。この状況で脳みそがちゃんと活動してくれるのかなって切羽詰まってて、キャラクターもまったくつかめず監督と話す時間もなく、みたいな感じだったので。実際やれるかわからない不安もあったのでギリギリまで決断できず、説得され、「じ……じゃあやります」みたいな感じでやったので。正直、今後も女優業やりますって感じではなく、必要としてもらえるなら頑張ってやりたいし。

――それぐらいの感じなんですね。

お芝居をやってるときってホントに緊張してて、ある意味では余計なこと考えないからいいなと思ったんですよね。なのでヘタとかめちゃくちゃ言われますけど、演技自体は自分がやってみておもしろいと思ったので、できることはやろうって。これで仕事が来なくなったらやめる。

――求められてるうちはやりますっていう。

そんな感じですね。たぶん自分の存在理由って、みんなべつにないと思うんですよ、自分のなかで見つけるだけで。仕事がなくなっちゃったら業界をやめてふつうの仕事に就くってことはぼくのなかではありえないので、どうなんだろうって思ってます。自分が自分をどうするのかがわからなくて怖いっていうか。1回考えてたのは、海外に行って自分を知ってる人が誰もいないところで野放しにしようってちょっと思ってましたけど。

――そしたら、まあ精神的には安定するでしょうけど。

すべてを忘れたい、みたいな。

――別の人として生きるというか。

そう、別の人間として生きようっていうのはありましたね。でも、いまは関わってる人がいるかぎりはなるべく頑張って仕事していきたいと思ってます。

――とりあえずハッキリ言えることは、間違いなく必要とされてる人だと思います。そこは大丈夫ですよ!

ハハハハハ、ホントにわかんない、すぐ嫌われるんですよー(笑)。最近、自分がこじれてるのすごいわかるんで、人と関わらないほうがいいっていまもふつうに思ってて。

――世の中そんなに敵ばっかりじゃないですよ。

いや、ホント敵ばっかりですから。ニコニコしてるかと思いきや、裏でコソコソ言われてたりするのを聞いちゃうとショボーンってなりますから。まあ、頑張ります。

――あまり頑張りすぎないように。

はい、なんとか生きていこうと思います。

――リハビリを頑張ってください。

でんぱに入ったのもリハビリだったのに、まだリハビリを続けているという……長いですね。

――終わらないリハビリを(笑)。

なかなか人間そんなにすぐ変われないんでね。

――しょうがないです!


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