<新生!KADOKAWA・DWANGOに行ってみた>伝統を重んじながらも肌で感じる正義感とスピード感 - 吉川圭三
※この記事は2014年10月05日にBLOGOSで公開されたものです
10月の或る日、メディアゴン編集部の主筆・高橋と、チーフエディターの藤本は連れ立ってニコニコ動画、ニコニコ生放送などでおなじみのドワンゴ社を尋ねた。目的はメディアゴンとドワンゴがコラボして何か面白いことが出来ないか、という相談のためである。
ドワンゴは、日本の伝統文化の聖地とも言える歌舞伎座タワーにある。東銀座の駅から直結である。この日はKADOKAWAと経営統合したばかりとあって、社内は浮き立つ感じ。ドワンゴはこれで4000人規模の会社、KADOKAWA・DWANGOになった、在京の民放キー局が1200~1300人規模だから、その3倍である。
面白いことに、セキュリティは非常にソフトである。IT企業のセキュリティは、大変厳重で、スマホ向け放送局「nottv」を尋ねた時は、アポイントを取って、入稿番号をもらい、ビルの一階でこれを入力、更に当該の階で入構証を発行してもらったと記憶する。
ドワンゴの場合は人間が対応する。直接当該の階に上がると受付に優しそうで安心感のある女性が2人。アポイントを取っていたので、名前だけの確認ですぐ会議室に通してもらう。
テレビ局のセキュリティもこれと似ているが、違うのは受付の女性に若くて美人を揃えていること。一番美人なのはフジテレビで、まあ、そんなことはどうでもいいが、テレビ局はもっとセキュリティが厳重であってしかるべきだと私は思う。音楽プロデューサーの宇佐美友章(うさみ・ともゆき)氏、2ちゃんのひろゆき氏とすれ違う。
メディアゴン「ところで、ドワンゴで何をやってるんですか」
会議室に現れたのは、当メディアゴンの執筆者の一人で、日本テレビ在籍のまま、ドワンゴ会長室直属のエグゼクティブプロデュサーとして勤務する吉川圭三さん。日本テレビでは『世界まる見え!テレビ特捜部』『恋のから騒ぎ』『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』『特命リサーチ200X』などを手がけたヒットメーカーである。
吉川「報道とドキュメンタリーですね、時間に制約がない番組というのは初体験で、これがなかなか刺激的です」
早速なんですが、と藤本が温めていた企画の内容説明に熱弁を振るう。
吉川「分かりました、すぐ検討します、ペラ一枚にまとめて下さい」
テレビ局に出すような厚いごてごてした内容をある事ない事盛った企画書は必要ないということだ。やるかやらないかはすぐ結論が出るだろう。スピードがテレビとは違う。企画の話はそれで終わり。
ドワンゴは川上量生会長が、着メロでヒットを飛ばし、それを原資に大きくした会社である。ニコニコ動画の運営会社として有名だ。この、ニコ動は選挙の時に時間無制限で党首討論をやったりしたこが話題になった。「編集されない」ということは政治家側にとって魅力である。
吉川「僕はまだ、ドワンゴに来て1ヶ月ですが、感じたのは、川上(会長)は、伝統を大事にする人のようだってことです。前の本社は明治座のビルにあったし、今は、歌舞伎座。ドワンゴ歌舞伎なんてのもある、渋谷のビット・バレーには関心がない」
なるほど、川上さんは優れた人によくあるタイプの逆張りの人かもしれない。
吉川「それから、川上さんは、世の中の役に立つことをやろうとしているように感じます。それも、正面切っては恥ずかしいから、搦め手から、シャレっぽくね」
ああ、それなら、嗜好とピッタリだと、高橋は思って、このドワンゴ当然もうみんなが注目しているけれど、高橋も遅ればせながら、注目することに決めた、と帰りがけに藤本に話すと、藤本は「当然です」というような顔をした。藤本は高橋より20歳以上若い。