※この記事は2014年09月03日にBLOGOSで公開されたものです

第二次安倍改造内閣の発足にあたり、安倍総理が会見を行った。冒頭発言は以下のとおり。
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冒頭発言

この夏の平成26年8月豪雨では、広島での大規模な土砂災害をはじめ、全国各地で甚大な被害が発生いたしました。まず、冒頭改めて亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈りし、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

引き続き、行方不明者の発見に全力を尽くすとともに、避難生活が長期化しており、1日も早い、復旧、生活再建のために全力を挙げてまいります。今回の災害を教訓に、さらなる防災対策の強化を進めていかなければなりません。太田大臣には引き続き、その任にあって、土砂災害防止法の早期改正に取り組んでいただきたいと考えております。

さて、先の総選挙で政権交代が実現し、突破内閣を発足してから600日余り。一人の閣僚も変わることなく安定的に政策を進めることができました。そして今、有効求人倍率はバブル崩壊以来、22年ぶりの高い水準となっています。また、今年の春、多くの企業で給料アップが実現し、連合の調査によれば、賃金の伸び率は過去15年間で最高となりました。内閣一丸となって、三本の矢を射こんでいった結果、雇用の改善、賃金の上昇という形で景気の好循環が生まれ始めています。

「この道しかない」。私は、そう確信しています。他方、景気回復の風は、いまだ日本の隅々にまで、行き渡っているとは言えません。消費税率の引き上げ、燃料価格の高騰、この夏の天候不順などの影響にも十分目配りしていかなければなりません。

景気回復の実感を全国津々浦々に


引き続き、経済最優先で、デフレからの脱却をめざし、成長戦略の実行に全力を尽くしてまいります。景気回復軌道をより確かなものとし、その実感を必ずや全国津々浦々にまでお届けする。これこそが次なる安倍内閣の使命であります。

これまでも東日本大震災からの復興、教育の再生、社会保障制度の改革など、各般の課題に全力で取り組んでまいりました。私たちの改革は、まだ道半ばであります。新たな課題に挑戦することも必要です。こうした諸政策を心機一転、さらに大胆に、かつ力強く実行するため、本日内閣改造を行いました。

改造内閣の最大の課題の一つが、「元気で、豊かな地方の創生」であります。人口減少や超高齢化といった地方が直面する構造的な課題に、真正面から取り組み、若者が将来に夢や希望を持つことができる、魅力あふれる地方を作り上げてまいります。

今回、地域活性化のほか、地方分権、道州制改革など、ありとあらゆる地方政策にかかる権限を集中して、新たに地方創生担当大臣を創設いたしました。政府全体にあたって、大胆な政策を立案、実行する地方創生の司令塔であります。そのため、農政のプロとして地方の実態に通じ、何よりも経験豊富で実行力の高い石破さんに担当大臣をお願いいたしました。石破さんには、これまでも幹事長として、安倍政権の屋台骨になって支えていただきましたが、今後は政権の看板政策である地方創生の実現に向けて閣内で存分に力を発揮してもらいたいと考えております。

女性が輝く社会の実現も安倍内閣の大きなチャレンジであります。「まず隗より始めよ」。今回は、5人の女性に入閣していただきました。党四役の一人、政調会長も女性の稲田さんにお願いをしました。いずれも重要政策を担うポストであります。人数ありき、ではありませんが、適材適所。いずれの大臣も十分そのポストにつく能力のあるメンバーであると確信しています。

総務大臣、経済産業大臣、防災担当大臣については初の女性閣僚。是非とも、女性ならではの目線で新風を巻き起こしてもらいたいと思います。今回、女性活躍担当大臣を新たに設けました。有村大臣にはさらに男女共同参画や少子化対策など関係する担当大臣を兼務してもらいます。すべての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、活躍できる社会を作るため、総合的かつ大胆な政策を進めてもらいたいと期待しています。

沖縄には“目に見える”負担軽減を


さて、今週末はバングラディッシュとスリランカを訪問する予定です。この600日余りで49か国を駆け巡ることとなります。引き続き、岸田大臣と共に地球儀を俯瞰する外交を積極的に展開してまいります。国家安全保障戦略のもと、「積極的平和主義」の旗を掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献していく考えです。

その上で、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜いていくという決意の元、先般決定した基本方針に基づき、切れ目のない安全保障法制の整備も加速してまいります。今回、安全保障法制担当大臣を新たに設けることといたしました。

いわゆるグレーゾーンにかかるものから、集団的自衛権にかかるもの。さらには、国連のPKO活動に関するものまで、非常に幅広い内容について、国民の皆様に丁寧に説明し、ご理解いただかなければなりません。何よりも国民の理解が第一との認識の元、江渡大臣には、長年安全保障政策に関わってきた知識と経験を生かしていただきたいと考えています。

在日米軍再編では、抑止力を維持しつつ、基地負担の軽減に向けて、全力で取り組んでまいります。特に学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある沖縄普天間飛行場の固定化は絶対にあってはなりません。先月、KC130空中給油機、15機全機について、山口県岩国基地への移駐が完了しました。沖縄の負担を分かち合う決断をしてくださった岩国市民をはじめ、関係者の皆様に心から敬意を表する次第であります。

今後も、沖縄県外における努力を十二分に行い、目に見える負担軽減を行ってまいります。そのために新たに沖縄基地負担軽減担当大臣を設けることとしました。菅官房長官には、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、これまで以上に、全力であたってもらいたいと考えています。

以上の政策を力強く進めていくためには、政府与党がさらに緊密に、真に一体となって取り組んでいかなければなりません。そのため、自民党の要である幹事長は谷垣さんにお願いをいたしました。総裁経験者にお願いすることは異例のことでありますが、厳しい野党時代の自民党をまとめ上げ、政権交代に道筋をつけた手腕に期待しております。

また、総務会長は二階さんにお願いをしました。さらに麻生大臣や甘利大臣など6人の閣僚には引き続き閣内で頑張っていただきます。いずれも要職を歴任してきた百戦錬磨のベテランばかりです。

他方、8人の方々が今回初入閣となります。私自身、森内閣、小泉内閣のもとで官房副長官、幹事長、官房長官としてチャンスを与えてもらいました。将来の日本を支えある人材にも、責任ある要職を経験してもらい、高い能力を発揮してもらうことも重要です。

老壮青のバランスの中で、初入閣の皆さんには思う存分、働いてもらいたいと考えています。安倍内閣は新たな陣容の元、フレッシュな気持ちでさらにパワーアップしながら、内外の政策課題に全力で取り組んでまいります。日本の将来はしっかりと見据えながら、ひたすらに有言実行。政策実現にまい進してまいります。まさに、「実行、実現内閣」として、引き続き国民の負託にこたえていく覚悟であります。

国民の皆様のご理解と、ご協力を改めてお願いする次第でございます。ありがとうございます。私からは以上です。

消費増税は、経済状況を総合的に勘案したうえで、年内に判断


―石破氏を地方創生担当相に、谷垣さんを幹事長に起用した理由は?また、石破さんには具体的に何を期待するか?

今回の改造内閣の大きな政策課題は、一つは地方創生です。そして、もう一つは先般の閣議決定を元にした安保法制を実行していくことであります。切れ目のない安保法制によって、国民の命を守っていかなければなりません。その中において、石破さんは、両方とも専門家と言ってもいいと思います。

その中で、石破幹事長と話し合った結果、正に石破さんは地方から信頼されている幹事長であり、政治家です。その石破さんに改造内閣の重要課題である地方創生に取り組んでいただくことといたしました。

正に全国津々浦々にこの景気の好循環を届けていくための政策作り。そして、実行力。 それが石破さんにはある。そして、これは各省庁にまたがっていく課題でもありますが、元幹事長として、各省庁をまとめあげていく政治力を持っているし、党を説得していく、党をまとめていく力もある。その石破さんこそふさわしいと考えたわけであります。

そして、同時に谷垣さんには、正に閣内でずっと安倍政権を支えていただきましたが、自民党の野党時代の総裁として、困難な時に自由民主党をまとめ上げた。落伍者を出さずにまとめあげた。そして、政権交代に道筋をつけた手腕があります。これから正に「日本取り戻す」闘いの第二章に入っていく中において、その経験と実績をもとに信頼されている谷垣さんにお願いをした次第であります。必ず期待に応えていただけると。こう確信をしております。

―留任した麻生大臣と幹事長に起用された谷垣氏は二人とも消費税増税に前向きだが、現時点ではどのように消費税増税について、考えているか。

消費税率を8%、そして10%に引き上げていく。これは国の信任を維持していくとともに、現在の社会保障制度、年々給付が増えていくわけでありますが、この社会保障制度を次の世代に引き渡していくという責任を果たすためのものでもあります。また、子育て支援をしっかりと行っていく。そのための消費税の引き上げであります。

しかし、その中において、我々はデフレから脱却をして、経済を成長させていく必要があります。そのことによって税収も増えていくわけでありますが、こうした認識においては、麻生大臣もそうでありますが、同じ閣内にいた谷垣さんもまったく同じ考えであります。

そういう考え方の元にそもそも野党時代に、この法案に賛成し、かつその後政権をとってから我々は成長戦略をしっかりと進め、デフレからの脱却をめざして、成長を回復することができたわけでございました。そういう認識においては、谷垣さんとまったく一緒だと言ってもいいと思いますし、先般も実は谷垣さんとこの問題についても話をいたしました。

この消費税10%の引き上げについては、これまでも申し上げてきたとおり、7月、8月、9月の経済の回復を含めて、経済状況を総合的に勘案したうえで、年内に判断をいたします。今後とも冷静に分析を行いながら、しっかり対応をしていく考えでありまして、早期に経済を成長軌道に乗せ、アベノミクスの効果を全国津々浦々に波及させていくように、谷垣幹事長とも力をあわせながら全力を尽くしていく考えでございます。

―補佐官の民間からの起用はあるのか?

安倍内閣はですね、閣僚一丸となって経済再生、地方創生、外交安全保障政策の立て直しなど、いかなる困難な課題にも果敢に挑戦していく考えでありますが、それぞれの大臣が個別の大きな政策課題に取り組む中において、大臣、そして副大臣、政務官、そのいわば政務三役と呼ばれているチームを組みます。

さらには、例えば民間の有識者の方々に、大臣補佐官になっていただき、その知恵やネットワークを活用して、そして政策の企画立案を進めていく上においてはですね、さらにチームがパワーアップしくわけですから、大変有効ではないか。有益だと考えています。

そうした観点のもとに必要に応じて最適な人材が登用されるよう内閣としても取り組んでいきたいと思います。

私は「女性が輝く社会」の先頭ランナーに立っていると自負をしている


―過去最多となった女性閣僚について。過去の発言では、比較的保守的な価値観を持つ方もいるようだが、安倍政権が考えている女性活用というのはどのようなものなのか?

安倍政権が目指している「女性が輝く社会」。それは女性の皆さんが、職場においてもあるいは過程にあっても、自分たちの能力や情熱を開花させていくことができる社会をつくっていくことにあります。それはおそらく、女性の皆さん個人個人、「何を実現したい」そういう目標は違うんだろうと思いますが、そういう目標に向かって、進んでいく上において、性別によって障害のない社会を作っていくことが私は重要であると考えているわけでございます。

冒頭のあいさつで申し上げた通り、「数ありき」ではなくて、5人が今までの最高だったから5人にしようという考え方では必ずしもありません。しかし、2020年までにだいたい3割の指導的な地位に女性が就くという大きな目標はある中において、この閣僚の中で女性の皆さんが、しっかりと重要な仕事をやりとげていくことによって社会に変革が起こるということを、私は確信をしているわけであります。

第二次安倍政権の二人が少ない。改造内閣の五人が多い。ということではなくて、それぞれ大いに力を発揮していくことによって、社会全体に変革を起こしてくことができると、私は確信をしています。

そして、女性の閣僚の中で、保守的な考え方を持っているではないかというお話でしたが、私もそういう批判をずっと浴びてきましたが、今まさに私は「女性が輝く社会」の先頭ランナーに立っていると自負をしているわけでありますし、女性の閣僚の方々自体が、まさに自分の能力を開花させて、それぞれの閣僚のポストについたわけであります。そうした結果で見ていただきたいと思います。

―北朝鮮の調査報告について。拉致担当大臣をこのタイミングで変えた目的は?

拉致問題の解決。これは安倍内閣にとって最重要課題といってもいいと思います。すべての拉致被害者のご家族がご自身の手で肉親を抱きしめる日がやってくるまで、私の任務は終わらないと考えております。

その中において、オールジャパンで取り組んでいく必要があります。外務省や拉致担当大臣だけじゃなくて、内閣全体で。あるいはまた、与党とも連携を取りながら解決をしていく課題だろう思っています。

そういう意味において、まさにいままでこの問題にずっと取り組んでいただいた古屋大臣に一年八か月間務めていただきました。今度は、古屋さんも党にあってバックアップしていただきたいと思います。

古屋さんやあるいは山谷さんも、これ20年間と言ってもいいですね、私と共にこの問題に取り組んできた数少ない議員であります。 正にチームといってもいいと思います。ですので、チームとして取り組んでいく。今までこの1年8か月で取り組んできて、知識やノウハウをもとに、今度は党でバックアップする側にたって、山谷さんと一緒に連携をしていきたいとこのように考えております。

つまり、まったく拉致問題を関係ない人を大臣にするわけではなくて、山谷さんも古屋さんも、私も一緒にやってきましたらから、今後も一緒にやっていくということになります。

20時~新大臣就任会見

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第二次安倍内閣
(平均年齢60.7歳) 改造内閣
(平均年齢60.9歳) 職名 氏名 氏名 年齢 党 回数 WEB 内閣総理大臣 安倍晋三 安倍晋三 59 自 衆7 HP 副総理 麻生太郎(兼) 麻生太郎(兼)(留) 73 自 衆11 HP 総務大臣 新藤義孝 高市早苗 53 自 衆6 HP 法務大臣 谷垣禎一 松島みどり 58 自 衆4 HP 外務大臣 岸田文雄 岸田文雄(留) 57 自 衆7 HP 財務大臣 麻生太郎 麻生太郎(留) ― ― ― ― 文部科学大臣 下村博文 下村博文(留) 60 自 衆6 HP 厚生労働大臣 田村憲久 塩崎恭久 63 自 衆6 HP 農林水産大臣 林芳正 西川公也 72 自 衆5 HP 経済産業大臣 茂木敏充 小渕優子 40 自 衆5 HP 国土交通大臣 太田昭宏 太田昭宏(留) 68 公 衆6 HP 環境大臣 石原伸晃 望月義夫 67 自 衆6 HP 防衛大臣 小野寺五典 江渡聡徳 59 自 衆5 HP 安全保障法制担当(新設) ― 江渡聡徳(兼) ― ― ― ― 内閣官房長官 菅義偉 菅義偉(留) 65 自 衆6 HP 復興大臣 根本匠 竹下亘 68 自 衆5 HP 原発担当大臣 石原伸晃(兼) 望月義夫(兼) ― ― ― ― 国家公安委員会委員長 古屋圭司 山谷えり子 63 自 参2、衆1 HP 経済再生 甘利明 甘利明(留) 65 自 衆10 HP 金融大臣 麻生太郎(兼) 麻生太郎(兼)(留) ― ― ― ― 少子化担当大臣
女性活躍担当(新設) 森雅子 有村治子 43 自 参3 HP 行政改革担当 稲田朋美 有村治子(兼) ― ― ― ― 内閣府特命担当大臣
(沖縄及び北方対策
/科学技術) 山本一太 山口俊一 64 自 衆8 HP 拉致担当 古屋圭司(兼) 山谷えり子(兼) ― ― ― ― 地方創生担当(新設) ― 石破茂 57 自 衆9 HP

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