講談社社屋

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「お巡りさん、いつもありがとう」。講談社の社屋に掲出された懸垂幕の"不自然"なデザインが、SNSで話題を呼んでいる。

人気漫画『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』の登場人物が描かれているものの、なぜかあさっての方を向いている。視線の先には――。

5000以上の「いいね」

ハコヅメは、女性警察官らの奮闘を描いた作品。2017年から週刊漫画誌『モーニング』(講談社)で連載を始め、21年7月にドラマ化、22年1月からはテレビアニメが放送されている。

公式サイトによれば、作者の泰三子さんは「某県警に10年勤務。2017年、担当編集者の制止も聞かず、公務員の安定を捨て専業漫画家に転身」したという。

注目を集めたのは、アニメの宣伝のために講談社の社屋に掲出された2枚の懸垂幕だった。屋上から地上付近まで伸びた巨大な垂れ幕で、1枚は登場人物である女性警官が両手をあげて「お巡りさん」と呼びかけている。隣では、別の警官が胸の前で手を合わせて「いつもありがとう!」と感謝を伝えている。

2人は正面ではなく横を向いており、視線の先には隣接する警視庁大塚警察署(東京都文京区)がある。登場人物が警察に対して御礼をしている構図になっていたのだ。

ツイッターで1月上旬に紹介されると5000以上の「いいね」を集め、「気の利いた広告」「粋だな?」と発想力を称えるコメントが続出した。

担当編集「泰三子さんの力の入り方にとても驚きました」

ハコヅメ編集担当の田渕浩司さんは12日、J-CASTニュースの取材に、懸垂幕には作者の強い思いが込められているとした。

田渕さんは懸垂幕の掲出が決まった昨年末、講談社前の音羽通りで泰さんにその旨を案内したという。

具体的なデザインは決まっておらず、大塚署がたまたま目に留まり「あちらを向いたイラストを描き下ろしてもらって、謝意を伝えるとかすると面白いですね」と提案した。「みんなが面白がってSNSに写真をアップすれば、話題になって本が売れてくれるかな」との狙いからだった。

しかし、泰さんの考えは「頑張っている人々に心から感謝を伝えたい」というもので、田渕さんは「心のこもった絵のタッチにもそれが表れていました。イラストが送られてきた時、泰三子さんの力の入り方にとても驚きました」と振り返っている。

掲出は3月末までを予定する。